第130話.ビバーク
「スグル、今日はここで泊まるの?」
突然の停車でおどろいたのだろう、ネイラが聞いてくる。
「ああ、うん。外の状況が目視できなくなったからね。落ち着くまでに待つと夜になっちゃうんだ。」
「ふーん」
「ふーん、てそれだけ?」
「帆かに何と云えば?」
「いや、いいけどさ。明日は明るくなったら出発するから、今日はもう休もう」
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翌朝
「ふう…、さて、外はどうなっているかな……っと」
ピッと
《外の気温は現在マイナス8℃です》
《視界 ─ 良好》
ふむ、外気も大丈夫そうだ。
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朝食を終え、ジェリックが聞いてくる。
「昨日の、ダウ何と言ったか」
「ダウンバースト?」
「そう、それだ、ダウンバースト。あれはどういう原理で起こるものなんだ?」
「んー、上昇気流と下降気流、あとは湿度とかかなぁ、僕もあまり詳しくは無いんだけどね、ただ…」
「ただ?」
「冬には起こりにくい筈なんだよ」
「そう…なのか?」
「まぁ、帝国に着いたら学者さんにでも聞くといいよ」
「そうか…、しかし、マイナス100℃というのは実感が涌きませんな。」
「んー、ちなみに、マイナス40℃だと、ほい、このバナナで釘が打てるんだと」
「「「「え゛?」」」」
大人しく話を効いていた皆も驚く
皮剥き剥き剥きパクっモグモグ
「そ、それじゃマイナス100℃の風が一気に来たら…」
「受ける時間の問題だけど、普通の防寒具だと生きてはいないだろうね」
これで釘が…と呟きながら皆がバナナを食べる。
「それじゃ、出発しますか」
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「道なき道を往く。それが白井運送!」
「在るからね道、雪で分かりづらいけど道は在るからね、帝国と王国を繋ぐ道だよ?、というか何処走ってんの?!」
「この雪原の何処に道が在るというのだね」
「えええ、ちょっと、ねぇ、ジェリックさーん」
「ん?、どうしたんだい」
「スグルが道を無視して走ってるの!」
「(少し考える素振り)大丈夫じゃないかな」
「どうしてー」
「いや、降雪期はお互いの国で閉鎖されているからだよ。馬車は動かせないからね。だから誤って同じ場所は通らない筈だよ。それに…ダウンバーストとやらで、道しるべも吹き飛んで無くなったようだから、なんとかしないとな……」
《ポーン》
《間もなく目的地へ到着します》
お読み頂きありがとうございます。
もうすぐ6月も終わりですね。
みなさん如何お過ごしですか?
熱中症にはお気をつけください。