第13話.交渉
「………なにが望だ」
「もう“彼ら”と呼んでしまったので、それで話を進めますが、彼らを街道周辺の警備として雇ってほしいのです。」
「は?警備?」
「えぇ。なんでも、最近は水のみ場が枯れるなど、生活が困窮してるようです。」
「いや、でも魔獣だろう?」
「意思の疎通がとれますよ、どうです?」
「………」
「盗賊も倒しましたよ?」
少しの沈黙後
「なn…だ」
「はい?」
「何頭だ」
「全部で26頭ですね。種族の長に会いますか?」
「ああ、会ってみよう」
「分かりました、これからだと遅いので、明日会いに行きましょう。」
ちなみに───
魔獣を雇うとなると、いろんな所に通知しないといけないそうだ。
周知しないと襲われたと勘違いしたり、逆に襲ってしまうかもしれない。
通知は主に次の方法で行われる。
・領内には掲示板で
・商人や冒険者へはギルドを通じて
・中央や他領へは書簡で
識字率は7割程らしく、掲示板に載せても問題ないそうだ。
あっ、そうだ!
「すみませんが、新しく商いをしたいと思っているんですが、どこに申請すれば良いですかね」
「商いを?」
「えぇ」
「そうだな、商業ギルドに───、いや、まずは住民証明が必要になるな」
「住民証明…ですか?」
「あぁ、どこの国、領へ住んでいるのか、という簡単なものだ」
「俺たち昨日この星に来たばかりで、住む場所決まってないんだが」
「商いをすると申したな、ならばこの領で住民登録をするといい。」
「なにか俺たちにメリットでも?」
「そうだな、まずは娘たちを救ってくれた礼の一つとして、住居を提供しようと思うのだが、なにか条件はあるか?、あ、任期制の領主だからあまり大きなものは困るが」
「んー、それなら、4人が住めて車を3台ほど停められる空きのある所が良いな」
「4人に、車…あの箱のような物が3台・・・。となると…、おいセバス、あの場所を案内できるか?」
「あ、あの場所をですか?」
「あぁ、甥が不始末を仕出かしたんだ、問題はないだろう」
「ちょっと待て、どこに案内する気だ」
「ん?、どこって、丁度空き物件が出た所だが、何か?」
「いやいや、流石に直前まで他人が住んでいた所は勘弁願いたい。」
「そうか、直前まで他人が住んでいたのなら気になるか」
「気になりますよ」
「だが、大丈夫だろう。なんせ新築だからな!」
「は?」