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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
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ノルティアナの舞踏会⑱

 それから、レアが起きるとリウはしっかりとレアのことを褒めた。

 嬉しそうな顔をしていたレアを思い出しつつ、リウはベッドの上で足を揺らす。

 リーベはもう帰ったので、ここにはいない。


「……ディライトは、気にしなくていいって言ってくれたけれど……主催者は私なんだから、そうも行かない。……どう対策を講じるべきかしら……んんー……」

「リウちゃ〜ん……」

「ぴゃあっ……!? でぃ、ディライト……み、見てたの?」


 突然声を掛けられ、リウが跳ね上がった。

 振り向くとそこにはじっとりとした目でこちらを見つめるディライトがいたので、リウが少しほっとした顔をする。

 考え込んでいたので、気配を感じ取れなかったらしい。


「見てたよ〜、リウちゃんならそう考えるってわかってたし〜」

「むぅ……ダメなの? 色んな人が警戒するのは良いことだと思うわ」

「ダメとまでは言わないけど〜……リウちゃんは気を張りすぎじゃないかな〜?」

「……リテアは、基本的にはディライトやヴェルジア、それにリアが対応すべきだと思うから、まぁいいとして。レアも危険に晒されていたのに、気付けなかった。気を張っていなかった証拠、そうでしょう?」


 リウが不満そうにしながらそう言うと、ディライトが目を丸くした。

 そして、軽く首を傾げてから頷く。


「確かに……そうだね〜、珍しい。その調子で気を緩めてくれたら嬉しいな〜」

「そ、そうじゃなくて。だから、気を引き締めないとって……リラックスするのはいいことだけれど、私はみんなを守る立場だから……」

「でも、リウちゃんは凄く舞踏会を楽しみにしてるから、舞踏会から気を逸らさせることなく楽しんでもらいたいんだよ〜。ボクは別に……参加はするけど、踊る気は無いし。壁際でヴェルくんと妹ちゃんが踊ってるところとか、リテアちゃんと子竜ちゃんが踊ってるところ眺めておくから〜。その片手間で警戒を担うだけだよ〜」

「ディライトだけがやるの?」

「……暇な時は妹ちゃんもヴェルくんも。それならいい?」


 ディライトが仕方ないと言わんばかりに苦笑いしながら言ってくるので、リウが不満げに唇を尖らせた。

 自分が主催者で、国王なのだから、自分がちゃんと警戒をするべき。

 リウはどうしても、そんな責任を感じてしまうらしい。

 ディライトや、リウを大切に思う人たちはもっとリウに楽しんでもらいたいと思っているのだが。


「……じゃあ〜……こうしようか〜。リウちゃんも、休憩してる時だけは警戒して〜? 一人で、な〜んにもしてない時だけね〜。それならどう〜?」

「そ、そんなに、私に警戒させたくない……?」

「うん」

「……わかったわ。それで納得する……でも、例えば何かがあったとして……ディライトたちは何も気付いていなくて……私は楽しんでいる最中だけど、私だけが気付いていたら……動いても、いいわよね……?」

「それはまぁ、ボクたちが悪いしね〜。放置するわけにはいかないのは実際そうなんだし、いいよ〜」


 ディライトが頷くと、リウがほっと胸を撫で下ろした。

 そして、ニコニコとディライトに向かって微笑む。


「ありがとう、ディライト。……リテアの様子は?」

「ん〜? ああ〜……今のところ、全然大丈夫〜。リテアちゃんも疲れてたみたいですぐに寝ちゃったけど〜、悪夢を見るような様子もなかったよ〜。未来視もたぶん大丈夫〜」

「そう……ならいいの。用事はもう済んだ?」

「うん〜。じゃあ、おやすみ〜」


 ディライトがそう言い、転移で去っていった。

 その姿を見送ったリウは、ぽすっとベッドの上に倒れ、ぼんやりと天井を眺める。

 少しずつ、舞踏会の日が近付いてきた。

 準備も滞りなく進んでいる。

 ドレスも、そろそろちゃんと決めないと、とリウが息を吐き出す。


「……ふふ。楽しみ」


 そう呟いてから、リウはもぞもぞと動いて頭を枕に乗せ、眠りについた。

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