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冷たい秋/ 温かみ/
冷たい秋/
ああそうだ
鮮やかなナナカマドが
季節の冷たくなりそうな風に
発色するように
美しい人は
どこか冷たい
吸い込んでいく光の空
動かない朝
水は流れている
魚は黙っている
その声の途切れた後ろ姿に
柔らかい影が落ちている
乞う者は
遂に乞われることを知らず
冬を迎える
秋はひとときのしじま
誰よりも急いでいる
優美である夕暮れ
温かみ/
しんしんと
冷える夜の夕暮れに
祖母は通りへ出て
わたしを
その丸い背におぶり
温かみを
知らせようとした
今も わたしはそれを知らない
わたしが知るのは
おぶさってくる
小さな体の温かみ
いつも
受け取るばかりの
冷たさだ