夜明け編ー2
2
ガルディアン第4支部基地内ー食堂。
酷く老朽化が目立つ食堂で昼食をするポストルとニコル。
ガルディアン第4支部基地は、ポストルたちが所属していたガルディアン第3支部よりも全体的に老朽化が進んでいる。
資金の大半は、ガルディアン本部が利用し、残りを各支部に分配している為、各支部に入ってくる資金は微々たるもの。
まして現在、組織としての運営能力が以前にも増して低下しており、ガルディアン本部の維持費だけで資金が底をつく。
ガルディアン第4支部のような大した戦力や戦果もない支部に資金を追加する余裕などない。
「はぁ〜」
粘土みたいな食感の味気ない栄養管理食品をポストルは喉に流し込み、深い溜息を吐いた。
お世辞にも美味しいとは言えない食べ飽きた食事にポストルは、以前食べたシレディアの手作りサンドウィッチの味を思い出す。
ガルディアン第4支部の食事は、朝昼晩と決まって味気のないマッシュポテトと野菜スープ、豆のサラダに栄養管理食品のみ。
今のご時世、食べれるだけでもありがたいが、食べ盛りの子どもには辛いものがある。
「溜息なんか吐いてどうしたのよ?」
彼の向かい側に座り、食事への不満など一切ない持っていないニコルは、首を傾げてポストルに尋ねる。
彼女に尋ねられたポストルは、食事への不満からため息が出たなどと決して言えず、首を横に振って答える。
「いえ、なんでも」
「まさか女装してることがまた恥ずかしくなったとか?」
「ち、違いますよ!」
ポストルは、ニコルの発言に顔を真っ赤に染め、勢いよく席から立ち上がる。
何事かと周りにいた職員たちが、不思議そうな眼差しを彼に向ける。
ポストルの中に気まずさと恥ずかしさが込み上げ、静かに腰を下ろす。
「ポストルのスーツは女性用だからねー」
ニコルは、あえて分かっていることを口に出した。
ポストルが身につけているパイロットスーツは、以前シレディアが身につけていたものだ。
ガルディアンは、新米パイロットのポストルの為、予算を割いて新しいパイロットスーツを用意してくれなかった。
ポストルの体に合わせて採寸し直してあるが、女性用であることに変わりない。
着たばかりの頃は、股間部や胸部に違和感があり、着心地は最悪だった。
現在、支給された男性用インナースーツの上に黒いパイロットスーツを着ている為、着心地は安定している。
因みにインナースーツは、ペラロネとの戦闘後に開発が進められ、1ヵ月前にパイロット全員に支給された品物だ。
シンプルなデザインで白を基調としており、模様部分の色は何種類かある。
エグゼキュシオン操縦時の負担と衝撃を軽減し、パイロットの体力消耗を緩和する機能がある。
負担が軽減され、個人差はあるものの並のパイロットで約3時間ほど機体を操縦できるようになった。
また、体温調節機能や吸水速乾性にも優れている。
「ポストルは少し女の子っぽいところあるから違和感ないけど」
「恥ずかしいこと言わないでください!」
ニコルは、ポストルの反応を見て楽しんでいる。
茶化されるポストルは、不貞腐れた表情で栄養ドリンクを飲む。