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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
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ifストーリー 楽しい学園生活⑭

学園生活は時間軸が飛び飛び、という話は書いたことありましたっけ。

ゆる~く行くという話は書いた気はする。

 夏休み。

 早く夏休みの課題を終わらせたいというリアの手助けをするため、リウとリアはレインの家を訪れていた。

 レインを家に呼びたくないというリウの都合上、こういうのはレインの家になりやすい。

 全員、それに否はないので。


「……お、お姉さまぁ。わかりません……」

「何が?」

「……れ、歴史……」

「それは……答えを言っちゃダメでしょう。ヒントも出しづらいし……答え合わせも自分でするのよね。間違っててもいいから、考えて答えを出しなさい。間違いを恐れなくていいから」

「……の、問題文の、読み方……これ、なんですか? 初めて見る言葉の気がします……」

「そんなことはないでしょう。全くもう……ほら、見せて。……ん、これはね」


 つらつらとリアに説明しつつ、しれっとヒントも織り交ぜているリウにレインが苦笑いした。

 どこまでも妹に甘い姉である。


「可愛いけど、いいのかなぁ。一応、成績にも関わるのに。……答えがわからないっていうのも、あながち間違ってはいなさそうだし」

「いいと思いますわ。どうせ教科書にも書いてありますもの。勉強をすれば、すぐにわかることですわ。……それに、リアはあれでも、既に成績はとても良いはずですもの。もしかしたら、甘えたいだけかもしれませんわよ?」

「……あんな必死な顔して?」


 レインが不思議そうな顔をしながら言うと、レイシェが目を逸らした。

 流石に、必死な顔をしているのに甘えているとは言えなかったらしい。


「……まぁ、いいか。これくらい」

「あっ、ここ、これもわかりません!」

「あなた、数学苦手ね……」

「計算問題は基本苦手です。科学のやつとか……」

「あ……わたくしも復習したいですわ。リウ、解説していただけますか?」

「いいけれど……えっと、ちょっと待ってね。順序立てて説明しないと」


 少しでもわかりやすいように、と頭の中でどう説明しようかリウが纏めていると、レインが立ち上がった。

 そして、問題を確認すると、レイシェの教科書を借りてすっと指を指す。


「ここに、公式と解説が載ってるよ。とりあえず見てご覧」

「えっと……あれ? 数字……も、記号も……全部一緒ですね? え? じゃあ答えも……! ……載ってないぃ」

「そこまで甘くはない。まぁ、授業で同じやつ既に解いてるはずなんだけど……」

「覚えてません……えーっと……解説が……ふむふむ……ん? ……えっと、あれ……こんがらがってきました……あれぇ……? う、上手く頭に入ってこない……」

「じゃあリウ、噛み砕いた解説をよろしく」


 レインがそう言ってリウに振ると、軽く気合を入れたリウが教科書の解説を噛み砕いて説明した。

 ふむふむ、とリアが頷き、それを聞きながら問題を解いていく。


「……あっ、それっぽい答えになりました! やっぱりお姉さまの声は凄く頭に入ってきますね……!」

「声が理由なの? 説明じゃなくて?」

「もちろん、説明もとてもわかりやすかったです。ねぇ、レイシェ」

「ええ、そうですわね。わたくしも、良い復習になったと思いますわ。……ふぅ」

「あら? ふふ、レイシェはもう課題を終わらせたのね」

「実際は、もう少しだけあるのですが……作文とかなので、後ほどやろうと思いまして。……リアがキリの良いところまで行ったら、休憩にしませんこと? そろそろ、おやつのケーキが出来上がる頃のはずですわ」

「わあっ、ケーキ……! もうちょっとでキリのいいところまで行けますから、もう少しだけ待っててくださいね。えっと……」


 リアが課題に向き合うのを少しの間眺めていると、リアがペンを置いて体を伸ばした。

 どうやらキリの良いところまで行ったらしく、レイシェが微笑みながら別室へと移動していく。

 ケーキを持ってきてくれるらしい。


「……あ、そうだ。レイシェいないけど、ちょうどいいから話しちゃうね。ちょっと提案があるんだけど……海に行かない?」

「嫌」

「どうしてお姉さまが頷くと思ったんですか?」

「二人してそんな冷たい顔……はぁ。プライベートビーチなんだけど、そことは別の、海の家の管理をしてるところがね。海の家でスイーツを出したいって言って、折角だからちょっとしたバカンスも兼ねて、実際に海でちょっと新作の試食をさせてもらえることになったんだ。父上と母上は、仕事があるから……」

「新作スイーツ……! 行く! おじさまの会社の子会社ってことでしょう? 信用できそうだし!」

「お姉さま、チョロいです」


 一瞬で新作スイーツという言葉に釣られたリウを見て、リアが真顔で言った。

 流石に少しチョロすぎる。


「あっ……こ、こほんっ。い、いえ……流石に、その、部外者が試食なんて……良くない、かも、しれない……し、ね? だ、だから……遠慮……遠慮……」

「すっごい挙動不審だし未練タラタラだなぁ……。……この機を逃したら、もう食べられないかも」

「行くっ! 絶対行く! いつ!? どこ!? 必要なものはっ……」

「家まで迎えに行かせるから、リウとリアは待っててくれたらいいよ。予定はいつ空いてる? 持ち物は……お金はこっちで持つし……飲み物と水着とか? あ、日焼け止めとかもいるかな……」

「私もですか。まぁ……楽しみにしておきます。レイシェも来るんですよね。……予定は、確か直近だと……三日後と、あと五日後が丸一日空いていましたよね? お姉さま」


 リアが確認すると、リウがこくこくと頷いた。

 そして、期待に満ちた目をしてレインを見る。


「じゃあ、五日後がいいかな。朝の……八時半、とかでいい? 結構移動するから早めがいいと思う」

「ええ、そのくらいなら全然準備も間に合いそうね」

「お、お姉さま、起こしてくださいね! 私、お姉さまほど早起きではないので……」

「ええ、わかっているわ」


 リウが優しい表情で頷き、レイシェがケーキを持ってくるのを待った。

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