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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
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ifストーリー 楽しい学園生活㉗

投稿するの、すっかり忘れてました!

ごめんなさい!

 プチ旅行から数日が経ち、リウの自室にて。

 リウは机の上に買ってきた駄菓子を広げ、楽しそうに今日食べるものを選んでいた。


「今日は……これにしましょうっ。小さいチョコレート……ふふ、可愛い。……あむ……んん、美味しい……」


 頬を緩めてリウが笑い、足をバタつかせた。

 旅行から帰ってきたリウは毎日少しずつ、大切そうに駄菓子を食べている。

 普段はよくリアとシェアしており、両親も家にいればシェアしたいのだが、生憎忙しく日中は家を空けていた。

 そして、今日はと言えば、リアもおらずリウ一人なのである。

 お昼過ぎからリアはヴェルジアの家にお土産を届けに行っているのだ。

 その後軽くお家デートをするから、夕方頃に帰ってくると言っていた。

 とても楽しそうに着ていく服を選んでいて、とても可愛かったな――なんてことを思いつつ、リウは憂いを帯びた息を吐く。


「リア……大丈夫かしら。近くまで車で行くとはいえ、あの荷物を一人で……」


 リウがそう呟き、心配そうに窓の方を見た。



 一方その頃、リアはヴェルジアの家に向かう道を歩いていた。

 既に慣れ親しんだ道であり、リアの足取りに迷いは無い。


「……ふぅ……暑い……」


 お土産もそこまで重くなく、道もわかるのでリアは余裕ぶっていたのだが、今日は猛暑日。

 リアは日傘を差しながらも、少しずつ足取りは重くなっていっていた。 


「……ううぅ……」

「あ、いた。大丈夫?」

「……!? ヴェルジアさん!」


 前の方から聞き慣れた声が聞こえて、リアがぱっと顔を上げた。

 その勢いにニコニコと微笑みつつ、ヴェルジアが冷たい飲み物を差し出しながら半ば奪い取るようにしてお土産の袋をリアの手から回収する。


「あっ! い、家までは私が……」

「暑いんでしょ、持っていくよ。大丈夫、中身はまだ見てないよ。飲み物飲んで、一緒に行こう」

「……はい……あ、美味しい……」

「暑いだろうと思ってレモネード作っておいたんだ。……あ、家まで我慢した方が良かったかな……でも熱中症になるよりいいよね……?」

「お父様もお母様も、お姉さまだってもうヴェルジアさんの人となりはご存知ですよ。ヴェルジアさんの作ったものなら大丈夫です。本当に美味しいですね、もしかして育ててたレモンですか?」

「それはまだ成長してない。知人からもらったんだ。ああ、渡す前に味見はしてあるよ。万が一のことがあったらいけないから。……でも、あとちょっとで実がなり始める頃かもね……」


 歩きながらリアが尋ねると、ヴェルジアはそれを否定した。

 しかし、家で育てているレモンのことを思ってそんなことを呟きつつ、パタパタとリアをうちわで扇ぐ。

 ふにゃ、とリアの顔が綻んだ。


「とても涼しいです。ありがとうございます……でも、ヴェルジアさんはいいんですか? 日傘も持ってないのに」

「もうすぐだから、大丈夫だよ。入ったら涼しいし」

「そう……ですか? 大丈夫なら、いいんですけど……あ!」

「着いたね。はい、どうぞ」


 鍵を開けてヴェルジアがリアを家の中に通した。

 パタパタとリアが家の中に入り、ヴェルジアからお土産を回収して机の上に置く。

 そのままキラキラした表情で見上げてくるので、ヴェルジアは苦笑いしながら椅子に腰掛けた。


「はい。じゃあ、それで……何を買ってきたの?」

「ふふん……海に行ってきたんですけど、そこは蟹が有名らしく、蟹に関するお土産がたくさんあったんです! むしろそれしかないくらいで! 今出しますね! ……ええと、先ずは……置き物です! 小さめで、置き場所に困らないものを選びました! どうでしょうか!」

「……おお……蟹だね。うん、可愛い。どこに置こうかな……棚の上……いい場所空いてたっけな……」

「気に入ってくれましたか!?」

「サイズも邪魔にならなくて良い感じだし、しっかり自立してくれてる。デザインも可愛いし……うん。ありがとう、リア。……蟹が有名だったんだ。食べた?」

「いえ、学生だけの小さな旅行でしたので。でも、今度食べてみたいです! 機会があれば……冷凍で良ければお土産に買ってきますね」

「学生にそれ貰うのは申し訳ないというか情けなくなってくるから、遠慮しておこうかな……」


 気持ちは嬉しい、とリアの頭を撫でながらヴェルジアがそう言い、お土産の袋を見た。

 後は四角いものばかり、食べ物の類だろうか。


「それで、これが……かに饅頭です! 中は……ええと、確か……こしあんだったはずです。今食べますか?」

「へぇ。蟹の形だ……うん、そうだね。今食べようか。お茶準備するから、ちょっと待ってて」

「あっ、お手伝いを……」

「いいから、座ってて」


 ヴェルジアがそのままお茶の準備をし始めてしまうので、邪魔をするわけにもいかずリアがしょんぼりとしながら退屈そうに足を揺らした。

 ぺしゃりと机に顎をくっつけて、リアがじっとヴェルジアを眺める。


「……ヴェルジアさんは、何歳になったら私とちゃんとお付き合いしてくれますか?」

「大人になったらね。触れ合いこそ少ないけど、ちゃんとお出かけはしてるでしょ? 今は、それで我慢して」

「むー……デートです。ただのお出かけじゃありません」

「……これでもやれるだけのことはしてるんだからね。大学生が中学生と付き合うとか……無理だよ。無理というか、ダメでしょ」

「でも条件付きで折れてくれましたよね」

「折れたよ。仕方無くね。今でこそ……。……はぁ……とにかく、リアが成人するまでは、こういう関係を続けるから」

「ちゃんと言葉にしてください」

「今はまだダメ」


 誰にも聞かれないんだから言ってくれればいいのに、とリアが唇を尖らせつつ、上機嫌になってヴェルジアの姿を眺めた。

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