表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リセットメガミ  作者: さっさん
File3: 女神と不穏な影 ~凶行と強行~
25/101

Report25: 危機

「俺は右の奴を仕掛ける。ラッシュは左! 何でもいい、足止めしておけ!」

「了解!」


 俺にそう告げたゾフィはそそくさと去っていってしまった。何でもいい、と言うが……さて、どうするか。銀行強盗のカウィンを攫った時もそうだが、《リセッターズ》は毎度ぞんざいな作戦である。


『ゾフィ、ラッシュ、任せる。こっちはJゲートへ向かう。そのままコンコースDだ……援護を頼むぞ!』


 メガミからの連絡が入った。どうやら護衛対象はエスカレーターから真直ぐ、前方のゲートに入るみたいだ。


「どうも、すいません。お手洗いってこの辺にありますかね?」


 ゾフィに指示された通り、俺は足止めを試みた。メガミに歩み寄ろうとする不審な男に声をかけたのだ。他のテロリストがメガミ達と接触するよりも、早かったようである。メガミ達の付近に不審な奴等は見当たらない。

 俺が話しかけたそいつは中東っぽい風貌で、髭を生やしている男だ。目は猛禽類のように鋭く、危険な香りがした。


「あぁ? そこにあるだろ!」

「え、どこですか? すいません、人が多くて……」

「悪いが急いでいるんだッ! 他のヤツに聞いてくれ!!」


 男は俺を睥睨(へいげい)すると、苛立ちを露にして突き飛ばしてきた。相当な力だった為、みっともないが、俺はすっ転んでしまう。

 そのままチラリとゾフィの方を見てみると、フードを被った不審な男と何か揉めているようだった。あちらは大丈夫だろう。


 メガミは……まだ手続き中だ。マズイな。まだ時間が掛かりそうだ……。

 俺が話しかけたテロリストは、歩を早めてメガミ達の下へ向かっている。

 もう暫く足止めしなければならない。……ええい、仕方ない。


「……ちょっと、突き飛ばすのは無いだろう! おい、あんた!」


 俺は起き上がると、タカのような目をしたその男の肩を掴み、そいつの前に立ち塞がった。

 すると男は、間髪入れずに懐から拳銃を取り出した。俺は思わず、嘘だろ、と相手の顔を凝視する。


 パァン、という銃声が空港に響いた。一瞬の静寂の後に、その場に居る人々のざわめきが反響する。

 咄嗟に身を捻ったが、俺の腕を掠めていた。焼けるような、ジンジンとした痛みが走り、白いシャツに深紅の血が滲んでいく。


 銃声を合図に、他のテロリスト達もが一斉に凶器を取り出した。それを見て、鈍感だった大衆もようやく事態に気付いた。

 周囲は騒然となり、我先にと逃げ惑う姿はまさに狂瀾怒濤。「落ち着いてください!」と叫ぶ空港職員や、ゲートを勝手に越えようとする旅客で紛然としていた。


 視界が狭窄(きょうさく)していく……。俺は、意識ごと暗闇に飲まれていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