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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
1022/1102

緊急会議! リウの恋煩い?④

 それから、半日ほどが経ち。

 レアはヴェルジアと、そしてたまたま城に来ていたレインに謝り、ディライトを呼び出していた。


「……来ないわね」

「き、来ませんね……どうしましょう、リウ様……」

「うーん……私が無理矢理呼んでもいいのだけれど。レアはどうしたい?」

「そう提案してくださるのは、ありがたくもあるのですが……謝るために、別の迷惑を掛けるわけには行かないと思います」

「そう。なら、やっぱり会ったら謝る形になさいな。ディライトは優しい……うーん? ……からかいさえしてこなければ、優しいから。特に子どもには」

「……私は子どもじゃありません」

「ふふっ、そうね」


 拗ねた顔をして言うレアに微笑み、リウがその頭を撫でた。

 とりあえず、仕方ないのでディライトに会えるまで待つということにレアも異存はなさそうなので、リウが仕事に戻ろうとする。

 と、その直前、何やらそわそわとしているレアを視界の端に捉え、リウが首を傾げた。


「あら? レア、どうしたの? 何か気になることでもあった?」

「あっ……いえ、その。……リウ様、今日はあまりぼーっとしていないな、と思って……」

「ああ……そうね。……あ、そうだわ。レア、どうして会議を開いたのか、教えてくれていないわよね? どうしてなの?」

「えっ、……どうしてぼーっとしていたのかは、教えてくださらないんですか?」

「ふふっ、会議を開いた理由について教えてくれたらね。人選についても気になるわ」

「う……」


 レアが小さくうめき声を漏らして黙り込んだ。

 そして、数秒ほど俯いたあと、顔を赤くして叫んだ。


「り……リウ様が悪いんですよ! リウ様が、なんだか恋する乙女みたいな顔をしているから……!!」

「えっ!?」

「顔を赤くして、すぐぼーっとしながら窓を見て! そんなの、勘違いしちゃうに決まってます! リウ様が悪いんです!」

「そっ、そそ、そんっ……!? そんなのっ!? わ、私はただ、魔法研究がいい感じに進んでいたから楽しかっただけで……!」

「レインさんも紛らわしいって言ってました!!」

「レイン!? 共犯のくせに!!」

「えっ、レインさんってリウ様が何をしているのか知っていたんですか!? 妙に冷静で興味もなさそうなのは気にかかっていましたけど、まさかそんな……」

「……ま、待って、レア! 会議の人選ってそういうことなの!? 私のことが好きな人を集めたの!? 私があの三人のアピールに屈したと思ったの!?」

「屈したってなんですか……!? そ、そういうわけでは……ありますけど、それだけではなくて! ただ、何かとリウ様のことを見ている方々ですから……!」


 レアが少し照れながら弁明する。

 三人がリウことを好いていると知っているから、もしかしてと思って呼び出したのは事実である。

 しかし、リウがあの三人の誰かに恋なんてするだろうかと言われれば、首を傾げる。

 少なくとも、強烈な切っ掛けを必要とするだろう。

 基本的にリウの傍にいる自分がそれを知らないならば、それは考えづらいはずだ。

 少し冷静になるだけで、レアは会議前からそんな結論に行き着いていた。

 だがレアは、会議を中止はしなかった。

 三人は、よくリウことを眺めている。

 ならば何かしらは知っているのではないかと期待して、深夜にも関わらず会議を開いてしまったのである。


「うー……会議を開くにしても、深夜である必要は無かったはずなのに……今思い返すと、焦りすぎです。……反省です」

「反省しているのはえらいけれど! 私がっ、あの三人のアピールに屈するなんてありえないのに……っ」

「さっきから、アピールに屈するってなんですか……? アピールって屈するものですか……? ……私が知らないだけ……なんでしょうか」

「だって、そんなの悔しいわ。絶対受け入れない。そもそも、レインは嫌いだし、ヴェルジアは既婚者だし、ディライトは……。……その、ちょっと……今の距離感が一番いいと思うの……」

「……可哀想なディライト様」


 前者二つは妥当な理由なのに、今の距離感が一番いいという理由で嫌がられているらしいディライトにレアがぼそりと呟いた。

 そして息を吐き出すと、レアは何故か三人のアピールに絆されて受け入れることをとても嫌がっているリウを見る。


「御三方の誰ともそういう関係になりたくないのはわかりました。けど、結局どうしてリウ様はあんな顔をしていたんですか?」

「あんな顔って……うう。……さっきも口走ってしまったけれど、魔法の研究をしていて……その、異世界の魔法も取り入れようと思って。そういうのは、あまりしてこなかったから……それで、私に勝つために色々工夫をしてきたレインにも手伝ってもらって、成果を上げることができていたの。それで、嬉しくなってしまって……夜が待ち遠しくなって……」


 リウが羞恥で赤く染まった頬を抑えて涙目でレアを見た。

 恋する乙女みたいな顔をしていたことが恥ずかしいらしい。


「……一部分を切り取ると、レインさんに恋をしたみたいな発言ですね。気を付けた方がいいと思います」

「えっ。なっ、え……う、うん、わかったわ……」


 レアからの指摘を受け、リウがおずおずと頷いた。

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