人形の夢
肩くらいまで髪を伸ばしたもうすぐ30になるだろう女性は
お城のような所にパーティーに誘われていた
そこには彼女の知り合いも沢山来ていた
大人しい彼女は流れるままに生き、流れるようにしてこの場所にも来た
「同窓会みたいよ。私たちはここね」
友人に声をかけられ部屋は移動したのは中くらいの広さの会議室のような部屋だった
そこで椅子取りゲームのように並べられた椅子に順番に座り、普段言えないことを面と向かわずに言えるようにされている
ガヤは壁沿いに円になっており、笑うもの、もっとやれというもの様々だ
どちらかというと見守っている人の方が多いのかもしれない
私たちが着いたときはちょうど男性4人のグループが話していたところで、
もう少しで殴りかかりそうな剣幕までいっていた
面と向かっていないから仲介人がどうにかなだめたようだ
男性たちの話し合いが終わったかと思うと、
「私たちも」
と引っ張られ3人で話し合うことになった
「ずっと言いたかったんだけど私、あんたと正直性格が会わないと思ってるのよね」
「私もよ」
誰に言っているか分かるかのように言い合いを始める友人
私は、正直なところ二人とも普通に良い友人だと思っている
ただ、親友とまでは言えないのは私の性格が大人しくて、人を頼りにくい面があるからだろう
友人だけどもちろん秘密はある
そんなことを考えているうちに2人の話し合いはヒートアップしていた
「あんたね」
「何よ」
2人が席を立ち睨み合っている
どちらかが手を出せば、すぐに暴力のけんかになりそうなところだ
この場合私はは一応仲介者だろう
「まあまあ」
「あんたはどうなのよ」
「え?」
考えていて話なんてほとんど聞いていなかった
2人に睨まれるように聞かれる
何て答えようか考えていたそのとき
電話が鳴った
「ごめん」と言って
私は電話に出た
-今から出てこられない?-
落ち着くためにテイクアウトのジュースを一飲みして
「分かった」
と電話相手に伝えると私は逃げるようにその場所を去った
後ろで私を呼ぶ声がするがもう私は聞こえていない振りをした
詳しく聞くと向かいに来てくれるという
電話を切ると
私は少しの不安と話し合いから意識を反らすようにして階段を下りた
「何でも信じてしまうと、危ないよ。」
階段の影から顔の整った男が覗き、私に何か呟いたが私はその人の言葉にも気付いていない。
頭の中ではもう何もかも面倒臭いことから逃げ出したかった
玄関までいくと、知らないロングヘアーの女の子がいて、電話相手のショートヘアーの女の子が来た。
電話相手の女の子はもしかしたら男の子のかもしれない
ここに来て会場の場所を聞いたときに親切にしてくれた
そのときに電話番号を交換したのだ
「おまたせ。」
「行こうか。」
会場の少し重たい扉が門番によって開かれ私たちが外へ出ると、ちょうどバスが来たところだった
外はもう真っ暗
バスの色は茶色と黒か?
よく見れば幼稚園バスのような可愛い絵が描かれている上に茶色や黒が汚れのように上塗りされているのだが私は気付いていない。
2人に続いて来たバスに乗り込む
内装はリムジンのようだ
座席が2段になっており
そこにはたくさんの人形が会議のように座っていた
なぜだか、降りる選択は浮かばなくて
バスのドアが閉まったことに気付いていない
きっとゆっくり閉まったのだろう
空いていた2段目にロングヘアーの女の子が座ったからちょうど空いていたその隣に座った
人形が動いているのになぜだかあまり怖く感じない
でも少し怖く感じる人形もいる
座った斜め右には白黒に見える大きめのピエロの人形(?)がいる
ぬいぐるみ系は見当たらない
このピエロは少し怖い
1段目に座っていた男の子の人形が背中をくねらせ体を柔らかくして上ってきて、私の左隣に寄り添うようにして座る。私はその人形の腰に手を回した。
この人形はどこかで見たことがある。どちらかといえば好きな方だ
「お屋敷は初めてだよね?」
と女の子?に聞かれ
そうなの?というようにみんなが私を見る
「うん。そうなの。」
「これから行くのよ。何でも聞いて。」
「お化けは出るの?」
「お化けは出ないわ」
人形たちが嫌々という風に首を振ったりしている
男の子の人形が私の唇に人差し指を当てて「秘密」のような「静かにする」というような意味を作っている
でも、何が言いたいのかよく分からない
あまり話すなと教えてくれていたのかもしれない
バスは私の知らない道を走っている
外の景色に青いピエロの顔や、ニット帽が見えた気がした
きっと、イルミネーションだろう
このバスはどこへ向かっているのだろう。
これから何が起こるのだろう。
私はここで目が覚めた