第12話.昨夜の出来事
「なに、甥が魔獣に襲われただと?」
「ええ」
「いや、身を潜めてるだけかも知らん、根拠もない話をするんじゃない」
「ですが、現に昨夜15名程が襲ってこようとしましたし、対象が居ることを知っているのは彼らですよね?」
「だから、なにを根拠に」
「実際の記録が有りますが」
「記録が?」
「ええ。ご覧になりますか?」
「本当に記録があるのか?、いやしかし、それなら何故、魔獣に襲われるのを見過ごした?」
「私たちも襲われる方でしたので、あえて助ける必要は無いと判断しました」
「しかし15名もとは…、魔獣はその後どこへ向かった?」
「まぁ落ち着いてください。取り敢えず一部始終記録がありますので見ましょう」
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応接室にプロジェクターとパソコンを持ってきて設定。
魔道具と化してるから電源の替わり魔力が必要。
もちろん使用には魔力認証が必要なので俺やティファ、ランド、ミーにしか動かせない。
「では始めに、これが当時居た場所の空撮です。」
「こ、これは…」
領主様は写し出された映像を食い入るかのように見ている。
「まず、体力を回復させる必要がありましたので、この街道脇に急遽療養所を展開しました」
「これが療養所だと?、本当か」
「はい旦那様、確かに療養できる設備が並べられておりました」
「よろしいですか?、まず、お嬢様達が眠りに入った後に、敵が現れた警告が鳴ります」
「あぁ」
「そのようなことが…」
最初の位置関係を示す空撮に戻り、相対位置をマーカーで表示。
「私のパートナーとその友人の協力によって、襲撃者の顔を捉えたのが、こちらです」
「な、御者や甥、それに名うての冒険者達じゃないか!…そんな」
「しばらくして離れた所に魔獣が現れます」
「そもそも、この記録は何なんだ」
魔獣に襲われるまでの動画を映して見せた。
なお魔獣のお食事タイムは、ショッキングなので割愛。
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「まぁ、既に亡くなってしまったのなら仕方がない。………さて、その襲ってきた魔獣はどうしたのだ?」
「それなんですが、ちょっとお願いがございまして…」
「願い?、なんだ申してみよ」
「その魔獣なんですがね、どうも知性を持ち合わせているようで、その、友人が意思の疎通に成功しました。」
「なっ…、意思の疎通ができても人を襲う魔獣だろう!」
「彼らからしてみれば、人も魔獣を襲っているではないか、と申していましたが?」
「疎通が図れるからといって…」
「極端な話しになりますが、人が人を襲う、人が魔獣を襲う、魔獣が人を襲う、何が違うのでしょう」
「ひ、人は知性や理性を持っている!」
「えぇ、昨夜会った魔獣も知性を持っていました。理性は…そうですね、理性を持っていても凶悪な罪を犯す人も居ますが…」
「・・・・・・」
「では見方を変えましょう。彼らは昨夜、襲撃者から私たちを護ってくれました。どうですか?」
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