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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
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ノルティアナの舞踏会⑭

 レクスに挨拶をし終え、リウに抱き締められていたリテアがリウの腕の中から脱出し、きょろきょろと周囲を見回した。

 そして、首を傾げながらレクスとリウに向かって尋ねる。


「おばあさまは、今日はいらっしゃらないんですね……?」

「お母様は普段、執務室にはあまり出入りしないから。探せばいると思うけれど……さて、今はどこにいるかしら……」

「リーベは……どこだろうね。この時間だと……リウの部屋ではなさそうかな? リウが仕事を終える少し前に行くはずだから……となると、ふむ……」

「……同僚との交流か……もしくは、メイリーの……いえ、それならリテアとレアは会っているはずね。……同僚と交流をしているのなら、ちょっと普通に探すのは難しそうね。どうしても挨拶をしたいのなら、呼びましょうか?」


 残念そうにしているリテアにリウがそう尋ねると、リテアは首を横に振った。

 そして、レアと手を繋ぎに行きながら答える。


「いえ、また会った時に挨拶をすることにします。舞踏会には参加されますよね? そこで挨拶をします。今日会えなかったのは残念ですが、姉様の手を煩わせるほどのことでもありません。お忙しいでしょうし……」

「ええ、そうね。参加するはずだから、ちゃんと挨拶しておくといいわ。お母様がリテアのことをどう思っているのか、私は知らないけれど……ふふっ、きっと喜んでくれるわ」

「前に初めて会った時、可愛いって何度も褒めてくれたんですよっ。男装姿も見せたのですが、上手にできていると言ってくださいました! 舞踏会にも男装で参加しますから、また褒めてもらうんです!」

「あら、ふふ……それは楽しみね。お母様には、私からリテアが会えなくて残念そうにしてたって伝えておくわ。そうしたら、きっと舞踏会の日にもリテアのことを探してくれるでしょうから。……あ、そうそう……レア?」


 リウがふとレアに声を掛けると、レアが首を傾げながら近寄ってきた。

 リテアとぎゅっと手を繋いだまま、どうしたのだろうと言わんばかりに首を傾げているレアをリウは微笑ましそうに眺めつつ、その髪を撫でて尋ねる。


「メイリーのところに行ったのは、ドレスを選ぶためよね? リテアの男装の意見を聞きに行っただけではなくて……」

「はい、そうです。選んできましたけど……それが、どうかしましたか?」

「そう……メイリー、ちゃんとレアのドレスも用意していたのね。そのドレスはどこにしまってあったのかしら……それに、時間も……んん……?」

「えっと、リウ様……?」

「……あっ。ごめんなさい、なんでもないの。ただ、少し不思議に思って……私の知る限り、あの部屋にレアに合うサイズのドレスは無かったから。やっぱり最近作ったのかしら……? でも、時間が……」


 リウがそんなことを呟いて首を傾げていると、レアが納得したような顔を見せた。

 そして、苦笑いしながらリウの疑問に答えてみせる。


「私のドレスは、メイリーさんのお家に保管してあったものですよ。お城じゃ保管し切れないから、お家の一室をそれ専用にして、保管してあったのだそうです。最近空いてきたから、落ち着いたらまたこっちにいくらか移動させるようですが」

「……自分の屋敷に……広いものね。……その使い方は、少し想定外だけれど……まぁ、溢れるよりはいいかしら……むぅ、メイリーったら……溢れそうなら言えばいいのに。……あら、でも……時間は?」

「最近移したそうなので、私のドレスを作った時期は知りませんけど……その、メイリーさんのことですし、技術力でなんとかしていてもおかしくはないと思います」


 レアが少しだけ言いづらそうにそう答えると、リウが少し考え込んだ。

 メイリーは時々、わけのわからない速度で服を仕上げることがあったな、とリウが思い直し、頷いた。


「……確かに……そうね。……倒れたり、しないといいのだけれど……」

「おししょ……メイリーさん、お元気そうでしたよ、姉様! 最近凄く楽しいと仰っていました!」

「……それは……ええ、それはいいことなのだけれど。……楽しすぎて無理をしていないか心配なの。一応、最近はよく会っているから、顔色はちゃんと確認しているけれど……うぅ。……ちゃんと部下に任せたりしているのかしら……?」


 リウが心配そうにメイリーの仕事部屋がある方を眺めつつ言うと、リテアが少し考え込んだ。

 そして、レアにコソコソと何やら耳打ちをして、首を傾げる。


「……むむ。ダメなんですね……そうですか……」

「リテア……?」

「あ、姉様……その、レアちゃんに、姉様をメイリーさんのところに連れて行ってもいいかどうか聞いていたんです。でも、姉様は忙しいから……夜になっちゃうと、メイリーさんを働かせるわけにはいきませんし」

「そうね。……まぁ、いいわ。どうせ後で会うし、少しでも疲れすぎている素振りを見せたら無理矢理帰らせるから。リテアの前で気にしすぎたわね……ちゃんとメイリーのことは見ておくから、安心なさい。二人はこれからどうするの?」

「街に出て、お買い物をしに行くんです! それが終わったら、あったかい場所でお昼寝をして〜……ふふふっ」

「そう、気を付けて行ってきなさいね。レア、もし何かあれば、連絡してくれたら迎えに行くから」


 リウがそう言い、楽しく遊びに行く二人を見送った。

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