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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
1096/1102

学園改造大作戦⑦

 とりあえず、レインの理解も得られたので、リウとルリアはリウの部屋に帰ってきていた。

 しかし、自分の国に帰らないルリアに、リウは首を傾げて言う。


「ルリア? ……まだ、何かあるの? 聞かせて頂戴な」

「あ、うん。……なんか、なんていうか、ね……もっと学園を大幅に改造したいっていうか……でも、そのための案が浮かばなくって」

「……改造?」

「そう、改造。もっとなんかなあ〜〜……派手にやりたい! ……感じ?」

「派手に……うーん。そうね……やれるのかどうかを考慮せずに案を出すなら、いくつかは出せるかしら」

「いいよいいよ! 現実的じゃなくて全然いい!」


 ルリアが頷いてそう言うので、リウはこほんと咳払いをすると少し考える素振りを見せた。

 そして、ソファーに腰掛けるとリウがぽつぽつと案を出し始める。


「派手に改造、というのなら……学園そのものを変形できるようにしたら面白いと思うの。それで戦ったりとか……」

「わ、すっごい派手。後は後は?」

「内側――つまりは、勉学の内容に手を加えるのは? 例えば、そうね……実践式の授業を追加するの。模擬戦に、魔法研究に、ああ、魔法工学なんていいわね。魔法を動力に、機械なんかを動かさせるの。楽器を用意して、魔法陣を学生に自分で考えて刻ませて、自動で演奏が始まるようにする。原理自体は魔法工学と変わりないし、安全だし、いいんじゃないかしら」

「凄い……見事に魔法のことばっかり」

「えっ……あ、あ! ……悪魔が相手だから、魔法関連がいいかと思って!」

「ふふっ、冗談。リウらしくていいと思うよ。むしろ、僕がリウに求めてるのはそっち方面かもだし!」


 にへ、と笑うルリアにリウが目を逸らし、息を吐き出した。

 結局、魔法のことばかり考えているという認識は覆らないらしい。

 実際それも全く間違っていないので、そこについて言っても仕方が無い、とリウが改めて案出しを続ける。


「後は……そう、ねぇ。……変形、してほしいけれど……そういうのじゃなくて現実的な案の方がありがたいわよね……学園に魔法陣を忍ばせて忍ばせて、学生の安全確保、防衛機能の強化。それから、ノルティアナだけでなく、他の国にも協力を呼びかけて、学生を呼び込むのがいいでしょうね。この世界で唯一と言っていい学園の存在、それを羨む国は決して少なくない。なら、それを活用し、人を呼び込むのがいいと思うわ。魔王の国ならその辺り提案しやすいし、大抵は魔法陣も確保できるわ」

「ああ……そっか、確かに……でも、えぇ〜……他の子たちに声掛けるの?」

「……? 別に仲が悪いわけじゃないでしょう? 何をそんなに躊躇っているの……?」


 嫌そうにするルリアにリウが不思議そうにしていると、ルリアがちらりとリウを見た。

 そして、話そうかどうか迷うように視線を彷徨わせ、溜息を吐く。


「仲は、うん、悪くないんだけど……僕、リウとリアの国くらいしか基本行かないから……国に行くのは、ちょっと心の準備がいるっていうか……たまにレティのところにも行かなくはない、かなぁ」

「……ふぅん、レティの……」


 魔国アマディアーナを治める、魔王の一人。

 第二世代の魔王レティの元に時々行くと聞いて、リウは少し興味深そうに目を細めた。

 ルリアが少し、目を泳がせている。


「……何かあるのね。悪巧みか、それとも……ふふ。服でも作ってもらってる?」

「うぅ!? な、なんでわかったの!?」

「目が泳いでいたから。隠さなくてもいいのに……でも、珍しいわね。ルリアは服とか、そんなに興味ないでしょう?」

「それは……そう、なんだけど。……服変えると、抜け出したことがバレても見つかりづらくなるから……すれ違ったくらいじゃわからなくなるみたいでね。……ただ……ばつが悪くて……ほら、折角作ってもらったのに、悪いことにばっかり使っちゃってて……それで、ちょっと相談に乗ったり、手伝いとかしてるんだ。……あと、レティって静かで落ち着くから! たまーにちょっと休憩させてもらってる!」


 ルリアが目を逸らしながらそんな風に説明すると、リウが目を細めた。

 服を作ってもらって、それを着て城から抜け出し、サボっているらしい。

 学園の改築の件は自分自身で動いているようなので、嫌いな仕事から逃げているのだろう。


「……支障が無いなら、口出しはしないのだけれど。サボりすぎていないわよね?」

「だ、大丈夫! ただ、僕は自分で休憩時間を作ってるだけだから……そんなに長くないよ! 大丈夫!」

「勝手に作っているんでしょう……はぁ、まぁ支障が無いならいいわ。他国のことだし。本当に困ったら、ルリアを捕まえてほしいって私に言ってくるでしょうし」

「うぅ!? そ、そうだよね……絶対リウに頼るよね……」

「ふふっ。私、それを断ったりしないから。嫌なら、本格的に怒られる前にちゃんとやりなさいね」

「わかったよぉ。もう、国王になる前のリウだったら、絶対ある程度匿ってくれたのに……気分が落ち込んでなければ」


 ルリアの軽いぼやきにリウは苦笑いし、仕事をしてくると言うルリアを見送った。

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