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リセットメガミ  作者: さっさん
File8: 女神は墜ちる ~カニバリゼーション・マーケット~
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Report75: 戯れの学園生活

 タイの大学というものに関して、軽く説明しておく。

 現代の日本と同じで、大体は満十八歳で入学する事になる。飛び級もあるようだが。

 進学率はアジアの中では高く、タイが教育に力を入れている事が分かる。私立や国立など違いはあるが、建物も立派なものばかりだ。尤も、それだけお金が掛かっているだろうけど。

 俺が入ったのは医学部の三年生だった。班に所属する事になり、編入という形でもって潜り込んだ。

 研究棟があり、その内部で講義が行われている。ターゲットのサムチャイ教授もその一角の研究室を普段利用しているようだ。


 潜入調査が決まり、それから二週間後。

 眼前には雄大な景色が広がっている。眺望はとても良い。場所はバンコクのキャンパス内だ。緑が大切にされているようで、外観としては沖縄に近い。少し尖った、タイ独特の建築様式が並んでいる。管理の行き届いた草木と芝生が、豊かな校風を映し出していた。


 無事に内部へと潜り込んだ俺は、人生で二度目のキャンパスライフを謳歌して……はいなかった。

 タイの女学生は結構可愛いな、とか思っていたのも束の間。仕事をしなきゃならない。授業を受けなければならない。

 正直、講義内容についていけていない。授業レベルが高いのもそうだが、全部タイ語で分からないんだよね……。


 自分で言うのもなんだけど、どうやら学習能力は高いみたいで。この大学に関する情報も全部二週間で把握したし、今後の授業計画と年間のスケジュールも全て網羅しましたよ。

 タイに移住する時だって、短い期間でタイ語をマスターしましたよ?

 だけど……付け焼刃で誤魔化せる程、タイの大学の三年次は易くない。

 このままだとテストで赤点になり、単位が貰えずに浪人する事になる。……まぁ、潜入調査だし問題ないかもしれないけど。

 でも、目立ちたくないんだよね。今だって、日本人のおっさんってだけで、何やらコソコソと噂話をされているようだし……。


「えーっと、特に変わった様子は無いですね」


 受話器越しの「了解した。引き続き調査を続けてくれ」という声が聞こえ、通話が切られた。相手はメガミだ。

 時刻は昼過ぎ。彼女への定時連絡は欠かさない。一人虚しく屋上でランチを食べつつ、毎日こうして状況を電話で報告しているのだ。

 学食にしないのかって?

 数日の間、学食を貪り、食らった。ビリヤニ、バミー、ガイトート等々。


 ビリヤニは米料理だ。肉、野菜なんかをタイ米と混ぜて、炊き込む。アジアでは結構食べられているみたいで、スパイスがかなり効いていた。

 感覚的にはピラフみたいなものかな……?

 バミーは簡単に言うとラーメンだ。鶏がらがメインなんだけど、味が薄かったので卓上調味料を足した。食べ方が違うのかもしれないと思って、食堂のおばちゃんに聞いてみたら「バミーは自分で味を調節する料理だから、薄味だよ」との事。成る程ね。

 麺も何種類か選べたみたいだけど、よく分からないから「人気のヤツで!」って伝えた。

 ガイトートってのはフライドチキンみたいなものかな。

 冷凍ではなく、その場で揚げているもので、揚げたてのサクサクとした食感と油の匂い、香ばしさ。その上からソースをかけて食べるんだが、マジで美味い。

 あと、バイキングもあった。本場のカレー、サラダ、フルーツ……最高だよね。

 ……で、その後、お金が無い事に気付いたんだよね。


 学食は安い。恐らく、国内外問わず、価格競争が行われているんじゃないかってくらい、安い。

 俺が昔通っていた大学も当時、二、三百円でしっかりとしたメニューが食べられた。

 だけど、今の俺にそこまでの財力はない。バミーとガイトートにはまって、気付けば散財していた。

 毎日浪費するわけだし、三十歳を超えてから食事量も増えた。安上がりがベターだ。それに……日本人がタイの大学で学食を食べていると、一際目立つ。なので、昨日からはこのテラスで食べている。

 天気も良く、青空も澄み渡っている。冬服も買ったし、何一つ問題はない。潜入調査という事実を除けば、ね。

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