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夜明け編ー3


3


ガルディアン第4支部基地内ー2階テラス。


ポストルは、2階の簡易的に用意されたテラスでベンチに座り、自身の携帯端末を片手に画面をタッチする。


現在、ガルディアン第2支部に所属しているシレディアからメールが届き、その返事を入力しているのだ。


彼女からのメールによると近日、予備パーツ等を引き取る為、ガルディアン第10支部に本社を置くクレアシオン社へ行くらしい。


シレディアからのメールに返事を送り終えたポストルに茶髪の少年が近づく。


ポストルと同じガルディアン第3支部の生き残りタージュ・エクゾルシスだ。


負傷して倒れていたところを運良くユノに救われ、生き残ることができた。


「今日もニコル姉さんにしごかれたみてぇだな」


ニコルを姉のように慕うポストルとタージュは、親しみを込めて彼女を『ニコル姉さん』と呼ぶ。


因みにニコル本人は、2人が自身を姉として慕ってそう呼んでくれていることを喜んでいる。


「今日も完敗だったよ」


「オレたちがニコル姉さんに勝てる日はまだまだ遠いな」


制服姿のタージュは、栄養ドリンクを一口飲み、ポストルの隣に座る。


タージュが座ったのを確認したポストルは、残念そうな表情で口を開く。


「今日も第3支部に関する情報はなさそうだね」


「恐らくな」


タージュは、溜息混じりに言葉を返し、暗い表情を浮かべて俯く。


「そもそも第3支部があんな状態じゃ生存者の情報なんて入ってこねぇ」


ガルディアン第3支部が壊滅して以降、タージュはサラリエの安否が気掛かりで仕方ない。


正直言って、彼女が生存している可能性は絶望的だろう。


運良く生きていたとしてもクリミネルがサラリエを生かす理由がない。


良くて欲求の吐口として数日生かされるだけだろう。


ガルディアン第3支部壊滅から2ヶ月が経過した今、彼女が生きている可能性は無に等しい。


それが分かっていても確かな真実を知るまで納得できないのが人の心というもの。


「本部は勝手に死亡したって判断しやがるし」


「安否を確かめる術がないとは言え……」


3日前、ガルディアン本部は、ガルディアン第3支部の安否不明者を全員死亡扱いとする方針を発表した。


壊滅したガルディアン第3支部が、クリミネルの占領下にある以上、安否を確認する術がなく、生存している可能性も極めて低いからだ。


「オレがサラリエを助けることができていれば」


タージュは、サラリエを助けられなかった後悔から唇を噛み締める。


「自分を責めない方がいいよ」


「けどよ」


「もし俺が同じ状況だったらきっと俺もサラリエを救えなかった」


あの時の状況からしてタージュが、サラリエを救えなかったのは仕方ないだろう。


自身が負傷した状態で気絶したサラリエを背負い、安全な場所まで移動するのは困難だと考えられる。


基地に侵入してきたクリミネルの歩兵部隊からいつ襲われるか分からない状況だったことも踏まえると余計に困難だ。


「最近お前がシレディア大尉に見えるぜ」


シレディアは、超大型を単独で倒した功績がガルディアンから認められ、特尉から大尉へ昇進した。


「な、なんでだよ」


「やけに冷静だし、シレディア大尉みたいにいつもパイロットスーツ着てるし」


ポストルは、シレディアへの好意とリスペクトから彼女のように普段からパイロットスーツを身につけるようになった。


パイロットスーツの方が、ガルディアンの制服よりも機能性に優れていることも理由の1つだ。


「ま、また女装とか言うのか!?」


ポストルは、隣に座るタージュを睨む。


「今更だぜ」


ポストルが黒いスーツを着たばかりの頃、女装に恥ずかしがる彼をタージュは何度も茶化した。


「それよりシレディア大尉とは最近どうなんだ?」


ポストルは、話題を切り替えられたことに納得いかないものの答える。


「どうっていつも通りだけど」


それを聞いたタージュは、進展しない2人の関係に溜息を吐き、呆れた表情で肩を落とす。


「ったく……奥手な野郎だぜ」

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