未来世界のクローン戦士物語 ☆エピローグ 守るべきものたち☆
月曜日の、朝の通学路。
学校へと向かう悠は、なんとなく右の頬に触れている。
「今朝のメール…一昨日のハエ怪人、やっぱりあの全裸女性が オリジナルだったって…」
麗しい女性の裸身を思い出すと、朝からドキドキしてしまう、年頃少年だ。
ついでに、文面が頭を過る。
『キミの口座に、ちょっとしたボーナスも入金されたぞ。怪人との闘いは命掛けだからな。怪人を倒した場合、危険度に応じて支給されるのさ。イェイ!』
それは、金額ではなく素直に嬉しい。
少年は晴れた空を見上げる。
青い空には、青白い月が浮かんでいた。
あの場所にいる宇宙人から、怪人が送られてくる。
その戦いは、まだ終わりを見せていない。
それでも。
「とにかく、僕は僕だ」
周りを見ると、何も知らない学生たちが通学路を歩いている。
友達と馬鹿話をしたり、何か楽しそうにワクワクしていたり。
その姿は、一昨日までの自分、そのものだ。
(そして僕は、みんなを護るために戦った)
それは確かに、悠の自信へと繋がっていた。
通学路の前方で、始と美優がいつも通り、仲良く登校している。
そんな光景に、胸の痛みは、まだある。
それでも、一息だけ静かに深呼吸をすると、悠は小走りで二人に近づいてゆく。
「お早う。お二人さん」
「わ、お早う 水鏡くん!」
「お早う、水鏡くん」
始と美優は、悠からの挨拶にちょっと驚きながらも、嬉しそうに挨拶を返してくれた。
~終わり~




