第9話.何やってんの
ふぁーっと伸びをし、ベッドから起きる。
固くもなく、されとて柔らかすぎず。けっこう寝心地がいい寝台だった。
きのう助けた三人は、これから向かう街の領主の娘と付き添いだそうで、どうやら後継ぎ問題が起こっているようだ。
とりあえず爺さんの方に、この付近の情報を教えてもらうかな。
「爺さん起きてるかー」
「あぁ、お主か、起きておる」
「寝言で返されても困るけどな」
「それで何用じゃ」
「体の調子はどうだ?」
「あぁ、さっき嬢ちゃんに聞かれたが、大丈夫そうだよ」
それは良かった ───
俺はA3の紙を爺さんの前に広げる。
印刷したのはランドさんが撮った、現在地からこれから向かう街の上空写真。
座標に関しては、ミーちゃんが相対的に表してくれた。
「これは見事な、紙…ですな。ここに描かれているのは何ですかな。」
「ん、これから向かう街までの写真だ」
「しゃしん?ですか・・・」
「あぁ。それでお願いがあるんだが」
「ま、まさか、街を襲うとか」
「あー違う違う。俺たち昨日ここに来たばかりでさ、情報が殆んどないんだ。ここの街道の名前も、これから行く街の名前も」
「お主らは異なる世界から流れ着いた者か?」
「まぁ別の世界から来たのは否定しないが、知っているのか?」
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異なる世界から、異世界から来たのは俺たちだけではなかった。
言い伝えレベルで残っているそうなんだが、それが150年ほど前に、人の住む地域が壊滅に遭うのを防いだとか。
まさか俺らが来たのも?
違うよな?
向かう街はの名は、エステリア国の東端にあるサンラ。
人口は約1万3千人。
農業と畜産、近くに鉱山があり、鉱石の産出と鍛治で成り立っているようだ。
住人以外は門の通行料が徴収される。
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爺さんたちには、もう少し休んでもらって昼から移動するか。
「ティファ─」
『何でしょうか、主』
「準備中悪いな、昨夜の敵判定の奴らどうなった?」
『それなんですが』
「ん、どうした?」
外に連れ出されると、そこには───
「何やってんの?」
- 『おお、これはスグル殿、これは中々人懐こい動物でございますな』
狼に似た魔獣を従えているランドが居た。
疎通を図ってみると、なんでも近くの水場が干上がってしまい、移住先を探していたそうな。
魔獣と疎通を図るとか翻訳さんどこまで行けるの?
昨日、敵判定された者達は、この魔獣の餌になったと。
その後ここに向きを変えて来たのでランドさんとミーちゃんが捩じ伏せたと。
まぁ力の強いものが頂点に立つけどさぁ、普段は軌道上に居るんだから面倒見れないじゃない。 どうすんの?
「お、お主らやはり街を襲うのでは!?」
「それは無い」
断じて無い。
「で?、水場は俺らでも行ける場所なのか?」
- 『ぬ?シライ殿よ、こやつらに戻り絶えろと?』
「いや、まずこの人たちを街に送ってから、給水にいけば良いかな…と思ったり?」
- 『ふむ、水を貯めてその後はどうするつもりだ?』
「干上がった原因を調べて、治す?」
- 『大雑把じゃのう』
「と、言うわけで、まずは街に行こう」
名前と口調を考えるのが大変です。
きっとどこかで分からなくなります。