第110話.値段
「馬車の値段改訂?」
「あぁどうもな開発者が技術料を貰わないと税金が払えないと言ってきてな、だから正当な技術料を含むと15倍になっちまうんだ」
「15倍って、法外だろ、そんな値段は」
「いやいや、他国に無いサンラ独自となる技術なんだよ。それが鍛冶ギルドに無料で提供してくれて安く販売できていたんだがな」
「なんなんだよ、水道と言い馬車と言い…」
「なんでもスグルが税金払ってないって理由が発端でな、収入が無いと税金が払えないからってな。悪く思わんでくれ」
「どこのどいつだよ、たく。15倍かぁ…」
「おめぇさんは、スグルのことどう思ってんだ?」
「ああ?、んなもん決まってるだろ、サンラを救った英雄じゃないか。サンラに居て知らない者は居ないだろ」
「そうか…。よし、予約時の価格で売るぞ」
「本当か!?」
「あぁ嘘も言ってないようだしな」
「助かる!。しかしフェンリルの尾を踏んだ奴が居たんだな」
「残念ながらな…」
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「おい、レギル」
「なんだい?、今度は冒険者ギルドか?」
「馬車の値段が上がったって話を聞いているか?」
「あぁ、聞いてるよ。朝に承認したんだ、それがどうかしたかい?」
「15倍って値段になって、ギルド員が泣きを入れてきてな、何とかならんか?」
「いや、それはさ、スグル殿に税金を払って貰いたいから変更は出来ないさ」
「税金?」
「あぁ商業ギルドからも苦情が、って、馬車の件でまた怒鳴り込んでくるのか?やだなぁ…。とにかく、スグル殿が税金を払ってないって喧嘩吹っ掛けて来てな」
「免除の筈だろ?」
「世間一般的にはな。唆されたりしたのか、肩入れして狡いとな」
「ああそれでか、納得した」
「まぁ処置としては、魔道具で調べて敵対していない者には、これまで通りの価格だそうだよ」
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「15倍…?」
「あぁ、スグルが税金を払わないと不味いらしくてな」
「税金はそうなんだが、15倍かぁ、オーダーの取り消しは…」
「オーダーの取り消しは無理だ。材料も発注しちまってるからな」
「そんな…、10台購入し商隊のスピードアップをしようと思ってたのに…」
「まぁ、何というか150台分だな」
「分割に出来る?」
「なんか担保に出来るものあるのか?」
「借地に借家だよお、どうすりゃ良いんだあああああ」
「商業ギルドから借りりゃいいだろ」
「ギルドから……、ん?」
「どうした?」
「スグルって、あのスグル…か?」
「どのスグルか知らんが、多分スグルは一人しか居ないと思うぞ?」
「おかしいよ!」
「何がだよ」
「だってスグルって税金免除じゃん。住みやすい街になったのスグルのおかげだろ?、何やっちゃってんのうちのギルドは」
「………おめぇさんはスグルの事をどう思ってる?」
「改めて聞かれると恥ずかしいな。スグルはそうだな…、感謝しかないな。うん、感謝だ。」
「そうか。合格だ」
「合格?」
「あぁ、予約時の価格で売るぞ」
「(グスっ)ありがどう…」
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