第150話.犠牲は付きもの
魔導車の試作車が組上がったとのことで、
早速、ティファを連れて鍛治ギルドにやって来た。
「こんにちは、ギルド長居る?」
「いらっしゃいスグルさん、とティファさん。ギルド長呼んできますので、こちらでお待ちください。」
職員に応接室へ通される。
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「やぁすまんね、待たせちまって。」
「いえいえ、試作車が組上がったって聞いたから、気になって見に来ただけなんで。」
「そうなんですか、此方からお伺い立てようとしていた所でしたが」
「試作車を見せて貰っても?」
「えぇ是非に。感想を伺いたい。」
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整備工場を窺わせる場所に通される。
「ささ、此方です」
「ほーー」
荷馬車を改造したか。
ワンボックスカーのボディが無い状態だ。
「どうですかな」
「試作段階で此処まで作るのは凄いですね。」
「そうでしょう、そうでしょう。」
ギルド長はご機嫌のようだ。
「車体は馬車を改造しましてね、前進と後進をレバーで切り替え、速度のペダルと、舵、ブレーキを付けました。」
「うーん」
「なにか…」
「でもこれ、荷物を積んだら危ないよ?」
「そんな、何がいけないんですか、少ない魔力で長い距離を走れんですよ」
ティファの話では、魔法陣のギアがマニュアル車で云う5速で固定の状態だとか。
たとえ走らせることが出来たとしても、良くて魔力切れ、悪くて暴走するか爆発を起こすそうです。
「んじゃ外で走らせて見せてよ」
「ははは、きっと成功しますよ」
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「スグル殿、ここには魔物は出ないでしょうな」
「あぁ、冒険者が定期的に討伐してるようだからな、それに」
「それに?」
「この草原の主が守ってくれるよ」
「な、なるほど、心強いですな」
「じゃあ早速見せてよ」
「良いですとも、さ、キミ早くしたまえ」
「了解っす。では」
ブーーーーンと音を立てゆっくりと動き出す。
「おおお、成功だ!、スグル殿動きましたぞ!」
「まぁ、うん。次はさ大人20人を載せた呈でやってみて」
「20人ですか?」
「うん、領内の循環馬車が20人乗りでしょ?、魔導車に置き換えた時を想定してさ」
「なるほど、20人は…」
「重りを載せよう。1200kgでいいかな。」
「大丈夫っすかね」
「まぁやってみよ」
「はぁ、では行くっす」
ブオーーーーーンと大きめな音を立てて動き出す。
「ほ、ほれ、スグル殿動きましたぞ」
「うん、少し音が上がったね」
「しかし問題は無さそうですぞ」
「次は商隊を想定してみようか」
「次は何すか」
「商隊を想定してだな、3000kgかな」
「う、うむ。その荷重で動かしてみよ」
「大丈夫っすかね…行きますよ」
ブブボボボボボ…ドーーーーーン
「ぎゃああーーー」
「まずい!ティファ止めて!」
『はい……ダメですブレーキが制御不能です』
「な、部下が死んでしまう、もう見えんようになって…」
膝から崩れるギルド長
遠くで爆発した音と黒煙が上る
うん、アテラさん所に行こう。
お読み頂きありがとうございます。
2021年最初の投稿となります。
コロナ禍で緊急事態宣言が出されたりしてますが、皆さんは大丈夫ですか?
発症しない人からの感染もあるとか、注意しましょう。