第109話.断水
「ママぁ、お水出ないよー」
「え?、あら本当、どうしたのかしら…。とりあえず断水した時の手引きがあったわよね、っと、合ったわ。井戸でお水を汲みましょう」
「うん、わかったー」
---
「おい、どうなってんだ」
「どうって、何がだい?」
「ふざけるな、水だよ、水、水道!」
「あぁ、昨夜ねギルドや組合の代表に集まってもらってね話し合いをしたんだよ。どうもスグル殿の心証が悪いようだよ」
「それと何が関係しているんだ!、ギルド員が商売出来ないって苦情来てるんだよ」
「どうもね、スグル殿が税金を払ってないからって理由らしいよ」
「ぜ、税金?。スグルのか?」
「あぁ」
「スグル殿の税金は免除の筈だろ?、何でまた…」
「どうも、共和国が絡んでるようだね。過去の経緯を知らないようだった。それにね、一応は対策をしてあってね、敵対していない家庭とかには井戸の利用手引きを渡してあるんだ」
「そ、そうなのか?」
「あぁ、面白いことに敵対派には内容が読み取れず、行動も認識阻害が掛かって分からないらしい」
「はは、スグル殿は面白い事をするなぁ」
「午後から穏健派には給水を再開するそうだよ」
「なんか差別だとか言われないか?」
「差別じゃないよ、区別だよ。同じ事をしていて自分好みの方に便宜を謀るなら差別だろうけど、自ら拒絶、喧嘩吹っ掛けて来ているのに同じ対応なんて出来ないだろう?」
「…だな」
「まぁ何処まで堪えられるかだな」
----------
「あ、ママぁ、水出たよ、水出たー」
「良かったわねー」
「うん!」
ドンドンドンドン
「何かしら…」
「何かご用ですか?」
「さっきお宅から水が出たって聞こえたのだけど」
「えぇ、水が出るようになりましたよ、そちらは未だで?」
「そうなのよぅ、水を分けて貰えないかしら」
「あら、サンラの衛生指導では、生活水の譲り合いは出来ない事になってるのよ」
「そんなの良いから、早くk [ピシャッ] ちょ」
「ママぁ今のだれー?」
「知らないおばさんだった」
「きっとスグル兄ちゃんのこと悪く思ってるんだよね」
「そうね」