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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
1045/1101

ノルティアナの舞踏会⑮

 レアとリテアが出かけてからしばらくして、夕方頃。

 リウは今日もメイリーの仕事部屋を訪れていた。


「リウ様ぁ、今日は――ええっとぉ、どうして私の顔をそんなに見つめているんですかぁ……?」

「……無理は、していないわね。うん……なんでもないわ、続けて」

「そ、そうですかぁ? ……ではぁ、こほん……今日はこの辺りの試着ですぅ。今日で全て終わらせられそうでしょうかぁ……?」

「……うん、そうね。何のトラブルも無ければ、終わらせられそう。……結局、どれを着ていくのかという問題はあるのだけれど。うぅ……」

「決められそうにないならぁ、アドバイスはできますがぁ……」

「……いえね、絞り込んではいるのよ。大体五着くらい。悩みに悩んだけれど、そこまでは絞り込んだの。でも、それ以上は……進まなくて……」


 しょんぼりと肩を落としながらリウがそう言うと、メイリーが考え込んだ。

 そして、パチンと手を合わせて言う。


「少し前にリテアちゃんがいらっしゃったのですけどぉ、そこで、リア様が着ていくドレスを教えてくださったんですぅ。だからぁ、リア様に合わせるのはどうでしょうかぁ? デザインか色、どちらかをずらせば、違和感も無いと思いますぅ」

「……良い案、ではあると思うのだけれど……リアは、あれでもヴェルジアのことが大好きだから……一緒に参加するとなると、バレない程度にこっそり色々デザインを合わせたドレスにしてくると思うの。だから……偶然ならまだしも、こっちから合わせに行くのは、ちょっと気が引けるわ。ごめんなさい」

「……確かに、既婚者ですものねぇ……私の配慮が足りていませんでしたぁ。では、その辺りの話し合いは後にして、早速試着会を始めましょうかぁ」


 メイリーの言葉にリウが頷き、一着ずつドレスを着始めた。



 それから少し経って、茜色も消え、月が顔を出し始め、空が暗くなってきた頃。

 リウが試着をしていると、レアから連絡が届いた。


『リウ様、今……お時間、大丈夫でしょうか……?』

「あら、レア……メイリー、少し待っててね。レアが何か用事があるみたい」


 リウがメイリーにそう声を掛け、虚空に目を向けた。

 レアの現在地を確認しつつ、リウがレアの連絡に応答する。


『どうしたの、レア? 変なところには、いないみたいだけれど』

『その……実は、リテアちゃんが、お昼寝をしたまま起きなくて……運べないんです。何故か、ディライト様を呼んでも返事が無いですし。……それに……うう、ごめんなさい、リウ様。私たちを転移してくれませんか?』

『ディライトが返事も寄越さないの? からかって……いえ、リテアがその状態なのに、返事を寄越さないはずがないわね。何かあったのかしら……まぁいいわ、とりあえず私の傍に転移させるわね。メイリーのところなのだけれど、大丈夫?』

『はい、大丈夫です』


 レアがそう言うのを聞き届けてから、リウが二人を転移させた。

 リテアを抱きかかえたレアが目の前に現れ、メイリーが目を丸くする。

 レアからリテアを受けとり、レアの頭を撫でながらリウがメイリーに目を向ける。


「ごめんなさい、メイリー。突然二人を転移させてしまって……今日の試着会は終わりでもいいかしら? レアに話を聞かないと」

「はぁい、それは大丈夫ですけどぉ……大丈夫ですかぁ、レアちゃん? なんだか、大人しすぎるようなぁ……?」

「……。メイリー、ソファーを借りてもいい? リテアを寝かせて……レアも、少し座ってあげさせたいの」

「もちろんですぅ。レアちゃん、こっちですよぉ。リテアちゃん、抱えますねぇ」


 メイリーがレアをソファーの方へ誘導するのを尻目に、リウがいつものドレスに着替えた。

 そして、二人の方に戻り、レアが落ち着くのを待つ。


「……大丈夫、レア? 少しは落ち着けた?」

「はい……大丈夫です。ちょっと……はしゃぎすぎて、疲れてしまって……」

「……そう。そろそろ行ける? 私のお部屋で話しましょう。メイリー、あまり心配しないでね。レアとリテアに何かあれば、絶対に私がなんとかするから」

「メイリーさん……ソファー、ありがとうございました。えっと、リテアちゃんは……」

「あ、そうね。……部屋で起こしましょう。レア、手を繋いで」


 リウがレアにそう言い、手を繋いだまま部屋に転移した。

 そして、ソファーにリテアを寝かせると、トンッとその肩に触れる。


「リテア。リテア、起きて」

「……ん、ぅ……? レアちゃ……ねぇ、さま……? ……っ! れ、レアちゃん、大丈夫ですか……!? 怪我は……っ」

「あ、ありませんから、落ち着いてください……! 大丈夫ですよ、リテアちゃん。大丈夫、大丈夫……」

「……そう。やっぱり何かあったのね。……メイリーには、聞かせたくなかったの?」

「……必要以上に、色んな人に心配をかけたくなくて……あ、リテアちゃんにも言った通り、怪我とかはありませんから、大丈夫ですよ」

「……それは、安心だけれど……レア、リテア。話してくれる? 二人に、何があったのか」


 リウが二人にそう尋ねると、二人は顔を見合わせてから頷いた。

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