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一話 ここは何処ですか?

 ソフィー=ヒューイットそれが私の名前だ。

 捨て子だった私を当時の帝国軍中将だったメリル=ヒューイットが私を拾い私のお父さんとして育ててくれた。純粋な愛情を注いでくれた。それが何よりも嬉しかった。だから、少しでもお父さんの役に立ちたくて帝国軍に入った。

 訓練は辛かったけど、お父さんの役に立てていると実感できたから頑張れた。それに、私とはかなり年の離れた帝国軍人の人たちとも仲良くなれた。

 毎日が充実していた。毎日がとても幸せに感じた。

 だけどそんな幸せな日々は突然崩れ去った……


「帝国軍中将メリル=ヒューイット戦死」


 そんな知らせが私のところに届いた。最初、何を言っているのか私は分からなかった。あの強かったお父さんが死ぬなんて考えてなかったから。

 いつもみたいに「ただいま」って言って帰ってくると思っていたから。

 いつもみたいに私のことを抱き上げてくれると思っていたから。

 いつもみたいに私の頭を撫でながら褒めてくれると思っていたから。

 いつもみたいに私の大好きなお父さんが傍にいると思っていたから。

 何度も、何度も、何度も、その事実をその現実を否定した。

 それでもお父さんが死んだ事実は、お父さんがもういない現実は、何も変わらない。だんだんとお父さんが死んだと理解し始めた。

 本当はわかっていたんだ。お父さんがいつか私のそばから消えることを、私たちがやっているのは遊びじゃない、この世で最も残酷な殺し合い……戦争だ。いつかお父さんが殺されるなんてことは昔からわかっていたことだ。

 それでも、もうお父さんに会えないと考えると……涙が止まらない……胸が苦しくなる。

 その日、私は一日中泣き喚いた。お父さんの書籍にこもってずっと……

 


 その後はお父さんの管轄だった、南の砦の指揮を任されるようになった。

 もうその時にはお父さんの死は受け入れられていた。


 その砦を二年間守り続けた。自分を慕ってくれる部下が増えた。その部下達とバカ騒ぎするのがとても楽しかった、幸せだった。

 その幸せももう終わる。私の人生と共に……


 部下達は死んだ。私の目の前でたくさん死んだ。私も死んだ。そう死んだんだ。なのに……







 ここはどこ?

 

 私は死んだ。確かに死んだ。連合国軍に囲まれ殺されたはず。なのに私は生きている?

 私が目を覚ました時、目の前には王座と思われる椅子、そこに座っている王様?と王妃様?その横に王子様?に女王様?らしき人が立っている。さらに見渡せば、この部屋を囲うように中世の時代で使われていたと言われている甲冑を着た兵士たちが立っており、その中に文官か大臣と思わしき人たちが立っていた。


「……ここは?」

「あの~大丈夫ですか?」

「はい?」


 私の横にいつの間にかメイドが立っていた。

 

 この人だれ?それに、大丈夫ですか?って何?


「あの、あなたは誰ですか?それに何が大丈夫なのですか?」

「あぁ、すみません。私はここアスピダ王国のオルマ城でメイドとして働かしていただいている。ミルミネと申します。」

「って今はどうでもいいのです! その、お体は大丈夫なのですか? ……その、ひどい傷ですよ?」


 今、私の目の前にいるメイドはミルミネと言うらしい。

 そのミルミネが言う、『お体は大丈夫なのですか?』と聞かれ自分の体の今の状況を確認した。

  

 うん、まぁ、一言で言うと酷い状態だった。

 腕からは大量の血を流し、足なんかは骨が見えてるぐらいだ。

 一番ひどいところは胸と腹だった。胸は外傷はそこまで目立たないが、内側が酷かった。肋骨は四本折れ、内臓の一部が破裂していた。腹なんかは外傷が酷かった。弾丸で打ち抜かれたと思はれる穴が計8個見つかった。

 うん、なんで生きてんの? いや、さすがにおかしいでしょ! 普通の人は死んでるから! あれ? マジでなんで生きてんの私?


「なぜ私は生きている?」

「いや、私に聞かれても……それより大丈夫なのですか? 手当をしましょうか?」

「いや、生きているのなら自分で何とかできる」


 そう言って、私は自分の体全体に魔力(・・)を巡らせた。


「"自然回復上昇"、"活性化"、"損傷部位修復"」

 

 私が言葉を発した直後、体全体が光に包まれる。

 光が収まり私はもう一度自分の体を確認した。


「うん、治ってる」


 私の体は怪我一つない健康体に変わっていた。


 あー、少し魔力を使いすぎたな。頭が痛い。 


「……」

「どうかしましたか?」


 何故かポカンとした。顔でこちらを見てくるミルミネ

 周りの兵たちもざわめきだした


 あれ?もしかしてやらかしたかな?

 それにしても、すごい阿保面


「ハッ! 失礼しました」

「今からお召し物を用意いたします!」

「えっ?なんで?」


 いきなり謝られて、着替えを用意すると言われたのだから、私のこの反応は間違えていないはず

 まずなぜ着替えが必要になるんだ?


 私は自分の姿をもう一度確認した。

 

 その姿はボロボロの戦闘服を着た自分の姿

 そうボロボロの戦闘服だ。所々に穴が開き素肌が露出してしまっている姿。既にそれを服とと言う定義には当てはまらないほどボロボロの戦闘服を着た自分。


 すなわち…………裸である。


「ッ~~~~~~///」


 私はその場で蹲るしかなかった。


 なぜこんなことになった!

 

 私は心の中でこう言うことしかできなかった。

 周りからは痴女などと言う不名誉な名前で連呼されていた。


 私は痴女などではない!


 私がそう思っても、周りは私を痴女だと思っているだろう

 私が恥ずかしくて何処かに穴があるなら穴に入りたい状況になっている時、先ほどのメイド、ミルミネが布らしきものを持ってきて私に被せてくれた。


「……ありがとう」

「はい、大丈夫ですか?」

「もう……だめかもしれません」

「あ、あのこんな日もありますよ。元気出してください」

「ありがとうございます」


 その優しさが今は辛い


「……うっ」


 私が悶絶していると下の方でうめき声が聞こえてきた。

 私が下の方に目を向けると、私よりかは年上だろうがまだまだ幼い顔をした。少年少女が複数人床に倒れていた。


「……誰?」

「おぉ! 勇者様がお目覚めになるぞ!」


 さっきまで王座にただ座っていた。王様? がいきなり立ち上がり、叫びだした。


 勇者とな? この私の下に転がってる子たちが?


「……ここは一体?」


 私と同じ反応をしているとゆうことは私と同様どこからかここに来たことになるな


「勇者様方どうか我等の世界を救ってはくれぬか?」


 王様は戸惑っている勇者? 達にそう声を掛けた


 この王様? は阿保なのだろうか? この状況でいきなりスケールのでかい話を持ち込まれても、さらに戸惑うだけだろうに

 てゆうか、私にもこの状況の説明を早くして下さい。


「お父様まずは説明をしなければ勇者様方が戸惑うばかりですよ」


 おぉ、あの王女? は賢いようでよかった。もしこのまま説明されなかったらどうしようかと思ったよ


「おぉ、そうだった。すまない、少し先走ってしまった。許せ」

「はい、では私が説明しても?」

「あぁ、そうしてくれるか?」

「はい、わかりました。」


 前に出できた王女はこう口にした


「えーそうですね、どこから説明しましょうか? やはり最初はこうですかね? では、まず初めに……」



「……ようこそ異世界へ」






 ………………は?



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