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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
1080/1102

ifストーリー 楽しい学園生活㉑

 それから、四人は試食会を楽しみ、あまり緊張させては申し訳ないからと、試食会が終わるなりすぐに海の家を出た。

 それからまた海で遊んでいると、レインが提案をしてくる。


「三人とも。良ければなんだけど、海で遊ぶだけじゃなくて観光もしない? お土産とか買いたいだろうし……」

「お土産! そうね、それは必要だわ。でも……髪、ちゃんと乾くかしら……潮の匂いとか気になるし……」

「別荘に寄って、シャワー浴びればいいよ。ね?」

「……変なこととか考えていませんよね」

「急に何? 考えてないよ。……あ、でも今別荘に人いないんだけど、大丈夫?」

「本当に変なことは考えてないんですよね……!?」

「だから考えてな……あ、そういうことか」

「なぁに? 何通じ合ってるの? 早く行きましょう?」


 リウが不思議そうに首を傾げて言うと、リアが咳払いをした。

 そして、リウと手を繋いでレインから距離を取り、威嚇する。

 どうやらリアはレインのことを警戒しているらしい。


「そういうつもりで言ってるわけじゃないんだけど……そういうのはレイシェが許してくれないだろうし……」

「もちろんですわ。お兄様の不埒な行為は、わたくしが責任を持って止めます。ですからリア、安心してくださいまし」

「安心……は、難しいですが……そうですね、レイシェのことは信じます」

「はい、お兄様のことはお任せくださいまし。さ、別荘はこちらですわ。運転手もあちらで待機しておりますから、シャワーだけ浴びて観光にいたしましょう」


 レイシェがそう言ってレインに並んで誘導を始め、三人は別荘へと向かった。



 別荘に到着し、シャワーはリウが最初にすることになった。

 手早く済ますと言って早足でシャワーに向かったリウを見送り、三人は各々で暇を潰す。


「あの、電話してもいいですか? ヴェルジアさんにどんなお土産が欲しいか聞きたくて。今日は休日だったはずだから……もしかしたらまだ寝てるかもしれなくて……メールは……」

「ん、いいよ。リウが出たら呼ぶし、好きに話してたら?」

「ありがとうございます。じゃあ、ちょっと向こうの方で話してきますね」


 リアがそう言い、ぱたぱたと走っていった。

 それを見ていたレイシェが、目を爛々と輝かせて後をつけようとする。


「……レイシェ」


 溜息混じりの声が聞こえて、レイシェが肩を跳ねさせた。

 そして、すぐに笑顔を浮かべるとこてりと可愛らしく小首を傾げる。


「どうしましたの、お兄様? わたくしに何か……?」

「邪魔しちゃダメでしょ。……そんなに気になるの?」

「う……気になるに決まっていますわ! 少しくらい、どんな話をしているかとか……どんなお人なのか、わたくしあまり知りませんもの」

「……中学生とお付き合いしてる成人男性とか、不安になるのならわかるけど。そういうのじゃないんだ」

「リアはもちろん、リウのお眼鏡にも適ったのでしょう? わたくしが口を出すのは違うと思いますわ。それに、二人のお父様とお母様もご存知で……」

「……まぁ、人格的には一応問題ないんだろうけど」

「ですので! わたくしっ、電話に興味が」

「戻ってきてから聞く。盗み聞きはダメ。わかった?」

「……はぁい……」


 しょんぼりと肩を落としてレイシェが頷いたところで、リウが戻ってきた。

 また髪が少しだけ湿っているリウにレインが緩んだ笑みを浮かべる。


「おかえり。髪、ちゃんと乾かさないと風邪引くよ」

「え? あっ……い、急いでたから……だ、大丈夫、日向に当たって乾かしておくから! 次の人、入ってきていいわよ。順番決めた?」

「客人優先。リア呼んでくるね」

「あっ、お兄様! わたくし! わたくしが行きますわ! ねっ!」

「……レイシェ……」

「リア……リアはどこに? というか、レイシェ……珍しいわね、そんな飛び跳ねて……ねぇレイン、レイシェは呼びに行っちゃダメなの?」

「ダメってことはないけど、リアの電話の内容を気にしてたから、しつこく聞くんじゃないかと思って」

「電話……ヴェルジアね? 聞かれること自体は……嫌がることはないでしょうけれど。照れちゃうとどうしようもなさそうだから……うん、嫌がったら何も聞かない。これを守れるのなら行ってもいいでしょう。ね?」


 リウが笑顔でレインにそう言うと、レインも頷いた。

 それができないのではと危惧しているだけで、レインも意地悪を言っているわけではないので。


「わかりましたわっ! 行ってまいります!」


 レイシェがそう言い、飛び出していった。

 心配なので二人が顔を見合わせ、様子を見に行く。


「リア、リウが戻ってきましたわ。次はリアの番ですわよ」

「あっ……はい。ヴェルジアさん、そろそろ切りますね。お土産を買いに出かけないといけないので……はい、はい。近日中にお土産を持って遊びに行きますから、予定確認しておいてくださいね。はい、楽しんできます。ではまた今度。……お待たせしました、レイシェ。すぐに行きますね」

「それはいいのですけれど……リア、一体どんな話をしていたんですの? 良ければ話して欲しいですわ!」

「えっと……急いで入らないといけないので」

「道中でいいのですわ! 少しだけ――ああっ、お兄様!? リウ!?」


 リアが困った顔でやんわりと断っても食い下がろうとしたので、レイシェはリウとレインに連行され、リアから遠ざけられていった。

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