ifストーリー 楽しい学園生活①
現代で学園に通っている世界線です。
緩い感じで行きます、細かいところは気にしないでください。
終わりにくい感じの話になると思うので、他のが思い付いたら中断、ネタ切れの時にはまた再開を繰り返すかもです。
ちょっとしか出番のなかったキャラも登場させたい……。
本編と年齢が違うキャラクターがおそらくたくさんいます。
リウとかそのままだったら現代にできないし。
◇ 軽いキャラ紹介 ◇
リウ
名家の令嬢。
文武両道、成績優秀な少女。
人気者だが、高嶺の花過ぎて友達がほとんどいない。
よく告白されそうになっているが、レインがしれっとガードしているので告白されたことはない。
受け入れないが、憧れはあるのでリウは告白されないことを少しだけ残念がっている。
レインのことはぞんざいに扱うが、イメージを気にして人がいるところでは他の人と同じ扱いにしている。
現在高等部一年。
レイン
なんかすごい財閥の御曹司。
リウと同じく文武両道で成績優秀だが、常にリウの一歩後ろを保つよう心掛けてきた。
昔はかなりの人気者で、告白されることも多かったがリウ一筋すぎて諦められ、恋愛対象として声を掛けられることは無くなった。
友達はたくさんいるが、浅く広くな関係で、心を開いている友達は少ない。
リウのストーカーをしている。
リウと同じく、高等部一年生。
スティルペース
クラスメイト。
本編では草の大精霊。
三年生の先輩と付き合っているという噂がある。
季節は春。
新しい教室にも慣れてきた頃。
ここ、ノルティアナ学園では、早くもとある噂が出回っていた。
名家の出であり、初等部の頃からこの学園に所属し、常に最優秀者として君臨してきた少女、リウ。
そして、財閥の跡継ぎである御曹司であり、同じく初等部からこの学園に所属し、常にリウの一歩後ろの成績を保っていた少年、レイン。
この二人は――恋仲であると。
「……なっ、なななっ……なぁああ……っ」
そして、こんな噂を耳にした二人はと言えば。
「なんでそんな噂が流れているの!? 事実無根っ、根も葉もない噂にもほどがあるわ……!」
「照れてる?」
「照れてるんじゃなくて怒ってるの! 何がどうなったらこんな噂ができるの!?」
「何がどうなったらって……」
リウは心底嫌そうにレインを睨みながら怒りを露わにしており、レインの方は、若干嬉しそうではあるが反応は薄かった。
そして、それよりもリウのことを呆れたように見つめており、レインは冷静にリウに向かって言う。
「どう考えたって、この前お気に入りのカフェで期間限定のカップル専用特別メニューが出てたから、どうしても食べたくて僕に恋人の振りをさせたからに決まってるでしょ?」
「……ぅ。だ、だって、あなたになら迷惑を掛けてもいいと思って……」
「ふふ、嬉しい。信頼かな!」
「いいえ、下に見ているだけよ? 散々迷惑を掛けられているんだし、これくらい頼んだっていいって……思ったの」
「まぁ、だと思った。下に見てるのは普段の態度からしてそうだしね。……お願いされた時から思ってたんだけど、見通しが甘すぎるよね。リウは有名人だから、注目されてるに決まってるのに。学内新聞に載るんじゃない?」
「わ、わかってたなら教えてくれても……っ」
リウがそう言って唇を噛み、溜息を吐いた。
レインがそんなことを教えてくれるはずがないので。
「あ、見通しが甘いと言えば。あーんな噂が流れている中で、この状況も不味いよねぇ。急にリウが僕を引っ張っていって、姿を消して……今は、二人っきりで人気の無い物陰に。見られたら……いよいよ挽回できなくなるね!」
「なんで楽しそうなの……あ、あなただって……っ。……あ、あなただって……ほら……恥ずかしいでしょう!!」
「僕が困る理由がないことに今気付いたの? 元々求婚してるし、この状況って外堀を埋めるのに丁度いいんだよね」
「求婚……っ、そんなの絶対に認めないから! 私はもう行くから、適当に時間を潰してから戻ってきて! 一緒に帰ったら、また妙な誤解を生んじゃう……」
「いいよ。じゃあ後でね」
レインがそう言って手を振ると、パタパタとリウが走り去っていった。
それを見届けて、レインが笑う。
「……やっぱり、噂流して良かった。このまま外堀完全に埋めちゃってもいいけど……先に噂消されるかな。何も言わないだけで、僕が働きかけたことはわかってるだろうし……あんまり嫌われちゃうのもな。……うん、この辺りで満足しておこう」
レインがそう決めて、 しばらくの間そこから動かず、リウの指示通り時間を潰してから教室に戻った。
数分の差だが、一緒に戻るよりは随分とマシだろう。
教室に戻るとリウは噂を消すのに必死になっており、レインは彼女に声を掛ける。
「リウ。なに、例の噂を否定して回ってるの?」
「えっ、あっ……ええ。だって、事実無根だもの。……ね? レイン」
リウはそっとレインに目配せをして話を合わせるよう要求する。
一応、レインとしては別に従う理由はないのだが、必死なリウが可愛いので従っておく。
リウは周囲にはレインのことも嫌ってはいないかのように装っているので、この場では嫌いだからありえない、などとは強く言えず、少し困っていたのだろう。
レインが頷けば、リウはあからさまにほっとした顔をしていた。
「そうなんですか……残念です。ようやくリウさんにも春が訪れたと思ったのに……」
「スティルペース! 春って……もう。とにかく、あの噂は事実なんかじゃないから、広めないでね。あ、間違いだってことは広げてくれると嬉しいわ」
「お似合いだと思ったのに……仕方ないですね。わかりました」
「……お似合い…………」
リウがスティルペースから顔を逸らし、苦虫を噛み潰したような顔でレインを見た。
そして、また笑顔を浮かべてスティルペースを見ると、彼女から距離を取って息を吐く。
有名人であることが災いして、噂は高等部全体に広がっている。
リウ一人で止めるのは、流石に無理があるだろう。
「大変そうだね」
「あなたのせいなのに、他人事なのね。……お似合いだなんて……はぁ」
「名家のご令嬢と財閥の御曹司。確かに、お似合いだと思うけど?」
「肩書きだけを見れば、ね。みんなはあなたの本性を知らないから……」
リウがそう言ってレインを睨むと、レインは笑顔でそれを受け止めた。
全く響いていないレインにリウが息を吐いて、そろそろ休憩時間が終わるからと自分の席に向いながら言う。
「私はあなたの本性、全部知ってるんだから」
「本性って? ストーカーしてること?」
「録音っ……してないぃ……っ! もう一回! もう一回言って!」
「言わないよ、録音されて警察に届けられちゃう。……まぁ、揉み消すけど……大丈夫だよ、付け回すだけだから。家は元から知ってるし、夜は危ないから堂々と家まで送るし。あといつでもストーカーしてることがわかるように堂々と後ろ歩いてるし。距離があるだけで」
「ダメなものはダメなはずなのに……どうしてあなたみたいなのが放置されているの……? おじさまとおばさまは何をなさっているの……」
「仲良く一緒に登下校をしてると思ってるよ」
「んぐぐぐ……!」
レインのストーカー行為をどうにもできない現状に、リウが小さく唸った。
リウの言うおじさま、おばさまはレインの両親です。
本編ではほとんど活躍してないから出したい。
過去編でレインの父親は割と喋ってたかもしれない。




