第118話.配達終了
「さーて、王様さんは居ますかねー」
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「おお、スグル殿、待っておったぞ」
「こんちわ。物資持ってきたけど、どこに置けば良い?」
「ああ、ここの裏手に頼む」
「了解」
「して、どのくらい持ちそうなのじゃ?」
「ん?、物資なら、30万人で1ヶ月分だね」
「そのような量には見えんが…」
「ん、アテラさんから収納魔法を付与してもらってるからね。んで、事前に世帯調査して貰ってるでしょ?、その世帯ごとに物資の量が決められてるから、配るとき注意してね。」
「な、んと…、アテラ殿が…」
「期限つきだから流用はできないし、それも注意ね」
「わかった。感謝するぞスグル殿」
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「それでは、各地区への物資の輸送と配布を頼む」
「「「「「了解しました」」」」」
「隊長、西側地区はどうしましょうか」
「西側?、あ、断層か…」
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「スグル殿!、スグル殿は居られるか?!」
「まだ居ますよー。どうしました?」
「実は、西側地区と分断されておっての、すまんが道を造ってもらえんだろうか…」
「あー、断層地震だもんな、そりゃ段差ができるよね。わかった。道は何ヵ所通せば良い?」
「そうか、造ってくれるか!。主要な場所で5箇所お願いしたいのだが…」
「んーと、ここ…と、ここ、…で、ここと、そこと、ここ…か。まぁ、何とかなるかな」
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「おー、何これ、こんなになんの?」
南北に渡って10km程の長さで、最大6mの段差が出来上がっていた。
川なんかは、ちょっとした滝になっている。
地質によっては数年でこの滝は消えるかも知れないな。
「団長さん、この断層だけど、これ雨が降ったら崩れるよ?」
「な、それは避けたい。何とかなりませんか」
「んー、このまま固めても良いんだけど、土地の区画整理は大丈夫?」
「実は、この付近は未着手でまだ割り振りが出来てないないのですよ」
「ランドさん、今大丈夫?」
-『なんでしょうか、スグル殿』
「断層の高さがさ、6m強あるんだよ。で、このまま固めても良いのかなと思って」
-『そうですね……、硬化よりは造成で固めた方が良いかも知れません』
「造成?」
-『えぇ、硬化魔法固めますと、術者が亡くなったときに解除されることが有るようですので』
「なるほど、魔法特化よりも物理に近い形で固めれば良いわけね」
-『左様です』
「隊長さん、ここら辺に坂を作るね。馬車の登り降りに無理のない感じで」
「あ、お任せする」
もとの住人の許可を得て、幅10mの道をS字になるように、盛り土や採掘をして造っていく。
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「ふぅ、こんな感じかな」
『主、お疲れ様です』
「さ、さすがですね。こんなに早く出来上がるとは…」
「ちょっと距離があるけどね、馬車が安全に行き来出来るように傾斜をつけたつもり。荷馬車が上れないんじゃ意味ないから」
「成る程…、あ、物質を運ぶ馬車が難なく上りましたな」
「それじゃ、今回の任務は終了ってことで、」
『主、最後にあの子達の…』
「あ、そうだった。団長さん、街道沿いの領地について詳しい人居ないかな」
「領地…ですか?」
「うん、じつは孤児を見つけてね、住んでいた家が潰れてさ、住む所が無いんだけど」
「それは… スグル殿にお任せできないだろうか」
「後で揉めるの嫌だよ?」
「で、では、国王様にお話しされては」
「うーん…、分かった。帰る前に話をしてみるよ」
「忝ない」
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「王様ー、居ますかー」
「お、おう、スグル殿、どうじゃった断層は」
「とりあえず、荷馬車が行き来出来るようにしてきたよ」
「ありがとう、ありがとう…」
「あとは瓦礫の撤去と区画整理を忘れずにね」
「が、瓦礫は何か材料に変えられないだろうか」
「出来なくもないけど、やっちゃう?」
お読み頂きありがとうございます。
頭が痛いです。
悩みの種ではなく、頭痛のほう。