第116話.長い一日
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… ゥ─────────────
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… ゥ─────────────
サイレンが遠くで鳴り始めた
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… ウ─────────────
∈≪「住民の皆さん、建物の外へ避難してください」
∈≪「繰り返します!、住民の皆さん、直ちに建物の外へ避難してください」
「ほ、本当に地震なんて起きるのかいね」
「いや、最近の小さな揺れが起きているだろう?、あれが大地震の前兆だって言ってたよ」
「あれから何も起きちゃいないじゃないか」
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「頭、サンラの領民は避難ハジメタようですぜ」
「あぁ、さっきからサイレンと、告知が聞こえてるよ」
「俺達は避難しなくても良いんで?」
「そもそも、仮設とはいえ避難場所を提供されている身だ、恐らくは火の扱いに気を付ければ問題ないはずさね」
「さすが頭だ」
「しかし、不自由なく避難できて助かったよ」
「だな」
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∈(「お前ら、早く家から出て、広域道路の内側に行け!、早く!」
∈(「高い建築物のある場所の避難は、近くの公園に避難だ!」
「なんだい、乱暴な指示だねぇ」
「そうよねぇ、来るかも分からない断層地震なんてねぇ」
「おい、早く避難するぞ!」
「なにさお前さんだって、本当は避難したくない癖に」
「いいから、早く移動しないと!」
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午前8時
「「「「ガヤガヤガヤガヤ」」」」
「「「「わいのわいの」」」」
午前9時
「大地震なん、本当は来ないんじゃないか?」
「いや、まだ判らんぞ」
「だって、何にも起きないじゃないか」
「だが、「おい、静かにしろ」あ、あぁすまん」
午前10時
……カタカタ…………カタカタカタカタ………
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-『スグル殿、来ますぞ』
…カタカタ………カタカタ…ガタガタガタガタ…
ココココココ…ゴゴゴゴゴゴゴゴ…ガタガタガタガタガタガタ…
「く、これは、すすごいゆゆゆ揺れだなな」
ドドドドドドドドドドドド…
ガコンガコンガコンガコン
ドダダダダダダダ…
グラグラグラグラグラグラグラグラグラグラグラグラ…
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「ど、頭、こここの揺れは」
「これれれが、すスグル殿ののの言ってただだ大地震さね」
グラグラグラグラグラグラグラグラ
「「「「キャー、わーわーわー」」」」
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「ぅゎー揺れてるよー」
「「「わーわーわー」」」
「「「タスケテー」」」
「安心しなさい!、ここはアテラ様が造られた街よ!大丈夫よ!」
「そうだな、サンラはとりあえず大丈夫だろうな」
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…カタカタカタカタ………
グラグラグラグラグラグラグラグラ……
………カタカタカタカタ…
「なんでい、た、大した揺れじゃなかったな」
「これで終わりなのか?」
「こんだけの揺れに大層な避難させやがって、なぁ」
「おい、どうしたよ…」
「あ、…足下………」
「なんだよ、足下…って……」
「まだ終わって無いんじゃないか?」
「この水はどこから…………」
「お、おい、あの井戸から水が湧いてきているぞ」
「あの井戸は一週間前に枯れたんじゃなかったのか?」
「そのはずだが、現に水が湧き出している」
…ゴゴゴゴゴゴゴゴ
「な、なんだ!?」
「「「わーわー」」」「「キャー」」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ドドドドドドドドドドドド
ドドドォ────────────────────────ン
「「「ギャ─────────」」」
ドドドドドドドドドドドド
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
グラグラグラグラグラグラグラグラグラグラグラグラ
ガッシャ──ン
ガラガラガラガラ
ズッシ───────ン
ガッシャーン
パリン、パキッ
ドドドドドド…
ゴゴゴゴ…
…カタカタカタカタ………
…カタカタ…
「お、終わったか?」
「俺達の家が…」
「ぅぇ─────ん」
「オギャア、オギャア」…
「わ─────ん」
午後3時
「もう、大きな揺れの心配は無さそうだな」
「ばか油断できないぞ」
「あ、衛兵だ」
「おい、ここの責任者は誰だ」
「衛兵様何か」
「いや、生存者、怪我人などを調べているんだが、死者や怪我人は居ないようだな」
「ぇぇ、おかげさまで、住むところは失いましたが、皆無事でございます」
「そうか、何よりだな。」
「あのぉ、それだけですか?」
「それだけ…とは?」
「いや、我々は住む所を失いました」
「先ほど聞いたぞ」
「どのように雨露を凌げと」
「我々に言われても困るな。そもそも、今日までに時間は有ったハズだ。何かしらの準備は出来たのではないか?」
「ぅ…、そうだ、サンラからの支援はいつ来るんだ?!」
「サンラからは、早くて明日の昼前だろうな。だから、今夜の寝る場所と食事については、なんとか崩壊した自宅からかくほしてくれないか」
「遅くないか?、それに瓦礫を掘り起こせというのか?」
「知恵を出し会え、今はそれしか言えん!」
「く、死んだらどう責任を取るつもりだ!」
「知らん!。それに今お前たちは怪我もなく生きている。事前に知らされていただけでも、感謝しろ!。そこで何の対策もとらずに8日間、何をしていた!?」
「だ、だがっ!」
「周りを見ろ、少なくとも瓦礫を避けて探している者達が居るだろ。今夜と明日朝を凌げば物資が配られるんだ。」
「わ、わかったよ。」
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