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境界、紡ぎし者(1)

今回より異世界へ。


「っと……!? 悪いっ、寝ぼけててやっちまった……!」


カイト・フラクトルは、常に疲労と戦っている。

それは彼が優秀なパイロットであるということよりも、むしろその性格に由来するものだ。

一口に表現すれば、お節介焼き。 誰に対してでも全力で真正面から付き合い、本当に相手に親身になれる彼は、部署内ではかなりの人気者だった。

そんな彼は毎日様々な問題に引っ張りだこであり、今も彼は丁度一つ、少女の問題を片付けて撤退してきたところである。

ひとまずエアリオを部屋まで送り届けたカイトが眠気を押しながらふらふらとした危なっかしい足取りで歩いていると、それは起きた。

正面から資料を運んで歩いていたゼクスと正面衝突してしまったのである。 プラスチックの大きな箱に大量の資料を詰め込んであるそれはゼクスの小柄な身体からすると余程の大きさに見える。 つまりアンバランスだった。

前がよく見えていないゼクスと寝ぼけていたカイトがぶつかってしまったのは、ある意味不可抗力だったと言えるだろう。

あわてて資料を拾い集めるカイトがふと顔を上げ、始めてみる顔がそこにあることに驚く。


「リイド……な、わけないか。 お前、新入りか?」


こくりと、小さく頷く。 その様子にカイトは微笑み、まとめた資料を大してそろえもしないで乱雑なままゼクスに手渡す。

無論、それでもカイトはまとめたつもりだ。 単純に性格の問題である。 ゼクスは几帳面なのか、資料を手早く整頓すると立ち上がった。


「ゼクス=フェンネス」


「ゼクスか。 俺はカイトだ。 カイト・フラクトル。 よろしくな」


握手を求めるが、ゼクスの両手はふさがっている。 困っているゼクスの様子に苦笑すると、片手で巨大な荷物を引ったくり、改めて手を差し出す。

そこまでして握手する必要はあるのか。 そもそも握手に意味はあるのか。 ゼクスは理解出来ない様子だったが、先輩がしようといっているのだから従わない理由もない。

おずおずと差し出した手が握り締められた時、何故か不思議と心の中に自分の知らない気持ちが生まれた気がした。


「……」


人間同士の指が触れると言う事。 それが今のゼクスにはたまらなく不思議な行為だった。


「荷物、持ってやるよ。 どこまで運ぶつもりだったんだ?」


「……博士の、研究室」


「ルドルフのところか。 おし、ついでに案内してやるよ! こっちだぜ!」


しかしゼクスは知っていた。 ルドルフの研究室がどこにあるのか。 そしてついでに言えば、カイトが進んでいったのは全くの逆方向であることも。

指摘したいのだが、声がかけられなかった。 仕方なくカイトに続き逆方向に歩いていく。

けれども、不思議と。


そんなのも、悪くはない気がしていた。




⇒境界、紡ぎし者(1)




「――――っっ!?」


朝を、迎えた。

全身が汗でびっしょりだ。 悪夢を見たのだから仕方の無い事だが。

何度か繰り返し、同じような夢を見たことがある。 リイド先輩が、死んでしまう夢だ。 いなくなってしまう、と言った方が正確だが。

私が手を伸ばして追いかけるのに、彼は何時もどこかへ行ってしまう。 いなくなってしまう――そんな夢。

絶望的な状況だ。 出来れば一生涯ありはしないで欲しい状況……しかしそれは二年前に一度体験している。


「ふう……」


大きく息を吐き出す。 ああ、最悪の朝だ。 ユグドラ因子はそろそろ身体になじんできたと言えるかもしれないが、こう気分が最悪だと計画なんて上手くいきっこないと思ってしまうから不思議だ。


