第115話.その日に備えて
……コココゴゴゴゴ…カタカタカタカタカタカタ…………
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「俺は行かん!、ここに残るぞ」
「残ったら死んじまうんだぞ?!、さぁ!、早く馬車に乗れ」
「親の代から受け継がれてきた家と舟を捨てろというのか!」
「バカ者!、それで死んだら意味が無いだろうが!」
「なぁ、乗るのか?乗らないのか?」
「ほら!」
「でもよぅ…」
「早くしてくれない?、後ろ支えてんだよね」
「やっぱ、残る!」
「死んじまうかも、知んねぇんだぞ!?」
「でも…さ、墓とかあるしさ…」
「おまえ…」
「あー、お墓なら全部移動させてたぞ?」
「え?」
「え?」
「んじゃ、サンラに行くから乗ってくれ」
「…あ、あぁ……」
「………」
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「揺れないな」
「あぁ、この馬車はすごいな」
「だろう?、ここに来ている馬車は皆乗り心地がいいぞ?」
…コココゴゴゴゴ…カタカタカタカタ…ガタガタガタガタ…
「な、揺れが」
「地震だ!」
「「「わーわー」」」
…………グラグラグラグラグラグラ…カタカタカタカタカタカタ…………
「い、今のは大きい揺れだったな…」
「あぁ、こ、これより大きいのが来るんだろ?」
《ピー、ピー、ピー》
「何の音だ?」
「御者席から聞こえたような…」
「はい、こちらシズタミ避難部隊、グループJ、どうぞ」
《先ほどの地震で、津波が来る恐れあり。注意せよ。どうぞ》
「こちら最終グループ、現在、シズタミより1時間の地点、どうぞ」
《人影を確認した。全員避難済みか?、どうぞ》
「シズタミ領全員避難済みだ。どうぞ」
《了解した。無事の帰投願う。どうぞ》
「安全に運行します。オーバー」
「お、おい。人影ってなんだよ。誰か置いてきたのか?」
「いや、全員サンラに向かっている。恐らくだが、空き巣狙いだろうな」
「空き巣狙いって…、金目なものは全部運び出してるぞ」
「まぁ、何かしら使えそうなものでも盗りに来たんだろうな」
「放っておくのか?」
「今さら、戻れんよ」
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「レギルさん、これどう思う?」
「スグル殿の判断に任せて良いか」
「まぁ…、良いけどさ」
-『スグルっ、非常食1ヶ月分準備できたよ』
「お、ミーありがとうな」
-『本当に無償で配布するつもりで?』
「あぁ、配布は王国にまかせるがな。配送は俺たちが行うよ」
『街道が寸断されている可能性もありますよ?』
「今回はタイヤはキャタピラーに替えて行こうと思うんだ」
-『少々の段差などは物ともしませんな』
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「本当に断層地震なんて起きるのかね」
「アテラっていう女神の神託らしいけどな」
「そもそも、神託なら直接、神官か巫女に告げろって思わないか?、なんか信じられないんだよな」
「でも、王族の殆んどは避難したって噂だぞ」
「王様は残ってるんだろ?」
「城も倒壊の恐れ有りだもんな」
「おい、区画整理の話は聞いてるか?」
「ん?、あぁ聞いてるよ。与えられる土地の広さは同じっぽいな」
…カタカタカタカタカタカタ…………
「なんか、小さな揺れが多くないか?」
「これ収まってくれりゃ良いけどな」
…………カタカタカタカタカタカタカタカタ…………
「んで、土地だったか、その話は聞くだけだと住みやすくなるらしいな」
「あぁ、交通も考えられているらしいし、何より、サンラの耐震っていう技術も盛り込まれているらしい」
「その資材を無償で提供されるって話だ」
…………グラグラグラグラ…………
「お、なんかヤバいぞ」
「落ち着け、あと2日ある。今日は何も起きない、はず…」
お読み頂きありがとうございます。
最近は気温が下がってきました。
話の振り方を迷いますね…