第113話.王国まで
ここがスグルの住んでいる場所ね。
広い土地に、ポツンと魔動車?が1台あるだけ…
でも大きさが尋常じゃない。
「すみませーん」
……
「ごめんくださーい」
……
「すーみーまーせーーーーん」
「はいよー、何だい?」
なんか気だるそうな感じで出てきた。
「えーっとですねぇ、王国まで乗せていって欲しいんですけど」
「うちは未だ開業してないぞ?」
「開業していないなら、格安で早く行けるって聞いたんです!」
「そもそも、俺が王国に行く理由が今は無いからな、普通の定期馬車で行った方が良いぞ?、サンラの定期馬車は乗り心地が良くなったからな。」
「乗り心地…ですか?」
「あぁ、揺れは殆んど感じないし、4~5日掛かってた移動も2~3日に短縮されてるしな。しかも料金は据え置きだ」
何気なく営業ですか。
「ん?」
「いえ…。行く理由なら有るじゃないですか、魔術師ギルドとか」
「そうは言ってもなぁ………。その話はどこから聞いた?」
「え?、う、噂ですよ!噂」
「ふーん、噂ねぇ」
「王国に行きますか?、行きましょう!ねっ、ねっ」
「というか、君は何者なんだ?」
「え?、あ!、私はですね、えーと、こういう者です」
『エステリア王国 国立魔術研究所 所長 ゲンナ・ヒーラ』
「魔術研究所の所長さんですか…」
「いやー、スグルさんの考えた改良馬車や、今後展開予定の冷蔵・冷凍なんて、研究者冥利に尽きるというか、もうね、早く原理を調べたいんですよ!」
「馬車は設計図を公開しているから、存分に調べてくれ。冷蔵・冷凍は、どうしようか悩んでいる」
「そう!馬車は設計図が公開されてますが、同じように組み立てるのが困難な代物なんですよ!、一体なにをどうすれば、あんな術式を構築できるんですか?!」
「あー、認識阻害ね。そりゃ、サンラの技術として秘匿しているものだから、教えられないな」
「で、でも、魔術師ギルドに委託をしたら…」
「外部に漏れると?、信用の出来ない組織なのか?」
「えーと…」
「王国に行く理由が無いじゃないか」
「あれ?」
「というか、氷魔法の応用でしか無いから研究に励めば良いと思うよ?」
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