「むにゃむにゃ」


「……?」


私しかいない、私の部屋のはずなのに、私じゃない声がきこえた。

しかもよくよく考えてみると、身体が上手く動かない。 というか、何かが私を拘束している。

ふと、視線を横に向けると目の前にメアリーの寝顔があった。 しっかりと私の身体にしがみつき、よだれを垂らして寝ている。

流石に我が目を疑った。 一応鍵はかけたはずだ。 一応、といってもジェネシスの客室だ。 ちょっとやそっとで突破できるような代物ではない。

いやそんなことはどうでもいい。 何でこの子が私と一緒に寝ているんだろう。 意味がわからない。


「め、メアリー? 離れてくれないかしら……メアリー起きて」


「うんん…・・・」


すりすりと、擦り寄ってくる。 可愛いからもうこれはこれでいいような気もしてきた。

誰かが隣で寝てくれているなんてことは何年ぶりだろう。 昔は良く、私も姉さんのベッドにもぐりこんだものだ。

怖い夢を見たときは眠れなくて。 でも姉さんはいつも笑いながら迎えてくれた。 私が眠れるまで、ずっと頭を撫でてくれていた。

今思うと、姉さんはやっぱりいい姉さんだったんだな、って思う。 彼女のおかげで私も救われ、安定していたのだろう。

私にもその真似事が出来るのだろうか。 誰かを救い、守り、安らぎを与える事が出来るような人間に。

メアリーの髪はすべすべだった。 小さすぎるメアリーの身体を抱きしめると、何故か少しだけ自分が安心したような気がした。

こんな自分でも慕ってくれるメアリーの存在は、やはりどちらにせよ私にとって数少ない救いなのかもしれない。

そんな事を考えながらメアリーを抱いていると、いつの間にか暖かくてうとうとしてしまった。 転寝をしていると、しばらくして声がかけられる。


「お姉様、もう朝ですよ! 朝ごはんの時間ですよ!」


「……ふわぁう」


あくびをした。 私に抱かれたまま動けないのか、窮屈そうに笑っているメアリーの笑顔が目の前にあった。



「朝ごはんは一日の原動力です! 次の原動力はお昼ごはんで、最後は晩ごはんです!」


「そうなの?」


「そうなんです!」


私は寝ぼけながら話半分程度にメアリーの話を聞いていた。 周囲をちょろちょろと元気良く走り回りながら話しかけてくるメアリーは、だいぶ朝からハイテンションだった。

対する私はといえば、昔は規則正しく生活していたものだから朝早く起きるのなんてなんともなかったのだが、最近は自堕落な生活を続け昼頃起きるような日さえあり、規則正しいジェネシスの朝は少々眠い。

