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プロローグ

 ある世界で全世界を巻きこんんだ戦争が起きている世界があった。

 ある世界で二種族が対立している世界があった。

 ある世界でどこも戦争が起きていない世界があった。


 全世界を巻き込んだ戦争が起きている世界、そこは毎日が地獄であった。銃弾の雨、爆撃音の鳴り止まない夜、血の水たまり、死臭のにおい、死体の山が無数にある世界。


 そんな世界に一つの部隊と大軍が相対していた。

 

「少佐、偵察部隊からの連絡が来ました」

「……内容は?」

「……連合国軍一師団、総勢一万五千の敵が攻め込んできているようです」

「……そう」


 少佐と呼ばれた少女(・・)、白髪赤目の少女、腰まで伸び切った綺麗な白髪が揺れる。まだ年端もいかない少女、十代前半と見られるぐらいの身長。とてもこのような場所に居ていい存在ではなかった。


 ここは帝国軍南支部の最後の砦、そして難攻不落の砦とも呼ばれた砦である。そんな砦に一万以上の大軍、それに対し砦を守る帝国軍の大隊が一つ、総勢六百人。難攻不落の砦だとしても、この戦は誰がどう考えても負け戦だ、帝国軍の兵は皆表情に影が差していた。

 

「……諸君、武器をとれ」


 少女は、帝国軍の兵士たちにそう言った。兵士たちは顔を上げ、少女を見た


「この砦はもうすぐ落とされる。一万以上の軍勢それに対し我々は六百。増援は見込めない。誰がどう考えても勝てない戦だ……」


 少女は今の現状を一番理解していた。この戦で自分は殺されると。だがそれでも————


「だが! それがどうした! 我々は帝国軍人だ! 誇り高き帝国軍人だ! 我々母国の領土を踏み荒らす蛮人を許すな! どんな時でも我々は戦う! これが負け戦でもだ! さぁ、諸君、武器をとれ!」

「最後の晩餐だ、敵を一人でも多く血に染めろ、血祭りにしてやろうではないか! 我々帝国軍人の意地を見せつけてやろうではないか! もう一度言おう、諸君、武器をとれ!」

「「「「ウオオォォォォォォォォ———!!」」」」


 少女の演説に兵士たちは闘気を燃やし、自分たちの倍以上ある軍の前に立ちはだかる。


「私に続けー!」


 少女が率いる六百の兵たちは、この日壊滅した。連合国軍一師団の半数以上を犠牲にして…

 この戦いを後に「白き悪魔の晩餐会」と呼ばれた。

 "白き悪魔"、それは帝国軍の隊を率いていた、隊長であり、一師団の半数以上を死に追いやった張本人でもある。

 "白き悪魔"、白い髪を持った小さな少女。戦場では、似つかわしくない異様な存在、だがそれは敵を翻弄するなどといったモノではない。それを肯定するかのように連合国軍はすぐさま少女を囲み一斉攻撃を仕掛けた。


 だが、それは失敗に終わる、少女がその赤い目で連合国軍を見たそれだけで皆、自分の首に死の鎌が突きつけられているようなそんな錯覚をした。

 攻撃を仕掛けたはずなのに、少女は無傷でその場に立っていた。

 少女は武器を上に掲げそれを横に薙ぎ払うそぶりを見せた。

 ただそれだけ、たったそれだけで少女の周りにいた連合国軍は、全て上と下に体が裂けた。


 そんなバケモノじみた力を持った少女がようやく死んだと誰もが思っていた。誰も少女の死体を確認していないと言うのに、誰も少女が別世界に飛ばされたなど考えもしなかっただろう。

 




二種族が対立している世界、ある王宮である儀式が行われていた。


「……どうだい?準備はできているのか?」

「父上……はい、準備はできています」

「まだ覚悟はできていないかい?」

「覚悟はもうできています。……ですが、我々の事情で何も関係のない者を呼び出し、あまつさえ戦争に巻き込もうとしているのです。とても心苦しくて……」

「あぁ、本当にお前は優しい子だ。でもね、もう時間がないんだよ。もう後戻りできないんだよ」

「……わかっています」

「国王陛下、王女様準備が整いましたお願いいたします。」


 一人の兵がそう報告し、王女と呼ばれた女性は魔方陣らしき模様の真ん中に立った。


「異界の勇者よ、我らの国を世界をどうかお救い下さい」


 王女は膝をつき、祈るようなポーズをとった。そして床に描かれていた魔方陣が光りだした。


 


 

 どこも戦争が起きていない世界、そこで、ある学校のあるクラスが一人も残らず消えた。その時消えるところを目撃した一人の学生がこう語っていた「床が急に光り出して、次の瞬間消えた」と…





 この時三つの世界が繋がった。誰も想像していなかっただろう、誰もわからなかっただろう、神でさえ知りえなかった未来だっただろう、ある世界で恐れられていた一人のイレギュラーを連れてくることを…

 


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