第15話.突っかかり
「人の送迎ですか」
「あぁ、例えばこの街と中央の街の移動を…、そうだな、片道を1日ってとこだな。」
「「「「なっ?」」」」
職員や周りが一斉にこちらを見る
「すみませんが、この街と中央の街は500km以上もあるのですよ?、どんなに早い商隊が向かっても4日はかかります。それを1日で向かうなんて…」
「聞くところに寄ると、ほぼ平野だと言うじゃないか。1日と言っても最速で5~6時間で行ける」
「ちょ、ちょっとお待ち下さい」
そう言ってミレーヌさんは奥の部屋に向かっていった。
「おい、兄ちゃん」
「なんでしょう?」
「すまない、話が聞こえたんで声を掛けさせてもらった。いくらなんでも、5~6時間は嘘じゃないのか?」
うんうんと他の者もうなずく。
「嘘じゃありませんよ?」
「しかし馬車でそんなに「馬車は使いません」…え?」
「馬車は使わないと言ったのです」
「え、じゃ、じゃあ何で運ぶんだ」
「タクシーですね」
「たくしい…?」
「えぇ」
「すみません、お待たせしました」
ミレーヌさんが男性を連れて戻ってきた。
「君が運送業をやりたいと申す者かね?」
「はい」
「ぎ、ギルド長、この兄ちゃんの言っていることは信じらんねぇ。」
「ふむ、確かに、距離と時間を伺えば嘘のように思えるのう。して若いの、名は何と申す」
「スグルと言います」
「スグル…か。儂はこの街の商業ギルドを管理しているクラウドだ」
「はぁ」
「初めて聞くと嘘に思える…」
「だろ?、この兄ちゃんの言ってることは──」
「だが、信用できる話しでもある」
「ぎ、ギルド長?、この話を信じるんですか!」
「まぁ聞け、今居るものも聞いて欲しい」
一旦、周りを見回し話し続ける。
「皆、領主様のお嬢様が消息知れずになったのは知っているな。」
話を聞いている者はうなずく。
「そして、それを救ったのが、ここに居るスグル殿だ。」
みな驚く。
「そこで移動の速さについて、セバス殿から200km弱を3時間半で移動したことも聞いておる」
「いくらセバス殿が言っていたからとしても、信じられないものは信じられん」
「スグル殿、お主には特集なスキルがあると伺ったが、見せてもらうことは可能かね?」
「まぁ、見せないで過ごすのは難しいからな。ただ、そうだな、いまここに居る人たちは、まずは他言無用で頼む」
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「これは俺のパートナーと、その友人のスキルがあって使えるものだ。ステータスウインドウ」
大きな画面に驚きの声が上がる。
「ランドさん聞こえる?」
- 『どうしましたかな、スグル殿』
「すまないが、ここサンラからエステリアの中央までのルートを出して貰えるかな」
- 『ルートは普段使われている街道でよろしいですかな』
「あぁ頼む」
- 『これでどうでしょうか』
どよめきが起こる
「ありがとう」
- 『いえいえ』
「ギルド長、今、中央と往き来している馬車は幾つあります?」
「た、確か、中央向けは予定では3商隊、こちらには2商隊が向かっておるはずだ」
「では、これら五つの点が、商業ギルドの商隊でしょうか」
「な…」
一話辺りの文字数は少ないですが、お読み頂きありがとうございます。