Report43: 黒幕の正体
「ウチを狙うのは邪魔だからってか。真実を知った俺たちを、生かしちゃおけねぇって訳だ」
「フン、もしくは『これ以上関わるな』という警告であろうな……まぁその警告を破った結果、ワットプラケオで酷い目に遭ったのだがな……」
ゾフィの言葉を、ロジーが補足した。
いずれにせよ、だ。喧嘩を売っておいて、「すいませんでした」と引き下がると思われているのなら、面白くない。こちらは怪我人も複数出ている。
「それで、ヤツは何故そんな事を?」
メガミが尋ねた。金持ちを狙ったり、老人を殺したりするのには理由があると考えたからだろう。
「奴が言っていたんだが、どうやらそのリクセンという男……狙いは『世の中を綺麗にする為』らしいぜ」
「随分とロマンチックな人間のようだな」
腕を組んで聞いていたメガミは、呆れたように嘆息した。
確かにそう言っていた。となると、スパホテルの女社長が殺されたのは、邪魔だったから……というのもあるのかもしれない。
本人が明言していたのは大きいが、スパホテルの女社長死亡は、やはり事故ではなく殺人だ。そして、ブラックドッグを襲撃、航空機のテロや高齢者殺人、全ての事件の裏で糸を引いていた、という訳だ。カウィンに銀行強盗を唆したのもコイツかは断定できないが、捕まえれば自ずと判明する事だろう。
金持ちを狙っているのに、自らが金持ちというのは矛盾しているように思える。歪んでいるな。
「それで……どうすんだ?」
ゾフィが問いかけると、メガミはガーネットの瞳をギラリと光らせて答える。
「フフン、カメコウはタイ警察に情報をリークしろ。――奴の人生をリセットしてやるぞ」
「「「了解!!」」」
俺達は口々に承知を告げ、いざ、リクセン・エバーローズの“人生リセット計画”が始まった。




