Report14: 日はまた昇る
明朝、午前九時。
何が起きても、一日は始まる。女社長が死亡しても、夜は明ける。
俺は《リセッターズ》事務所に今日も今日とて出勤していた。
他のメンバーは立ち直りが早いのか、平然とした様子で顔を出してきた。
俺はと言えば、ショックで昨日はあまり眠れなかった。
「メキシカンマフィアからの依頼だ。これは……小競り合いの仲裁だな。ゾフィ、頼む」
「あいよ」
メガミも無論、いつもと変わりない。その端正な顔にポーカーフェイスを貼り付けて、各自に仕事を振り分けてゆく。
今しがた仕事を引き受けたゾフィは、早くも出て行った。……すれ違いざまに、俺の肩を叩いて。
元気を出せ、という事だろうか。彼なりの気遣いかもしれない。
カメコウはデスクワークなのか、ノートパソコンで何やら作業をしている最中だ。
「結構、アメリカ絡みが多いんですね?」
俺はメガミに聞いてみた。ここタイに来て分かった事がある。観光客も多いのだが、アメリカ人が案外多い、という事だ。請け負う仕事は、必然的に彼等からのパーセンテージが高くなる。ゾフィの今度の依頼も、メキシコが絡んでいるようだし。
「第二次世界大戦の後、タイとアメリカは同盟を結んでいるからな。アメリカ人は多いだろう。
まぁ、その事を差し引いても、近年はタイが注目されているから――」
Prrr…… Prrr
俺が仕事を割り振られるのを待っていると、事務所の電話機に着信があった。
メガミは一旦俺との会話を中断して、「こちらは、リセッターズ……」と慣れた様子で受話器を取る。
通話内容は不明だが、最終的に了解の旨を告げ、電話を切った。
「フフ、愉快な依頼だぞ」
メガミは不敵な笑みを浮かべていた。そして、金髪をそよがせて事務所の扉を開け放った。
「ラッシュは私と仕事だ。車で出るぞ! カメコウ、留守を頼む!」
俺はメガミの背中を追った。
今度の依頼は一体どんな内容なのか。




