第117話.往路
-『津波の第二波襲来、あと5分です』
「あれが津波というものか…」
「津波の前兆があるから、地震が来たあとは高台に、今回のシズタミだと丘の上に避難すれば助かる確率が上がるよ」
「前兆とは…?」
「ランドさん、津波の一波のところ見せて貰って良い?」
-『承知しました。』
「これが地震直後の状態」
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「で、少しして…」
「こ、これは…」
潮が引き、海底が現れる。
海岸からのその距離は約1km
5分後、勢いのついた水の壁が押し寄せて来る
「……………」
「少なくとも、海岸で地震を感じたら高い場所へ…。ただ、そういった場所がない時は…」
「諦めるしか、ないか…」
「さて、シズタミからは当分の間、魚介類と塩の供給が無くなった状況だから、早めに再建しないとな」
『そろそろ、エステリア王国に物資の運搬を』
「そうだね、早く行って早く帰って来よう」
「一泊してくる感じかい?」
「いや、城に物資置いて、王様に挨拶したら戻ってくるよ。何もなければだけど。」
「それじゃ、スグル殿が戻ってから、時間があったらネキツ殿と再建に向けて話し合おうか。」
「わかった。」
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キュルルルル、ブオン、ドゥドゥドゥドゥ…
「それじゃ行きますか」
『はい』
ブロロロロ……
『主、前方に子供が』
「ん?どこ?」
『あの、木が生えているところです』
「あぁ…、あ、居た。どうしたんだろう」
ブルロロロロ…、ブルルルル…プシュー、シュ、ギギー
「おーい、こんなとことで、どうしたんだい?」
「…………………」
「大丈夫?、どこか具合でも悪いのかい?」
「…………ぉ…」
「お?」
「ぉ…ぅ…ち………」
「おうち?」
「おうちなくなっちゃった……、ぅぅ…、ふぇーん」
「あ」
『主、あそこ…』
家が倒壊したと思われる場所に、子供達が6人ほど居た。
「君たちは、ここに住んでいるのかい?」
「そうだけど…、おじさん誰」
「お、おじ…、そんなに老けて見えるかな…」
『主はまだ若いです!』
「ん、ありがとう。……。ここは君たちのお家かい?」
「見たら分かんだろ?、家なんて潰れてんだよ、くそこれからどう過ごせばいいんだっ!」
『主、ここがどちらに入るのか確認しないと』
「そうだな」
「ランドさん聞こえる?」
-『スグル殿、どうされました?』
「あぁ、今いる地点に子供達、孤児が居るんだが、ここがどの領地に属するのかと思って」
-『なるほど、そうでしたか。その地点から動かなくなったので、どうしたものかと思っていました』
-『地理的には、サンラに属するかと思われます。』
「確実ではないんだね?」
-『はい。保護をされてから、王都で確認するのが宜しいかと』
「うん、分かった。ありがとう」
「おじさん、誰と喋ってんの?」
「おじさんじゃないんだけどなぁ…、君たちを保護することにした。これから王都に行くんだけど一緒に来るかい?」
「っ、でも、俺たち…」
「心配ない、保護するって言ったろ?」
「どうする?」
「どうすって、ここに居てもしょうがいないし…」
「じゃあ、着いていくってことで良いな?」
「どうせ生きるか死ぬか、のどちらかしか無いんだ、行こうぜ」
「おじさん、一緒に行くよ」
「そうか、それじゃ、持っていくものが有ったら、この葛籠に入れてくれ」
「持っていくものって……、?!」
「瓦礫や木材はどかしたぞ」
片付けが終わったところで出発だ
「後ろの子供達はどうだい?」
『よほど疲れていたのか、今は眠っています』
「そうか」
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