寝ぼけたまま食堂に入ると、二年前とは違い多くの人でにぎわっていた。 昔は子供は私たちしかいなかったものだが、今は随分と多くの子供が食事を摂っている。


「メアリー、なんだか人が多くない?」


「いつもこんなかんじですよ? 訓練生の人とかがいっぱいいるから」


「……訓練生?」


「元ラグナロク出身のやつとか、あとはレーヴァテインの戦いに憧れて入隊希望した子供、とかな」


振り返るとそこには嫌な顔が立っていた。 彼……ミリアルドは私の分の食事を貰ってくると、テーブルの上においた。


「……ミリアルド」


「懐かしい顔がいるもんだから、ついね」


「……」


ミリアルドの隣に腰掛ける。 メアリーはもうとっくに食事を貰ってきて、ひとりでがっついていた。


「二年ぶり、だっけ?」


「そうですね。 二年ぶり……。 あんまり貴方には会いたくなかったのですが」


「ど〜してこう、俺は女の子に嫌われるんだろうねえ……」


笑うミリアルドと全く笑わないアイリス。 二人はパンにバターを塗りながら話を続ける。


「ラグナロクの子供までジェネシスになっているとは思っていませんでした」


「あいつらも一応、適正は俺やお兄さん並にあるんだからな。 もうみんなヘイムダルでもヨルムンガルドでも動かせるぜ」


「時代が変わっても、子供は戦場にいるものなんですね」


「何言ってんだ。 お前だってまだ子供だろ」


「……」


パンをかじり、静かに息を吐く。


「リイドがやった事はやっぱりすごかったんだと俺は思うぜ。 結局あいつがいなかったら、世界はこんな風にはならなかった」


「……そうですね」


「だからまぁ、成功するといいな。 オペレーション・メビウスとかいうの」


「貴方は参加しないんですか?」


「俺は新兵教育担当だからな。 そんじゃまあ、頑張れよ」


食事を半分ほど終えるとミリアルドはそれを持って席を立った。 彼の向かう先はその新兵たちのところで、ミリアルドは子供に妙に好かれているようだった。

ラグナロクという組織は元々そういうものであったと知っているはずなのに、納得できない自分がいる。

子供たちに戦争なんかさせちゃいけないんだって、そう思っている自分がいる。

矛盾だ。 それでも守りたいものや憧れがあれば、子供は銃を手に取る。

そういう風に世界を仕組んでしまった私たちこそ、非難されるべきものなのだろう。

そんなことを、考えていた。




「体調の具合はいかがですか?」


ヴェクターのそんな胡散臭い笑顔を眺め、私は思考を元に戻る。

世界樹ユグドラシルの間。 パイロットスーツに着替えた私は彼と二人きりでその場所に居た。

様々な機材につながれたケーブルが私の至る部分に取り付けられ、ヴェクターは一人でそれを操作している。


「体調は悪くありませんけど……こう、全身に色々くっついていると、変な感じです」


「でしょうね。 因子はきちんと定着したようです。 今調整を行っています」


背中を眺める。 無論、きちんとそれを凝視する事は出来ないわけだが、因子に色々な機材が繋がれている事はわかった。

尋常ならざる手早さで作業を進行するヴェクターはその間も笑顔を崩す事は無く、私は少々気になっていた点を訊ねてみることにした。


「あの……」


「はい?」


「具体的に、世界を移動するにはどうすればいいんですか?」


事前の経験も無ければ、そんな事見たことも聞いた事もない。 いた、見たことも聞いた事もあるのだけれど、自分がそれを出来るのかといわれると疑問でしかない。

先輩はユグドラシルに分解され、吸い込まれるように消えてしまった。 吸い込まれ、消えてしまう樹。 そんなのどうすれば上手くいくのかわからない。


「そうですねえ。 樹に触れ、強くリイド君をイメージしてください。 彼に会いたい、と。 今回はとりあえずの実験ですから、実際に移動は行いませんから大丈夫ですよ」


「そうですか」


自らの掌を見つめる。 本当にそんな大事な事、私が出来るのだろうか。

迷いがないわけではない。 けれども早くしなければユグドラシルが無くなってしまうかもしれない。 今しか出来ないんだ。 もうやらないで後悔するのだけは、絶対に嫌。

強く拳を握り締め、先輩の事を考えた。 心の中を全て彼の思い出で満たしておけば、そこにたどり着けるような気がした。

それにしても、この異様に広大な空間に私とヴェクター二人きり。 私は裸みたいなスーツで、ヴェクターはそれに機械を取り付けてニコニコしている。 本当に嫌になるほど妙な光景だ。

照れくさかったがそれよりも馬鹿馬鹿しさの方が勝っている。 何でこんな事、こんな場所でやっているんだろう。


「準備が整いました。 さあ、ユグドラシルにファーストコンタクトですよ」


ヴェクターに促され、私は一歩一歩ユグドラシルに近づいていく。

至近距離で見つめると、それは樹とは呼べないものなのだということが良くわかる。 確かに木材のような質感をしているように見えるが、それは胎動しまるで呼吸をしているかのようですらある。

脈打つ大樹。 上に行けば行くほどその外見は生々しさを増し、人間の手足や生首のように見える部位が増えてくる。 それが絡み合い、枝木のように空へ伸びているのだ。


「気持ち悪い……」


近づくと、幹の各所にぎょろりと瞳が開いた。 全ての顔と瞳が私を見ている。 それだけで吐き気を催すような状況だった。

これが襲い掛かってくるものでないと知らなかったら、悲鳴を上げて逃げ出していたところだ。

こんなものを通過しなければいけない場所で、リイド先輩は何をしているというのだろう―――。


「次元鏡面へ触れてください。 ユグドラシルとシンクロし、調整を行います」


「……はい」


グロテスクな外見の物は、触れるだけでも覚悟が居る。

虫やら何やら。 自分に特に害がないと判っていても襲う怖気……そんなものと私は戦っていた。 触れる事を本能的に身体が拒む、そんなもの。

ゆっくりと、指先を伸ばす。 触れた瞬間何かが終わってしまいそうで、心臓が張り裂けそうなくらい脈打っていた。


「いいですか。 この世界のことと、リイドくんのことを両方考えてください。 自我を強く持てば引き込まれる事はありません」


「は、はい!」


境界に指先が触れた、次の瞬間――――。



「   は    意識を   」


え?


ヴェクターはどこにいるんだろう? 急に声が遠くなってしまった。

でも一瞬で理解する。 これがユグドラシル。

あらゆる可能性につながるもの。 それに触れると言う事は、そういうことだ。

この世界の現実を否定すること。 世界の可能性を肯定すること。 己の存在を確かめること。

森羅万象ありとあらゆるもの。 ここにないものなんてない。 全てがあり、そしてなにもない。

全ての瞳が私に語りかける。



ここは、お前の世界じゃないんだ、と――。



意識が――。


引き離される――。




ここはどこだろう?

白い砂漠。 綺麗な景色だった。 何も居ない。 何もない。

遠くにあの人が立っている。 でも、私に気づいていない。

どうしよう。 声をかけたいのに声がぜんぜんでない。 どうすれば聞こえるの?

そっちに行きたいのに、ぜんぜん足が動かない。 どうすれば追いつけるの?


……いやだ。


いやだ! 行かないで! 私を置いていかないで! そっちにいきたいのに、なんで動かないの!?

声がでない! 叫びたいのに! 先輩! 先輩! 先輩!

やだ!! ここは嫌だ!! こんな世界嫌だ!!! 先輩っ!!!!


地面を蹴って走る。 どれだけ走っても追いつかない。

先輩が遠ざかる。 見る見る離れていく。 どうして振り返ってくれないの? もう私たちの世界には興味がないの?

