第125話.物資確保
まずは現状の確認だ。
「ではセガリラさん、被災した中で孤児が増えたということだけど、何人くらいなんですか?」
「うむ、一月経った辺りで上がってきた報告になるが、帝国内で少なくとも200人の孤児が増えたとのことだ」
「200人ですか…」
「あくまで教会や各ギルドが把握している分だがな。元々、教会には各支部で数名の孤児は居たのだが、近隣住民の善意とギルドからの簡単な依頼を斡旋していたことで負担もそれほど大きくは無かった」
「被災したことで余裕が無くなったのか」
「あとは口減らしですかな。いや、我が行政も手を打とうにも、物資の確保ができず……」
広範囲の災害だもんなぁ
「では今冬を越せれば良いのですか?」
「あ、あぁ。冬を乗り切れば野菜などの収穫が出来るのでな。ただ国外に流通させる分が減ってしまうのだが」
周辺地域にも影響があるか…
「ちょっと失礼」
携帯を取り出し
ピ、ピッピッピピピっと
-『はい、こちらランドです。スグル殿どうされました?』
「実はアシロ帝国の被災状況を分析して欲しいのだけど」
-『被災状況をですか?』
「うん。孤児が増えたようなんだけど、役人から聞いた数だと不安があるんだ」
「す、スグル殿、誰と話を…、その板状の物はいったい…」
-『少々お待ちください。』
「あぁ、宜しく」
~3分後~
-『お待たせしました』
アシロ帝国
・教会 25か所 内、孤児養育 15か所
・当初の孤児数 100名弱
・被災で増加した孤児数 520名弱
備蓄
・政府(約5000人) 残り10日
・商業ギルド(約500人) 残り4日
・冒険者ギルド 0日
・工業ギルド 0日
「ちょ、ちょっと待ってください。スグル殿、その数値は確かなのですか!?(セガリラ、この数は)」
「(ジェリック落ち着け、公式見解ではないが、最悪を想定した場合として出されている値に近い…が、増えている)」
「ん、この数値は、観測結果だね。ランドさん有り難う」
-『いえいえ、また何かありましたらお呼びください』
ピっと
「えっと、早急に物資の確保に動かないとダメだね」
「いや、あの、スグル殿?」
「なんでしょう、ジェリックさん」
「早急に…とは?」
「あなた方が、ここへ来るまでに何日掛かりました?、それに雪も積もってきてます。」
「え?、えっと、アシロからエステリアに5日、エステリアからサンラまでが2日……」
ピピピ、ピピピ、ピピピ
ピピピ、ピピピ、ピピピ
ピっと
「はい卓です。どうしたのランドさん、何か有った?」
-『いえ、アテラ殿より物資補給の連絡がありまして…』
「え、本当?」
-『なんでも、これ以上転生の手続きが増えるくらいなら、物資を渡した方が楽だとか』
「あー…、わかった。成る程」
流石に転移門を管理する神様と言えど、災害で増加した転生の手続きに疲弊しているようだ。
しかも子供となるとやるせないだろう。
-『後で、デザートを所望のようです』
「あははは、分かった。届けて戻ってきたら、伺うと伝えて」
-『承知しました』
「それじゃ」
ピっと
「セガリラさん、ジェリックさん。」
「「はい」」
「物資が届きましたので、早速、明日の朝にアシロ帝国へ向かいます。」
「えっと、届いた…何処にでしょうか」
「期待だけさせて、無かったというのは…」
「うん、大丈夫だよ。これはエステリアに渡したものと同じだから。」
「いや、でも…。かなりの量になると思うのだが?」
「ちなみに量はどのくらいに」
「えっと、孤児が700人分と、その他1300人分の合計2000人分、約3ヵ月かな」
「いや、しかし、我々の馬車では到底運びきれるものではないぞ」
「そうです、スグル殿も先ほど雪が積もると仰った。小出しで運ぶにしろ、雪が積もれば運送は難しいのではないか?」
「まぁまぁ、今の降雪状況なら私なら2日あれば、アシロ帝国領へ行けますよ?」
「支援物資を積んでですか?」
「えぇ。邪魔が無ければですが、中央の議会前広場までなら3日で行きます。あと、馬車に別に御者が居るなら、お二人も同行されますか?」
「是非ともお願いしたい」
「宜しく頼む」
お読み頂きありがとうございます。
気が付けば投稿開始から1年が経っていました。
早いものですね。
気温も上がり始めてますが、寒暖差がありますので、体調管理に気を付けてお過ごしください。