第132話.面会
「それじゃ、ここで教会への配達は終わりだね。」
「はい。いやー、スグル殿助かりました。これで今降雪期に餓死者を出さなくて済むよ。」
「あくまで、孤児用だからね。そこ忘れないでよ?」
「ははは、我が帝国にそのような不届き者はおらんよ。厳しいときに助け合う。それが此の国の自慢できる民度だ。ただ、今回ばかりは孤児まで手が回らなかった。」
「そうだな、セガリラの言う通りだ。スグル殿ありがとう。」
「んじゃ、用事も終わったし、帰りますかね」
「ちょっと待ってください。陛下に会って行かれませんか?」
「堅苦しいのは嫌なんだけど…」
「いや、しかし。このまま帰すと我々が怒られてしまいます。」
「頼む」
「えー」
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コンコンコン
「陛下、スグル殿をお連れしました」
)「入れ」
「はっ。」
カチャ
「さ、スグル殿」
「ども」
パタン
「陛下、こちらが今回ご協力頂いた、サンラ自治区で運送業を開いているスグル・シライ殿です。」
「ほう、お前が噂のスグルという奴か。」
「そして、こちらが我がアシロ帝国、スピカ・ユーシア・アシロ陛下だ。」
「お初に御目にかかります。スグルと申します。」
「此度は孤児とはいえ民を救ってくれて助かったぞ」
「いえ、困った時はお互い様ですから」
「うむ。殊勝なことよの。」
「それに、各国の商業ギルドの協力もありましたし、雪上でも移動できるということで届けに来たまでです。」
しかし…
「どうかしたのか?」
「いえ、思ってたより質素だなぁ…と」
「はははは、君は帝国にどんなイメージを持っているんだい?」
「いえ、まぁ、その…」
まさかの女帝!
「…何か言いたげだな」
「なんか、庶民的に思えまして」
「ちょっスグル殿!」
「あー良い良い、曾祖父の時代には食料などを求めて戦を仕掛けていたそうだが、な。戦に金は掛かる、獲た領土の民の生活もあるしな、祖父の代から国策を転換したのだよ。」
「まぁ民あっての国ですからね…」
「外交向けを除いては、こんなものだ」
「私は外交には入らないと…」
「すまん。飾るよりは素を見て貰いたかったのだ」
「まぁ、良いですけど………」
「スグル殿?」
「そうだ!、サンラと交易しませんか?」
「交易とな?」
「えぇ、雪解けで街道が使えるようになったら、始めましょう!。あ、交易にはエステリア王国を経由するので、協議しないといけないですね。」
「いや、街道なんだが、ジェリックやセガリラの話だと、道標が飛ばされたそうじゃないか、街道の開通は普段より時間が掛かるぞ?」
「それなら、帰りながらに道標つけていきますよ」
「え?」
お読み頂きありがとうございます。
暑いですね。
熱中症には気を付けましょう。
こまめな水分+塩分補給忘れずに。