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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
1011/1102

重なり、ぶれる。⑦

少し短めです。

 それから、ヴェルジアはあまり頭を使わせるのも申し訳ないからと相談を切り上げ、二人でのんびりとした時間を過ごしていた。

 風を感じながらリアは微笑みを湛えて花畑を眺めており、ヴェルジアは花畑を見つつも横目でリアの姿を捉え、穏やかな微笑みを浮かべるリアに微笑ましそうにしている。


「……」

「……あれ、リア……? ……わっ、と……」


 リアが突然ぽすりと体重を預けてきたので、ヴェルジアが首を傾げながらその顔を見た。

 すると、すやすやと気持ちよさそうに眠っているので、ヴェルジアが苦笑いをしながらその頭を撫でる。


「……戻るか。リアはもう少し楽しみたかったって残念がるかもしれないけど……そろそろ寒くなるしなぁ」


 ヴェルジアがそう言ってリアを抱き上げ、歩き始めた。

 すぅすぅと寝息を立てるリアは年齢よりも更に幼い顔をしており、ヴェルジアは歩きながらも目を細める。


「……ちょっと物騒だったなぁ、リアの意見……人数が多くて大変なら、人数を減らしてしまおうとか……ぼかしてたけど、説得とかじゃなくて殺してしまおう……そこまでは行ってないか? でも、消えてもらいましょうとか言ってたし……大丈夫かな、リア。変な本とか読んでないかな……今度確かめさせてもらおうかなぁ……」


 心配そうにリアを眺めながらヴェルジアがしばらく歩くと、城に辿り着いた。

 するとそわそわと心配そうに辺りを見るレクスとリーベがいて、ヴェルジアは溜息を吐きながら二人に近付いていく。

 すぐに気が付いた二人は急いでヴェルジアに駆け寄ってくると、すやすやと眠っているリアを見てほっと息を吐いた。


「国王と王妃が二人してこんなところにいて、いいの? 仕事は?」

「そんなことよりリアの方が大事に決まっている。それで……リアは……」

「花畑を見てたらそのまま寝ちゃったよ。僕が部屋まで連れて行ってもいいけど……どうする?」

「もちろん、私がリアを部屋まで――」

「レクス。帰ってきたのを確認したらすぐ戻るという約束で宰相から許可をもぎ取ったのだから……もう戻りましょうね?」

「う、ぐっ……! い、いや、だけど、リーベ……」

「私も暇ではないのよ、レクス。リアちゃんが仕事をしないために、私も頑張ってリアちゃんがやれるような仕事を残さないようにしているんだから……創世神様、申し訳ないけれど、リアをお願いします」

「……いいよ。ベッドに寝かしておくから」


 ヴェルジアがそう言い、レクスとリーベが戻っていくのを確認してから転移した。

 そしてリアをベッドに寝かせようとして、固まる。

 リアがヴェルジアの服を掴んで離してくれないのである。

 ヴェルジアが仕方なくそっとリアの手に触れ、外そうと試みるが中々上手く行かない。


「……ん〜……んぅ〜〜……」

「唸られても、ずっとこうしてるわけにはいかないんだけどなぁ……どうしよう。……ぬいぐるみとか……あ、あった」


 ヴェルジアがベッドの片隅にあったぬいぐるみを掴み、外したそばからまた掴んでくるリアの指と服の間にぬいぐるみをねじ込み、リアにぬいぐるみを抱き締めさせた。

 そうするとようやく服を解放され、ヴェルジアがほっと息を吐く。

 思いの外疲れてしまったのでさっさと帰ろうとヴェルジアが再び転移を発動しようとして、はたとリアの部屋に置かれた本棚を見た。

 リアが物騒な発想をした原因になっていそうな本はないので、ヴェルジアが不思議そうに首を捻る。


「じゃあ、あれは……天然であの発想を……? リアはここの本以外は滅多に読まないはずだし……もしくは、書類に物騒なことが書かれてる……とか? ……二人に報告しておいた方がいいかな……。……まぁ今はいいか」


 ヴェルジアがそう言って肩を竦め、転移で帰っていった。

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