第142話.移動開始
「ランドさん、ランドさん、聞こえますか」
-『こちら、ランド。聞こえております』
「これより、エステリア王国へ向かいます。進路上に障害物や移動者は居る?」
-『予定行路確認しました。予定行路および周辺100㍍範囲内には障害物および移動者はありません。』
「了解、んじゃ行きますかね」
『主、走行中の揺れを無くすようお願いしますね』
「了解」
ピッ
ピッ
《慣性制御を開始します》
ピッ
《気圧制御を開始します》
「よし、制御系はこれで良いかな」
ピーピーピー
《シートベルトの着用をお願いします》
《この先、イルナ川架橋までは速度80km/hで走行可能です》
「みんな、シートベルトを絞めたかな」
「「「はい」」」
「それでは、アシロ帝国発、エステリア王国経由、サンラ行き出発します」
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『それでは、お好きな席にお座りください』
「あ、あの、酔わない、酔いにくい席はありありますか?」
『それでしたら、この魔導車では馬車酔いは起きませんよ。』
「そう…なのですか?」
『主、走行中の揺れなどを無くすようお願いしますね』
「了解」
ピッ
(なにやらパネルを操作してますね)
ピッ
《慣性制御を開始します》
ピッ
《気圧制御を開始します》
『これで酔うことはないと思います』
「は、はい」
『では座りましたらシートベルトを絞めてください』
「その、しいとべるとというのは?」
「これの事かしら」
「………!」
『はい、この金具を、そう、はい、そこに合わせて、カチッと音がするまで差し込んでください』
カチッ
ピーピーピー
「何の音??」
『大丈夫ですよ』
《シートベルトの着用をお願いします》
「誰!?」
「みんな、シートベルトを絞めたかな」
「「「はい」」」
「それでは、アシロ帝国発、エステリア王国経由、サンラ行き、1120出発します」
ポーン
《まもなくイルナ川架橋です》
「は「速いっですわ!」」
「あははは、これはまだ序の口だよ」
「まだ速くなるんですの!?」
(な、なにこの子、確かケリーと言っていたわね、私と被るとは恐ろしい子!)
「でも揺れが本当に感じられないんですね」
「そこは私も驚きましたわ」
「……(コクコク)」
「橋を渡るぞー」
「ほ「あら本当に橋が掛かってますわ」んとーだねー」
「それじゃ橋も渡った事だし、エステリアに最速で向かうねー」
ピッ
ピー
《速度制限を解除しました》
《対衝撃分散シールドを展開します》
《気圧制御、問題なし》
ピー
《障害物はありません》
ピー
《エステリア到着予定時刻は15時30分頃です》
「え!?」
(一週間掛かる道のりが4時間)
──ジェリックが乗ったら驚くよ(笑)と言っていたよ
──乗ったら驚くよ(笑)と言っていたよ
──驚くよ(笑)と言っていたよ
──(笑)
「(笑)!?」
「どうしたんですの?エミリアさん」
「いえ、なんでもないです」
(ちょっと、フェードアウトする韻がちがうでしょー!)
「エミリアさんって、ジェリックさんの親戚か何かかい?」
「母の兄なんです。なので伯父…になるのかな。そして、伯父から「乗ったら驚くよ」って聞いてたから、このりむじんばすと、あと、移動時間に驚いていたんです」
「まぁ、ホンの一部だけど、驚いて貰えて何より。さ、軽く昼食を摂ってくれ。ティファ、みんなに飲み物とサンドイッチをお配りして」
『はい。』
『どうぞ』
「ありがとう」
「これが、サンドイッチ」
「…」
「それじゃ、エステリアに着くまでゆっくりしてて」
お読み頂きありがとうございます。
更新は不定期です。
感想への個別返信は行えてませんが、
なるべくご期待に沿えられるよう頑張りたいと思います。
前話では無理やり、勇者、賢者、僧侶、剣士を言葉の中に埋め込んでいる部分があります。
その部分は誤字ではありませんので、そのまま読み流してください。