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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
1103/1105

学園改造大作戦⑭

 グラウンドに案内された二人は、それぞれで設置された道具を眺めていた。


「これが……えっとねぇ〜……正式名称無いんだけど……持ち上げるやつ。こっちが……引っ張るやつ。僕は正直、よくわかってないんだけど……」

『これは……なんでしょう?』

「それは〜……なんか、乗るやつ。足鍛えれるんだって」

「ふぅん……」


 ルリアの言葉に耳を傾けながら、リウが何気なくルリアが〝引っ張るやつ〟と説明した道具に触れた。

 軽く試そうとリウが引っ張り――バキン、と嫌な音がする。


「!?」

『リウ? どうしましたの?』

「リウ……? なんか変な音聞こえたけど、大丈夫? なんかあった?」

「……な……なんでもないわ。ええ、なんでもない……大丈夫だから」


 リウが壊した道具を背中に隠して誤魔化すように笑い、首を傾げながら二人が元いた場所へと戻っていくのを見届けてから急いで直した。

 魔法で完璧に割れた部分が直っているのを確認して、リウがルリアの方へ駆け寄る。


「る、ルリア……私、次のところも見てみたいわ。私たちは筋力とか関係無いし、ね?」

「んー、そうだね。リウも、直したとはいえあんまり壊したものの近くには居たくないだろうし……」

「ええ、そう……えっ!? な、なんでわかっ……」

「わかんないわけないでしょ、リウには及ばなくても、僕だってずーっと生きてる大悪魔なんだからね! 今直したでしょ! わかるんだから!」


 ふふん、と軽く胸を張るルリアに、リウが唇を噤んだ。

 むぐ、と口を閉ざしたリウは、きょろきょろと目を彷徨わせると、申し訳なさそうに俯いて言う。


「……ごめんなさい、ルリア。壊してしまって……」

「いーよいーよ、リウが直したなら何の問題も無いって。秘書ちゃんは怒るかもだけど……秘密にしといてあげる。というか今回、ちょっと頼りすぎてて怒れる立場じゃないっていうか……」

「それとこれとは別でしょう。それに、あなたの方でやれることはしてたんだから、気にしなくていいの。……さ、他のところも見せて頂戴な!」

「う、うん。……レイシェ! 満足したー? そろそろ別のとこ行くよ〜!」

『あっ……ええ、今行きますわ!』


 レイシェに声を掛け、ルリアが学園の中へと向かった。

 そして、ルリアは教室の一つへと向かうと、二人を中へ招き入れる。


「はい、どーぞ! ここ、教室の一つなんだけど……えーっと、ここに魔力込めて……あ、出てきた出てきた」

『……魔法陣の描かれた……箱、ですの?』

「これは……悪魔の契約の魔法陣かしら。……あ、確か前に言ってた……」

「そうそう! 契約を体験するためのやつ! 契約内容をこっちで固定した方が、危なくないかなって用意したんだ〜! いいでしょ!」

「契約内容が固定されているの? ええと……ふむふむ。危険が無いように、微量の魔力の交換になっているのね」

『……確かに、教師の方の目を掻い潜りさえすれば、授業中に悪用だってできてしまいますものね』

「そうそう。契約って対価が釣り合ってさえいれば、絶対服従とか、たちの悪いものでも成立しちゃうから。そういうのは絶対無いようにしないと。……まぁ、いざとなったら僕たち大悪魔が誰でも駆け付けられるような状態で、万が一のことがあってもどうとでもできるとは思うんだけど……」


 ルリアがそう言って苦笑いし、肩を竦めた。

 そして、ぴょんっと教壇へ上がると、ガサゴソと机の中を漁る。


「えーと。この辺に準備しておいてもらったはず……あ、あった! 見て、リウ、レイシェ! 実践授業のリスト!」

『……まぁ、色々ありますのね。先ほど言っていた契約の体験に……物理、魔法、それぞれの実践授業……』

「他にも色々準備してるけど、備品とか含めて準備が終わってるのはこれで全部! どう? 楽しそうでしょ?」

『ええ! わたくしも入りたいくらいですわ! ……でも、わたくしには不要なものですから……他の方に譲ることにいたします。わたくしのせいで入れなくなる人がいたら申し訳ありませんし』

「そう……だね、拡張とかちょくちょくしてるけど……いつかは限界が来るだろうし。……じゃ、そろそろ次のとこ行こっか!」


 ルリアがそう言ってにっこりと笑い、リウとレイシェの手を引いた。

 とても楽しそうなルリアにリウとレイシェは首を傾げ、彼女に付いていく。

 そして、到着したその先は、資料室だった。

 と言っても、まだ扉の前に居るのだが。


「ここが資料室だよ! じゃあ、今開けるからね!」


 わくわくしている様子でルリアがそう言い、扉を上げた。

 その先には、巨大な資料室があった。

 天井は高く、上の階にまで資料室が広がっているのだろう。

 そして、高くまで本棚があり、上の階にも資料がぎっしりと詰まっている。


「……元はここまで無かったはずよね? それで……私が提供したものも、ここまでじゃなかったはず……」

「ふふん、そうなんだよそうなんだよ。他の魔王に、学園に入学したい人を募ってもらうついでに……資料も貰ってきちゃった! 信憑性は大丈夫! たぶん!」

「リアからも?」

「そうだよ! まぁ、ヴェルジア様の資料まで引っ張り出そうとしてたから、それは流石に断ったけど……」

「ああ、リアはやりそうね。……少し、見て回ってもいい?」

「うん! 今日見せたいのはここで最後だから! レイシェも見ておいで! あ、でも、レイシェは焦らなくていいからね。寮の管理人さんもここ入れるから! 貸し出すのはできないんだけど……」

『ええ……わかりましたわ。それでは、興味のあるものを探してきますわね』


 リウとレイシェはそう言い、それぞれ気になる資料を手に取った。

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