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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
1091/1103

学園改造大作戦②

 それから更に数日が経ち、リウとルリアは話し合いを重ねていた。

 そして今日は、リウがシェイタンガンナへと赴き、学園の見学をすることになっている。

 自国の民を送る以上は、やはり自分の目で学園を確かめておきたい、というリウの要望があり、割とあっさりと実現した。

 まぁ、改装中で学生もいないので、普段より行きやすいのは確かだが。


「はい。リウ、ちょっと足元悪いから気を付けてね」

「ええ、ありがとう。ええと……確か、教室をいくつか増やして、それと新設備も準備しているのよね」

「うん。お試し契約ができるのとか! 後は細々とした環境整備かな! あ、資料室もちょっと広くするよ。リウが持ってる資料なんか、あればあるほどいいからね! 希少で参考に値する資料しかないに決まってるもん、置けるだけ置きたい」

「興味本位で根拠の無い資料も集めてはいるけれど。でも、そうね。提供するのならそうなるわね」

「そうでしょ? だから、置けるだけ置くんだ! 担当者にはちょっと迷惑掛けちゃったけど……」

「あら。ダメよ、ルリア。わがままを言い過ぎてはダメ」


 リウが怒ったように眉を寄せて言うと、ルリアが苦笑いしながら頷いた。

 ちゃんと謝ったし、相応の費用も払ったが、それでもやはり無理を言ったことに違いは無い。


「ま……まぁ。学園のためには、必要だと思うし。むしろ、見通しが甘かった過去の僕が悪いみたいな……」

「過去に責任を押し付けないの。担当者さんが納得しているのならいいけれど」

「うぅ……はぁ、とにかく案内しないといけないよね。見たいところとかある?」

「資料室ね。資料が見たいわ」

「わかった、こっちだよ」


 ルリアがそう言ってリウの手を引き、資料室へと案内した。

 資料室はまだあまり手が付けられていないようで、他の部屋に比べるとまだまだ綺麗だ。

 リウはルリアの許可を得て資料の一つを手に取って内容を確認し、部屋全体を眺める。

 その直後、部屋にリウの魔力が浸透していくので、ルリアが目を丸くした。


「……これって、ルリアが選別してるの?」

「え? あ、うん……ある程度はね。昔過ぎるのとかは、他の子じゃ資料室に置けるようなものなのかわからないから……古いのだけだけど……そ、それがどうかした? もしかして変なのでもあった……!?」

「いえ、ちゃんと有益なものばかり置いてあるから。頑張って選別したのね」

「え……? ……えへへ……そ、そうかなぁ。ありがと……」

「悪影響を与えかねないものでもあれば、排除しようと思ったのだけれど。良かった、その必要は無さそうね」

「悪影響って。……リウ、心配してるんだよね? それに気付けないと思ってるくらい僕のことを舐めてるわけじゃなくて」

「そんなわけないでしょう。読まないと気付けないから、確認漏れがあるかもと思って。……あ、でも……先に確認するって言えば良かったわね。ごめんなさい……」


 ふと自分が資料を見ることは許可をもらったものの、調べるとは一言も伝えていないことに気付いて申し訳なさそうに肩を落とした。

 そんなリウにルリアはふるふると首を横に振ると、安心させるように笑う。


「そんなに気にしなくていいよ、リウは基本的に善意で動くってわかってるから」

「で、でも、ルリア……」

「落ち込まないでってば。ほら、外出て。この資料室を、えーっと……この辺になるのかな? ここまで拡張するんだ! どう、たくさん置けそうでしょ!」

「ええ、そうね。……早めに資料を写す作業を始めないと。魔法で……いえ、悪魔だものね。性質的には魔力みたいなものだし、力が強くて、それから制御し切れていない場合は……文字が消えてしまうかも」

「え、手書き!? それは無理があるんじゃない……!?」

「状態を固定する魔法を掛ける……? いえでも……弱い子もいるわけでしょう? 私の魔力が強すぎたら……心配が残るわね」

「……それは……ちょっと、あるかもしれないけど」


 困り顔をしながらルリアがそう言った。

 魔法を使うに当たり、魔力は必要不可欠。

 そしてリウは、神であるが故に普通よりも少し魔力が強すぎるところがあった。

 魔力が強い――即ち、周囲に影響を与えやすいのである。

 普段なら気にしなくていいくらいではあるのだが、学園では多くの悪魔が生活することになる。

 精霊と似ていて魔力にも近い性質を持つ悪魔の身体は、影響を受けてしまう個体だっていることだろう。

 かといって、その調整には時間が掛かる。

 どうするべきか、とリウが眉を寄せ、ハッとして呟いた。


「レインは文字が綺麗だから……とりあえず任せておいて。調整が終わり次第引き継げば……とりあえず時間稼ぎにはなるでしょう。仕事もそんなに忙しくないのか、しょっちゅうお城に来るし……」

「なんか……凄く大変なことを押し付けようとしてる? 僕は別に関係ないからいいけど」

「お城に来てほしくないから。もちろん無理はさせないけれど、暇潰しにはいいでしょう」


 少しだけ悪い顔で言うリウにルリアが苦笑いし、肩を竦めた。

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