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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編
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ifストーリー 楽しい学園生活④

 こほん、とレイシェが咳払いし、目を輝かせながら首を傾げる。

 そして、ニコニコとリウに向けて尋ねた。


「それで、リウ。そのお方とどんなお話をなさったのですか?」

「あ、うん、そうね。うーん……この前ね、リアがヴェルジアとデートをしたの。その時のことを話したのだけれど……」

「あっ……お、お姉さま! それは、レイシェには……!」

「遊園地に行ったそうなのだけれど、それ以降リアが時々真っ赤になるものだから、何があったのが気になって、ヴェルジアに話を聞いていたの。それで、何があったのかだけれど……観覧車でね、リアがヴェルジアに貼り付いて……」

「言い方! どうしてお姉さまはよくわからない言い方をするんですか! 別にびたっとくっついてはいないですよ!」

「大好きとか叫びながら、ヴェルジアにプレゼントを渡したらしくてね。それを思い出して照れてるんだろうって、ヴェルジアが」

「う、う、うぅぅ……っ」


 リアが真っ赤になって机に突っ伏してしまった。

 ぷるぷると震えており、頭から煙を出している幻覚すら見える。

 羞恥のあまり、リアはパンク寸前らしい。


「……お、お姉さまぁ。そんなに私のことを恥ずかしがらせたら……勉強どころじゃ、なくなっちゃうんですからね……っ」

「あら、ふふふ。仲睦まじい二人のことを、レイシェにも知ってほしかっただけなのに。……さぁ、そろそろ再開しましょうか。リア、次は英語よ」

「うっ……き、厳しいです、お姉さま……」


 楽しそうに微笑みながら、リウがリアへの指導を再開した。



 それから一時間後。

 燃え尽きたようなリアを眺めながら、リウが優雅に紅茶を飲んでいた。

 レインとレイシェは和やかに予習復習をしている。


「クッキーが焼けたわ。はい、ゆっくり食べてね」

「ありがとうございます、おばさま。……そんなに何度も作って、おばさまこそお疲れではないですか? どうかご無理はせずに……」

「ありがとう。無理はしていないから、大丈夫よ」

「……母上。作りすぎると、リウもこの後大変になってしまいますから……」

「んッぐ……!!」


 リウが口元を押さえて震え始めた。

 そして、震える手で自信のお腹に触れる。

 甘い物の食べ過ぎは、確かに大敵である。

 リウは特にだらけているわけではないが、食べ過ぎてしまえばさらなる運動や食事管理は必須。

 リウは甘い物が好きなので、特に食事管理は可能な限りは減らしたい。

 そっとリウはクッキーに視線を移すと、息を吐いて姿勢を正した。

 そして、鞄からノートを取り出すと唐突に何やら計算式を書き連ね始める。


「……お、お姉さま? 一体突然何を……?」

「今ここで運動をするわけにはいかないから、せめて頭を使おうと思って……」

「お姉さまはあんまり太らない体質なんだから、気にしなくてもいいと思いますけど……普段からケーキとか食べてるのに、今更気にすることないですよ。大丈夫です」

「ううう……!」


 正常になったリアが冷静に指摘すると、リウが頭を抱えた。

 そして、死んだ目でリアを見ながら言う。


「私はいつも体重計と鏡と服のサイズと格闘しながら甘い物を食べているのよ。太りづらい体質なのは……事実だけれど……」

「それはそれでどうなんですか……?」

「甘い物が美味しいのが悪いの! 美味しすぎるのが悪いの……! うーっ、頭を使わないと……」

「……リウ、大丈夫? とんでもなく大変そうな計算式書いてるけど、家の教育が厳しすぎてストレスになってたりしない? 僕と結婚したらそんな苦労させないよ結婚を前提にお付き合いしてください」

「早口ね……絶対しない」


 むすっとしながらリウがノートに視線を移した。

 そして、目を伏せて考え込みながら何やら計算をしていく。

 それにレインはちょっかいを掛けるようにちょいちょいとその服を摘まみ、言う。


「じゃあ……お付き合いを前提に結婚を」

「……?? し、しない……」

「ダメかぁ……ふふ、じゃあそろそろ解散する? リウもリアも爆発寸前だし」

「お姉さまに関してはほとんどレインさんのせいだと思いますけど……でも、そうですね。あまり長くいるとお父様が心配しますし」

「だろうね、過保護だし。……母上、クッキーをお土産にしたいので、何か入れ物をください。リウは母上の作るお菓子を気に入っていますから」

「そうね。ちょっと待ってて」


 レインがしばらく待って母から入れ物を受け取ると、ささっとクッキーをそこに入れてリウに差し出した。

 甘い香りに釣られて混乱していたリウがはっと理性を取り戻し、クッキーを見る。


「……お土産? もう解散?」

「うん。リウ、話もして疲れてるんでしょ? 早く帰って休んだ方がいいよ」

「う……な、なんでわかるの。リアにもバレなかったのに……」

「ん〜? さぁねぇ。ただ、リアの恋人以外とも話してたのは知ってるよ」

「……わかったわ。それじゃあ、おばさま。お邪魔しました。今度は手土産も持ってきますね」

「お邪魔しました!」


 リウがそう言って手を振り、荷物を纏めてリアとともに去った。

次回からは別のお話です。

それが終わったらまた書く、かも。

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