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第134話.橋を架ける

除雪と道標を立てながら来たが…


「うわぁこれは…」


そう、帝国に向かうときは地の利を生かして進んでいたため気にしていなかったが、幅が約20mの大きな河にぶち当たった。


『橋脚と一部橋のようなものがありますが、(あるじ)、どうしますか?』


そうだなぁ


「水量が想定でしかないけど、大雨時の利根川くらいを考えると、橋脚は丈夫にした方が良いよな」

『そうですね』


川底を起点に、3m掘って基礎をしっかりさせる。

厚さ1m、幅10mだ。地中部は4×10×1.5(m)


イメージ(横)

─┐   ┏┓

堤│~~~┃┃水面

防└───┃┃────

  川底┏┛┗┓

    ┗━━┛

    橋脚基礎


「さて、基礎は出来上がったな」

「スグルさんには驚かされますねー」


ほえーっとレシカさんが感心しているように見える。


『しかし、私たちで橋を架けてもよいのでしょうか』

「そうだなぁ、残りは───」


-----------


「ふっ『残りは資材を置いていくので、帝国の公共事業として国民に仕事を与えて欲しい。』か」

「殿下、何か面白いことでも?」


「ああ、スグル殿からの置き土産だ」

「ほうどれどれ…。なるほど架橋工事で、基礎は仕上げたので残りは本当に橋を架けるのみですか」


「しかも、我々が悉く頓挫している場所に橋脚か築かれているようだ。セガリラよ、これは信じられるかい?」

「そうですねぇ、ただスグル殿とティファ殿の魔法威力と精度は侮れないものがありますので…」


「ふむ……。よし、冒険者ギルドに発注を頼む。」

「承知しました。」


-----------


「よし、ここまで来れば大丈夫だろう。」

「やっと帰れるですか?」


「んじゃ、サンラに帰るか」

『はい』


-----------


セガリラは帝国冒険者ギルド本部に足を運ぶ。

「受付は、と…」

「あら、セガリラさん直々に、今日はどのようなご用件で?」


「あー、ギルド長のラミレスは居るかね?」


-----





「帝国からの追加依頼ですか?」

「えぇ、今度エステリアとサンラと交易することになりましてね、その準備のため街道の整備を始めるのですよ」


========================

《依頼》

降雪期明けに実施する例年の除雪要員に加え、

今年は架橋工事の要員も募集する。


 作業場所:帝国と王国間にあるイルナ川

 人員:30名

 工期:30日

 賃金:一人一日 500サンラEny


 発注者:サンラ自治区

 監理:アシロ帝国


※橋脚部分は施工済みである。

※配備された資材を用いて架橋工事にあたられること。

========================


「あのイルナ川に橋を架けると?」

「えぇ、橋脚はすでに出来上がっています」


「本気ですか?」

「本気です」


「待ってくださいよ、雪解けの時季は川が増水して、とてもじゃないが作業させるには危険すぎる。」

「いや陛下や私もそう考えたんだけどね、ただ、今時点である程度の除雪は済んでいるのだよ。なので明日からでも始められるそうだよ?」


「いやいや明日からって言われても、2m近い積雪で道標が無い状況なのに除雪なんか出来ないでしょう、それに、イルナ川までは普通の移動でも丸2日は掛かりますよ?」

「砦の監視塔から見ると良いですよ」


さあ、砦の監視塔に行きましょう。


-----


「これは…」


監視塔に登って見えた景色は、50mほど先から綺麗に除雪された街道が見える。


「監視員の話だと今朝までは、単なる雪原だったそうだよ」

「セガリラ殿、あのように正確に、しかも短時間でイルナ川までの除雪は、私は夢でも見ているのでしょうか…」


現状で残りの除雪が必要なのは、積雪2m、幅6m、距離50mだ。

冒険者ギルドの長に就いて十数年、降雪期明けの隣国との交流には除雪に時間が掛かることに悩まされていた。

しかし、目の前の風景は驚きの他に、恐怖をも感じる。


「こ、この除雪は誰が?」


交易を持ち掛けてきたサンラの──

はて、なんと紹介すれば良いのだろうか…


「交易を持ち掛けてきた、サンラの運送屋のスグルという者だ。」

「スグル?」


「あぁ、かなりの機動力を誇る魔道車を持っている。保有する魔力も相当なものだろうな。」

「彼が居れば何でもやれそうですな。我々冒険者ギルドなど要らないのではないか。」


それよりも脅威に成りはしないか──


「脅威か、敵対しなければ良いだけだ。ギルドの必要性は…な、それを見越しての架橋工事の依頼なのだそうだよ。」




ギルドに戻りながらセガリラが話す。


例年の除雪作業にギルド員や兵士が駆り出されていることを途中まで気付かないまま、一気に除雪を進めたことで彼らの仕事と収入を減らしてしまったため、橋を架ける仕事を発注したようだ。


「なるほど、それで報酬がサンラ通貨なんですね。」

「あぁ、震災で動きが取れない所だったが、こちらの財源に配慮してかスグル殿が資金を出してくれたのだ。」


「見返りを求められたりは?」

「ははは、それは無かったな。いかに生産性を上げるか、農業支援もしてくれるようだ。むしろ、これ以上戦争するな、ということが見返りかもな。」



お読み頂きありがとうございます。

秋ですね。

気温も下がってきて、幾分、過ごしやすくなったと思います。

急に寒くなったりするので風邪にはお気をつけください。

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