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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
1019/1101

緊急会議! リウの恋煩い?①

 某日、ノルティアナにあるリウの執務室にて。


「……」

「リウ様?」

「…………」

「あの……リウ様、どうしたんですか?」

「………………」

「リウ様!」

「……え、あっ……? え、ええ、何かしら……どうしたの、急に大声を出して……」


 いくら話しかけても反応せず、ぽーっと窓の方を眺めているリウにレアが大声で呼びかけた。

 するとようやく反応をしたリウにレアは息を吐き、怒ったように腕を組む。


「リウ様、どうしたんですか。もう何度も呼んでいるのに、聞こえていないなんて……」

「……そ……そう、だったの。ごめんなさい……ちょっと考え事をしていて。それで、声を掛けた理由は……? ぼーっとしていたからかしら」

「…………まぁ、はい」

「ふふ。なぁに、どうして濁したの? もしかして、教えるのは嫌かしら」

「聞きたいことがあったのですが……少し聞きづらくて。また今度にします」

「あら、そう……気になるけれど、仕方ないわね」


 リウがそう言って肩を竦め、仕事を再開した。

 そんなリウをレアは仕事をしながらもじっと観察していると、リウはふとしたタイミングでまた窓に視線を移し、そのままぼーっとし始める。

 先ほどと、同じ。

 頬を軽く赤く染めて、恋する乙女のような表情で。


「……リウ様……」

「……」

「……」


 そして、時はその日の夜。

 ノルティアナの会議室の一つで、レアは宣言した。


「緊急会議! 緊急会議です! 議題は――リウ様の恋について、です!」

「お〜」

「え」

「……はあ」


 何やら焦った様子で宣言したレアに、三人――ディライト、ヴェルジア、そしてレインはそれぞれの反応を示した。

 ディライトはよくわかっていなさそうな、しかし少しの興味を示し。

 ヴェルジアは驚きで固まり。

 レインは、興味の無さそうな顔で足を組んで座り、頬杖を突いてレアを眺めていた。


「……レインさん、いくらなんでも態度が悪すぎませんか」

「えー……ちゃんとしないとダメ? 興味も無いし、早く帰りたいんだけど」

「リウ様に言い付け……うう、でもそうしたらこの会議がバレちゃう……な、なるべく早めに終わらせますけど、もう少しどうにかできないんですか?」

「でも興味無いし。……あ、でも……うん、いいこと思い付いた。いいよ、真面目に話聞くね。何?」

「ですから、リウ様の恋についてです! リウ様が、なんだか熱に浮かされたみたいな顔をしているんです! 何か知りませんか!?」


 不安そうな表情でレアが尋ね、三人の顔を見た。

 ディライトはニヤニヤしながらレアの顔を眺めており、レインは何を考えているのかわからない笑顔を浮かべている。

 そしてヴェルジアはただただ困惑し、レアに向かって尋ねた。


「レアが嘘を吐くとは思えないけど……本当に? リウが? 結婚願望とか無いのか聞いたら政略結婚の話になるあのリウが……?」

「あのリウ様が、です。だから心配しているんです……でも、何かいつもと違う行動をしているわけでも、誰かに会いに行く様子も無いから、別の理由であんな顔をしているのか、あるいは相手が誰なのか……全くわからなくて」

「ふ〜ん、心配だね〜」

「どうして何も心配していなさそうな顔でそんなことを言うんですか?」


 ずいっとディライトに近付きながらレアが尋ねると、ディライトが苦笑いした。

 それを見たレアは、じっとりとディライトを見て首を傾げる。


「何か……ご存知なんですか」

「顔怖いよ〜……リウちゃんに恋愛とかしてほしくないの〜?」

「そういうわけでは……何が理由でああなっているのかがわからないから不安なだけです。わかったらやめます」

「リウちゃんは子竜ちゃんが告白でもされたら阻止するつもりでいそうだけどね〜……阻止というか、無理難題の試練を吹っ掛けるつもりなのかな〜」

「えっ……いえ、今はそれはどうでもいいんです。それよりもディライト様と、それからレインさんです。ディライト様、どうしてそんな適当な演技を?」


 尋問めいた雰囲気でレアが問う。

 ディライトはそれに困った様子で微笑み、レアの頭を撫でようと手を伸ばした。

 レアがさっとそれを躱し、ディライトを睨む。


「魔力が見えました。お忘れかもしれないので一応言っておきますが、私は影響を受けやすいのでディライト様に近付いたりするのはあまりよくありません。体調を崩したりしたらリウ様に怒られますよ」

「ディライトは何を知ってるの……? 僕、何も知らないんだけど……えぇ……」

「ヴェルジア様、協力してくださいますか。リウ様に何があったのか、ヴェルジア様も知りたいのでは?」

「知りたい……けど。……うーん……過干渉するとディライトが怒るし……確かにリウはコロッと騙されたりしそうな雰囲気はあるけど、あくまでそんな雰囲気があるだけでそうそう騙されたりはしなさそうだし……別の理由なら、心配はいらなそうだし」

「むぅ……じゃあ、レインさん! レインさんはどうして怒ったりしないんですか!!」


 ヴェルジアが協力してくれなさそうなのを感じ取ると、レアはレインに視線を向けた。

 ぷくりと膨らんだ頬を眺め、何気なくその頬を潰して空気を抜きつつ言う。


「なんで僕に聞くの? 何も知らないんだけど」

「な、なにするんですか……こほんっ、そんなはずはありません。レインさんなら、リウ様が恋をしているかもしれないと知ったら平静ではいられないはずです!」

「……」

「クールぶってたせいで疑われるポンコツレインく〜ん、今どんな気持ち〜?」

「うるさい」


 レインとディライトが喧嘩を始めたので、レアは再び頬を膨らませた。

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