約束したのに。 戻ってくるって約束したのに。 うそつき。 うそつき、うそつき。

どれだけ待ったか。 貴方が戻ってくるの、どれだけ待ってたか。 どれだけ信じてどれだけどれだけ我慢したか。

貴方にはわからないんでしょう? 待つのは凄く辛いことなんですよ? 自分では何も出来ない。 ただ、誰かに任せて待つだけなんて、そんなのは。

足が縺れる。 倒れてしまう。 誰かの声が聞こえるけれど、もうそんなのはどうでもいい。

追いつきたい。 あそこに行きたい。 あそこまでいけば、きっと、先輩だって――!


「えっ?」


声が出た?

と、思ったときには私は暗闇の中に居た。

ここはどこ? 何でこんなところにいるの? 先輩はどこに行ってしまったの?

暗い。 寒い。 いやだ。 一人ぼっちだ。 辛い。 悲しい。 どうして。

何も無い。 ああ、何も無い。 もう何一つ残されていない。

目の前に浮かび上がる誰かの姿。 伸びてくる白い手が、私の首を絞める。

それはとても強い力で私の首を絞める。 ぎりぎりと。 呼吸が苦しくなるより早く、意識がぼやけてくる。

そういえば、身体がない。 私の身体がない。 声ももう出なくなってしまった。 何で? 私はどこにいっちゃったの?

目の前を見る。 見る、事が出来ると言う事はまだ頭はここにあるんだ。 けれども、視界が奪われていく。

目の前に何かが居る。 首を絞めないで。 苦しいのに。 ああ、でもそれを拒むような手もない。

目の前に誰かが居る。


目の前に、私が居る。



私が、笑って、私の首を、絞めている――?











「あ……あっ……ああっ……」


「アイリス!! アイリス、しっかりしてください! 意識をはっきりと! 貴方の世界はそっちじゃない! こちらなんです!!」


何もない、虚空を見つめて呼吸を乱しているアイリスをヴェクターが抱きとめていた。

何の危険も無い、ただの実験のはずだった。 ユグドラシルの次元鏡面に触れてみるだけの、それだけのこと。

移動するつもりも場所を特定するつもりもない。 ただ、因子の試運転だった。 それだけの事で、何故そうなってしまったのか。

素人目に見ても判るほど、実験は失敗だった。 完全に意識が混濁しているアイリスは、涎を垂らしながらヴェクターの腕の中で悶えている。

苦しんでいるように見えるそれに、ヴェクターは視線を本人からユグドラシルへと移す。 ユグドラシルは瞳を見開き、全ての眼差しがアイリスに向けられていた。


「まさか……意識はまだ、あっちに……」


アイリスにつながった機材のケーブルを強引に引きちぎり、少女を抱えたまま走り去る。

その背後、ユグドラシルが奇妙に湾曲し、のたうち回るように動き続け、やがて甲高い悲鳴のような音を立て――それは、扉を開いた。

生暖かい風が砂漠に吹き込む。 その風には、花の甘い香りが混じっていた。


『お……おおぉぉ……』


うめき声が聞こえる。 次の瞬間、血に染まった真紅の巨大な手がユグドラシルを突き破り、出現した。

続き、そこを引き裂いて頭が。 そして、炎に染まった翼が広げられる、

そうして爆発。 一瞬で広間は光りに包まれ、信じられない規模の爆発が巻き起こった。

当然、その影響は真上のジェネシス本社にも多大な影響を及ぼした。 地下から吹き出した炎は一瞬で本部施設になだれ込み、通路を歩いていた職員が炎に焼かれ一瞬で蒸発する。

誰もその状況に気づく事が出来なかった。 予想もつかない災害を前になすすべも無く破壊される本部。

次々と通路に防災シャッターが下り、それを焼き尽くし、溶かしつくして炎は突き進み、ヴァルハラを傾かせるのではないかと思えるような衝撃と共に地上に吹き出した。

爆発に巻き込まれ吹き飛ばされる市街地。 式典会場の片付けがまだ終わらないまま、放置されていた部位が一瞬で吹き飛び宙を待った。


「なっ……何が起きたっ!?」


市街地を私服で歩いていたカロードがあわてて物陰に飛び込む。 近くを歩いていた親子連れをそこに引き込み、倒壊する瓦礫の雨を何とかやり過ごした。

ゆれが収まると同時に顔を出し、それを凝視する。 地下のプレートを突き破り、巨大な翼を携えた神が炎を巻き上げながら静かに佇んでいる。


「ほ……本部地下より、強力な神話反応! しかしこれは……データベースに照合該当あり! 対象は――っ!?」


本部でそのデータを見たユカリは、我が目を疑う。 しかし振り返り、すぐにオリカに伝えた。


「対象は――レーヴァテインです! レーヴァテイン……タイプ・イカロスですっ!!」


オリカは何も答えない。 揺れの中、混乱する司令部でただ一人、オリカだけは画面に映ったその姿を静かに見つめていた。


「……リイド君」


イカロスが雄叫びと共に翼を広げる。


町は、炎に包まれた――。


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