第124話.他国の使者
雪が降る
雪道と言えば、車はスタッドレスタイヤに履き替える。
昔は、スノータイヤにチェーン、スパイクタイヤが出てきたと思ったら環境汚染の問題で十数年で姿を消す。
そしてスタッドレスタイヤへ。
新雪の上を走るのは気持ちがいい!
「スグル殿ー、スグル殿は居られますかー」
「はーい、あれ?どうしたんですか、セバスさん」
「スグル殿、済まぬが屋敷へ来て貰えないだろうか」
「どうしたんです?」
「この間あった災害の被災地域はどのくらいかをご存知ですよね」
「うん。直接関係のある王都とシズタミの復興は手伝った。」
「実は旦那様に来客があり、こんなに早く復興できるなら、支援をしろ!と」
「え?、此方じゃなく普通はエステリアに行くんじゃないの?」
「ところが、そのエステリアは余剰が無いと断ったそうで」
「あぁ、まぁ、そうだよね…」
「そうしたら、どうして早く復興が出来たんだ?という話になり」
「サンラに回ってきたと」
「はい………」
「旦那様、スグル殿にお越しいただきました」
「おお、スグル殿、お呼びだてして済まない」
「こんにちは、何か重要な話があるとかで来たんですが」
応接室に入りレギルさんに挨拶すると、ソファの座っていた人が立ち上がった。
「あ、こちらは」
「初めまして、アシロで財務を担当しているセガリラと申します。あと、こちらが」
「アシロで環境開発を担当しているジェリックです。」
「初めまして、スグルと申します」
「ささ、お座りください。セバス、お茶を頼む」
「承知いたしました」
「さてスグル殿にお越しいただいたのは、こちらのアシロ帝国からの使者との調整で力を借りたいと思ってな」
「力を…ですか?」
「えぇ、我々としては今冬の飢饉を乗り越えられることを第一としております。」
「飢饉と言うことは食料…だけではないですね?」
「はい。災害孤児が多くなりまして、その…」
「衣料支援でそちらで養うか、こちらで引き取って欲しい、そんなところですか?」
「「「なっ…」」」
そんな驚かなくても
「しかし、どうして私に、なのです?」
「スグル殿が疑問に思うのも無理は無い。実は、諜報員が居るらしく、復興の中心として動いていた人物として報告が上がったようなんだ」
「まぁ、そりゃ諜報活動している人が居るのは知ってるけど…、そうかぁ………」
「わ、我々としては、その、スグル殿の力を借りたいと思い、レギル殿に伺ったわけです。決して、敵対や裏切りというのではありません」
「でも少なくとも帝国からの使者というなら、何かしら圧力が掛かるのではないですか?」
「………」
「個人でならお断りしても?」
「で、できましたらご支援頂ければと…」
「だから、なぜ私個人になんですか?、レギルさん、国と国に問題に個人を頼るってなんなのです?」
「いや、その、エステリアやシズタミの件もあるし…」
「そもそも経緯があるでしょう、アシロ帝国との繋がりは何か在るのですか?」
「いや、直接は無い」
「でしょ?、支援したとして、こちらにメリットは無いですよね。」
「メリット…ですか?、スグル殿は何を求められるので?」
「セガリラさん、対価はどうされます?」
「え?、復興支援に対価を要求されるのですか?」
「どこが支援なんです?、集りの間違いじゃないですか?」
「ぶ、無礼な。我々は決してそのような事はしない!」
「レギルさん、労力に対しては協力しますよ「本当かい?」
最後まで聞いてください」
「すまない」
「私は労力は協力します。つまり、サンラからアシロ帝国への物資の搬送です。それ以外はやりません。」
「ど、どういう事かな?」
「レギルさん、物資の準備はお願いしますね」
「スグル殿は出してくれないのですか?」
「え?、だって私は何も生産していないですし、購入も備蓄もしていないですよ?。運送業をする私個人に対国家の支援に何を出せと?」
「あ」
「レギル殿、どういうことですかな?」
「いや、その、スグル殿は、ここサンラで運送業を開業する者でして…」
「王国には1ヶ月分の食糧を出しているのに、我が帝国にはそれが出来ないと?」
「運ぶのは運送業として支援しますよ?。もし、エステリアのような支援を私に期待しているのであれば無理です。私にはアシロ帝国に援助する義理は無いですし、そもそも繋がりが無いです。」
「す、スグル殿、サンラも次の収穫まで持つかどうかの備蓄しかないぞ?」
「でしたら、お断りするしか無いでしょう。少なくとも、支援できる余力が無いのです。その辺を理解していただけませんか。」
「ただ、例え遠くとも被害が無かった国と交易があるなら、そこから物資を買うというのも考えてみてはどうですか。」
「しかし、これから移動・運搬が困難な季節、我が帝国との移動が難しいものとなる。時間が無いのだ…」
「あ(!)」
「どうしたジェリック」
「セガリラ!、彼にお願いしよう。」
「あー、そう言うことか。スグル殿」
「ええ、運送業としてなら支援しますよ?」
「え?、あ!、そうか、なるほど。すまない、スグル殿、力を貸して貰えないだろうか」
「んじゃ、物資補給の計画を立てますか」
年明け最初の投稿になります。
風邪やインフルエンザが流行っていますが、皆さんは体調おかわりなく過ごされていますでしょうか。
今年は元号改正など節目の年でもあります。
新元号ですが、予測として、さ行、た行、は行、ま行、こちらが冠の文字は使われないのではと思います。
使われたら混乱しますよ?
更新頻度は低いですが、今年もよろしくお願いいたします。
H31.1.27