第123話.進む道
魔道具の暖房器具が量産されていく。
一家に一台の配布を急ぎ、サンラとシズタミでは全ての家屋に行き渡ることになる。
王都でも魔術ギルドが総力を挙げて生産を続け、雪が舞う頃にはこちらも王都中の家屋や主要な建物への設置が終わったようだ。
「いやー、スグル殿のおかげで凍死者を出さずに済むよ」
「良かったですね」
「それにしても、スグル殿はこのようなものが良く思い付くな」
「まぁ、元居た国には魔法が無かったから機械に頼るしかなくてね。」
「魔法が無い?」
「えぇ、例えば火をつけるにしても、道具を使うんですよ、このように」
シュボッ
「こ、これは…。詠唱の要らない魔道具ですかな?」
「違う違う、これはライターという道具。金属と石が削れるときに出る火花で、ガスに着火するの」
「ほほぅ」
シュボッ
おおお
シュボッ
「うあっちちちち」
「あははは、火だからね熱くなるさ」
「なるほどなぁ…。運送業をやらずに商品開発の方が良いのではないか?」
「いやいや、そろそろ事務所兼住宅が出来上がりますから、運送業を始めますよ」
「そうか…」
「シズタミも製塩を再開するようですし、いつもの生活になりますよ。それに、こちらは降雪季の間も普段通りに運搬出来ますからね」
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「で、兄さん、スグル殿はなんて?」
「ん、商品開発よりは運送業だそうだ」
「スグル殿が持つ動力なら遠方への運送を頼んだ方が良いのかな」
「雪が在っても大丈夫のようだから、品薄になる物資の運搬なんかを頼んではどうだ?」
「恐らく、周辺国は復興途中で余裕は無いんじゃないかな」
「逆にこちらから物資を提供するのも有りかもな、出せる物があれば、だが…」
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2018年最終投稿です。
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