小さなドア
はだかのチョコひとつ
甘く水面を染めて
作りたてのスイーツたち
始まろうとする躊躇いで
幻想はイメージ
思い描くままに
実像をデコレイトしてる
遠くから ずっと近くから
まだ見えないフェイク
今は もどかしく輝いてる
揮発するスピリッツ
影に見せる思いがけない横顔
最大音量の感情のプラス
ワクワクする明るい陽射し
そのままで暖かな手
緩やかな炎になって
でも やっぱり
針葉樹みたいに強くないから
リョコウバトは帰らなかったんだって
くじけてしまう枯れそうな指先を
そっと そっと 小さなドアノブに
ちょっと待って!
礼儀正しくノックを忘れずに!
注意して!
そおっと 驚かさないように……
…コン……
……コン…
…コン……
……コン…
妖精のドアが開いたら
ぞろぞろ出てくる出てくる
赤いドアから
――きぃ
出てきた赤い妖精さん
にっこり笑ってる
黒アゲハのネオンの羽きらきらしてる
青いドアから
――きぃ
出てきた青い妖精さん
恥ずかしそうに頬を染めてる
虹色トカゲのしっぽピカピカしてる
白いドアから
――きぃ
出てきた金の妖精さん
真っすぐ前だけを見てる
透き通る体は羽化したばかりみたい
黒いドアから
――きぃ
出てきた銀の妖精さん
ちょん。可愛いステップ踏んでる
しゃらしゃら纏うススキは花盛りみたい
目の前の小さなドアから
――きぃ
誰かの好きな
あなたの好きな
わたしの好きな
溢れ出す小さなこころ
色とりどりのまま そのままに
夜10時から深夜2時までは妖精タイムなんです。