第107話.王国到着
「あの商隊を組んでいる商会は、一月の営業停止処分だろうなぁ」
ガチャン
「ん、どうした?」
「ぃ、ぃぇ、なんでもありません」
「レシカさん、帰ったら手続き宜しくね」
「え、あ、わかりました」
『主、商業権の剥奪の方が宜しいのでは?』
「まぁ、そこはギルド長に任せるよ。ただ少なくとも、今、鍛冶ギルドで生産している改良型馬車の引き渡し権利は無くなるかもね」
「商業権の剥奪よりは恩情かもしれませんね」
「リーシャさん、恐らく君の両親や仲間の商会は、俺たちのことを妬んでるんだろうと思う。俺はやりたい事をやるが、少なくともサンラに何らかの利益を出るよう動いているつもりだ」
「………」
「それでも邪魔だというのであれば、俺たちはサンラを出て他の街に移るよ」
「わ、わたしは、邪魔だとは思っていません」
「これね、もう商業ギルドと冒険者ギルドの問題なんだよ。取り敢えず、魔術士ギルド誘致の権は白紙だな」
「魔術士…ギルド?」
「あぁ、流通、果ては商会や家庭にまで冷凍・冷蔵の魔道具をと思ってたんだがな、内部に敵が居たんじゃ話が進められない」
「………」
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「よし、エステリア王国着いたぞ」
「おお、前回よりも早いんじゃないですか?」
「レシカさん、前回はトラックで荷物を運んだでしょ、それに帰りは夜だったし。今回は昼間だからね」
「あぁ確かに、そうです。そうでした」
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「そこの魔道車、止まれ!」
「はいよー」
「お前は…、サンラのスグル…か?」
「そうですよ、よくご存じで。それで何か?」
「い、いや何でもない。で、赴いた目的は何でしょうか」
「ん、この子の学園の入学試験が明日あるようなんで、送ってきたんだ」
「そうなんですか、どうぞお通り下さい」
「入国税とか必要無いの?」
「スグル殿の関係者は無税となっているので大丈夫です」
「そう?、でも、リーシャは送り届けただけだから、この子の入国税を払うよ」
「いえ、その子に関しても、入学試験の為とのことなので無税で扱っております」
「わかった。ありがとう」
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受験者のための宿泊施設に着いて、リーシャを降ろす。
「んじゃ、リーシャ、試験頑張ってな」
「ありがとうございました」
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