表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

傘立てと彼

作者: 公賀 想

窓から真っ赤な光が差す。

雲は赤から紫の綺麗なグラデーションに染まり、

真っ白な雲は殆ど無い。



平凡の中にふと、非日常を感じさせる風景はこれだけではない。

教室に置かれた、大きなプラスチック製の傘立てに飲み込まれている「彼」。


「居心地いい?」


私が問うと


「寝心地悪いのは確かかな…。」


腰からすっぽり体育座りのような形になりながら

傘立てのレビューをした。


「普通に入った方が居心地は良さそう…」


「今更すか…。1人で出られそう??」


それを聞くと 意地でも出てやる、と言わんばかりに足をばたつかせたり、手の力だけで出ようとする彼。



「…ねえ、お願いがあるんだけど…。」

彼がニタつきながら手招きをした。


「手伝うよ(^ω^)」




──────────────────────



「ちょっと!!!何!?手を引っ張ってくれればいいじゃん!!!」


「女の子だよ?そんな力ないよ〜、傘立て倒しちゃった方が出やすいって!壊れちゃったら大変じゃん!!!ほら行くよ〜」


そう言って傘立てに手をかける。


「うをぁ!怖い!!ゆっくりね!!!!ゆっくりゆっくり!!!」


傘立てに体をくっつけ安定させながら、ゆっくりと斜めに傾けていく。


ズズ…ズズズ…


「ひぃ〜…」


ズズ…ドカン!!!!!


「ギャッ!!…だから言ったじゃん!!!(;_;)」


ヒィヒィ言いながら彼が訴えた。


「いひひひwwww笑う!!www早く出なよ!」


「ううう…(´;ω;`)ありがとう(´;ω;`)」


彼がゆっくりと出てくる。


「膝の裏が痛い…。」


ずっと膝と脇で体の重さを支えていたのだから、そんな変な所が痛くなってもおかしくはない。


「楽しかった〜( ̄▽ ̄)私がいなかったら死んでたんじゃない?」


「それはある…。命の恩人!」


私に向かって拝む彼。

「奉納品まってまーす。」


「ジュース奢る!」


もうすっかり青黒くなった空。

落ち着きを放った校庭。



その日奢ってもらったサイダーは格別に美味しかった。

一仕事した後だからなのか、奢ってもらったからなのか。

その2つを含んでいた事、もう1つ特別な感情があった事に、当時私は気付かなかった。

こんな事あったなぁ(大嘘)


キラキラしている時って戻ってこないから、もう少し大切にすればよかったという後悔の念も込めた作品です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