第14話.商業ギルド
案内されたのは────
「爺さん、ここ…なのか?」
「ここで合っておりますぞ」
「なんか、領主の館の方が小さく見えるのだが?」
「旦那様の弟が野心家でしてな、権力を見せるには屋敷の見映えも大事だと」
はっはっはっ、と笑う爺さん
しかし───
「維持が大変だな、これは…」
「使用人を雇うと良かろう」
お家騒動の集大成にするつもりだったのかな。
「ちなみに、その弟が雇う──、もしくは雇っていた使用人は何人だ?」
「え?あぁ、たしか10人ほどと聞いたことがありますが、どうしてそれを?」
「で、俺に雇って欲しい人数は?」
「ははは、核心を突いてきましたか。これは参りました。雇って欲しいのは10人全てです」
「うーん、正直言って気が乗らない」
「それは何ゆえ?」
「まず、俺たちはこの世界に来たばかりだ。収入もまだ無い」
「ごれはご主人様から仰せつかったのだが、二月ほど様子を見てくれんかな」
「二月?」
「えぇ、そのくらいの期間があれば再就職先も斡旋できるだろう、と。給金もこちらで持ちますので…、どうでしょう」
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「はぁ…、使用人か」
『なにかご不満でも?』
「いや、まだこの街にも馴染んでもないのに、と思ってな」
『生活基盤が整うのは良いと思いますが』
「だけどなぁ、っと、ここか」
少し遅くなったが商業ギルドにやってきた。
「すみません、ギルドに登録をしたいのですが」
ざわついていた周囲が静まり、品定めをするべくこちらに視線を向けてくる。
「あっ、た、担当しますミレーヌと申します」
「あぁ、よろしく」
「本日はどのようなご用件でしょうか」
「ん、実は輸送業を行おうと思ってるんだけど」
「輸送ですか?」
「はい」
「えっと、輸送となりますと冒険者ギルドに行かれた方が良いと思いますが」
「え?そうなの?」
「輸送に使う街道は魔獣や魔物の出るところもありますので、護衛を雇うよりはパーティーを組まれる事が多いですね」
「へー、そうなんだ」
「それにしても、どうして商業ギルドを?」
「馬車に人を乗せての移動もやってると思って」
「たしかに乗り合い馬車は走ってますね。もしかしてメインはそちらですか?」
「あぁ、メインは人の送迎で商いしようと考えている。」