第159話.調整
「王よ、今は時間あるか?」
「おお、どうした、」
「サンラのスグルがようやく動き出したようじゃ」
「サンラのスグルとは、災害のときに復興に力を貸してくれた、あのスグルか?」
「あぁ、その認識で間違いない」
「ほほう、で?何か要求でも有ったのか?」
「運送業を開業するにあたって、ここいら辺の土地を希望だそうじゃ」
地図を広げ説明する
「商業区画から離れておるようじゃが?」
「うむ、都市計画を入れた区画整理後の状態じゃ、スグルも気を効かせたようでの、立ち退きが発生しないよう郊外の土地を希望だそうじゃ」
「ふむ…。しかし開業するのは運送業か、暴動でも起きそうだな」
「まぁそこは商業ギルドしだいじゃろうな」
「スグルのことだ、何かあるんだろうが、この地区でこの広さは…」
「なにをするのかは明日確認するとしよう」
「うむ、頼むぞ」
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翌日
ギルド受付
「こんにちは」
「あ、スグル様いらっしゃいませ」
「もう皆さん到着されてます?」
「いえ、あと少しで集まると思いますよ。───こちらでお待ちください。」
「ありがとう」
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コンコンコン
「はい」
「失礼します。」
カチャ
「国土防衛大臣が到着しました」
「みな、お揃いですかな」
「ああ、お主で最後じゃな」
「それでは、此度、王国で開業申請の出された、スグル殿からの希望の土地について、申請者のスグル殿から使用される内容を説明していただきます。えー、それでがこちらがその一帯となります。」
「ふむ、事前に聞いておったが、この広さは…、スグル殿よ、此だけの広さ何に使うのじゃ?」
「はい、先ずは魔導車教習所と整備所を造ります。」
「魔導教習所とな」
「はい、サンラでは既に車両10台が製造されていますが、まずは運転技能を学んで貰う予定です。」
「つまり、現状は製造された魔導車は市場には出ない、ということじゃな?」
「えぇ、そうなります。」
「他には?」
「はい、教習所といっても単なる道があるだけでは勿体無いので、従業員の寮なども建てる予定です。」
「寮とは?」
「単身や家族で住める住居ですね。」
「その住居区と教習所を合わせるのかの?」
「ちょっとした町並み、路地を再現できれば練習になりますよね」
「ふむ、いや、しかし事故でも起きたらどうするんじゃ?」
「走る、運ぶ、だけが魔導車ではないのです。衝突や捲き込みを避けるシールドを展開しつつも、サーチ魔法による識別で運転者にも接近を警告する仕組みが組み込まれています。」
「そのシールドは常に展開されておるのか?」
「いえ、サーチに反応があった時に展開する仕組みですね。…あ、町中では常に展開されます。」
「して、運転技能ではなにを学ぶのじゃ?」
「はい、まだ法整備されていないので、魔導車を運転するときに守ってもらう規範を学んでもらいます。えっと、サンラが基準になるんですが、馬車や魔導車は左側通行、またサンラには信号機が設置されています。人、馬車、魔導車に共通で適用していて、赤なら止まれ、青なら安全を確認して進め、歩行なら道路を横断という感じですかね。」
「それを守らないとどうなる?」
「んー、そこなんですよね…。法整備されていないんで、罰則というものが定まっていないんですよ。サンラでは学校で教えていますし、ルールとして浸透はしてきていますが、サンラを離れると意味が無くなるというか、………なので、魔導車を扱う側でまずはルールとして守ってもらうとういうのが狙いです。」
「しかしのぉ、…これだけの範囲の敷地じゃ、村といってもおかしくないぞ?」
「そう…なんですか?」
「いっそうのこと、村、町にせんか?」
「いや、そもそも生産しませんし、税金も商業ギルドを通しますから」
「もし…じゃ、もしこれから国中に交通ルールを普及させるなら、国や領主が関与したほうが良かろう。法整備しやすくなるぞ?」
「いや、しかし税金が。人頭税やら色々掛かるんでしょう?」
「なに、そこは開拓法が適用される。」
「開拓法?」
「そうじゃ。5年間は免除される。が、徴税方法も領主が決定出来る。」
「つまり?」
「ここまでで分からぬか、商業ギルドを介して払う税金方式を町村で導入できるんじゃよ。」
「あれ、殆んど変わらない」
「それに、じゃ」
「他に何か」
「王国から整備補助も支給ができる。まぁ申請してもらう必要はあるがの、どうじゃ?」
「それで進めて貰えますか」
「うむ、まぁ色々調整は必要じゃろうて、商業ギルドも交えて協議しようではないか。タジア、調整は任せるぞ。スグルよ、発展を楽しみにしておるぞ」
「は、畏まりました」
「ありがとうございます」
皆様お久しりぶりです。
前回投稿から1年3ヶ月も開いてしまいました。
コロナもまずは落ち着きを見せていますが、周りでもまだ感染者が出ているので油断はできません。
ワクチン接種できるなら受けたほうが良いかも知れません。
今後もよろしくお願いいたします。